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【アナリスト水田雅展の株式・為替展望】重要イベント控えて一進一退、テーマ物色の一巡に注意
(6月30日~7月4日)
6月30日~7月4日の株式・為替相場については、一進一退の展開を想定する。消費増税の影響に対する警戒感が後退して、投資マインド改善という大きな流れに変化はないが、3日の米6月雇用統計など週後半の重要イベントを控えて様子見ムードを強める可能性があり、テーマ関連株物色一巡の可能性にも注意が必要だろう。
株式市場では、消費増税の影響に対する警戒感が後退し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリスク資産運用比率引き上げへの期待感も下支え要因となり、投資マインド改善という大きな流れに変化はないだろう。日経平均株価は27日に急落したが、チャート面で見ると25日移動平均線に対するプラス乖離幅が一気に縮小し、目先的な過熱感が解消したとの見方があることも支援材料だ。
ただし一方では、3日のECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、米6月雇用統計という重要イベント、そして週末4日の米国市場の休場(独立記念日)を控えて、様子見ムードを強める可能性があるだろう。米国株の高値波乱を警戒する見方が増え始めたことにも注意が必要となる。
またテクニカル面で見ると、騰落レシオ(25日移動平均)は27日時点で134.97%と依然買われ過ぎ水準だ。本格的な上昇相場のスタートに向けて一服が欲しい局面でもあり、日経平均株価1万5000円台を固めながらテクニカル面での過熱感を解消しておきたいところだ。
物色面では、25日のトヨタ自動車の燃料電池自動車発表を機に、燃料電池や水素ステーション関連銘柄が物色されたが、全体として見れば新興市場を中心とする中小型株・テーマ関連株に関しては手仕舞いの動きを強めている。テーマ物色一巡の可能性にも注意が必要だろう。
前週(6月23日~27日)の動きを振り返ると、株式市場では日経平均株価、TOPIXとも6週ぶりの下落となった。23日には日経平均株価が1万5442円67銭まで上昇し、3月7日の1万5312円60銭を突破して戻り高値を更新したが、その後は上値が重くなった。政府が24日に閣議決定した「骨太の方針」「新成長戦略」に対する反応は限定的で、27日の午後には先物の仕掛け的な動きで急落した。東証1部市場の売買代金は23日~26日に2兆円割れとなり、依然として盛り上がりに欠けている。
また東証マザーズ指数は、25日の取引時間中に955.43ポイントまで上伸する場面があったが、27日の終値は881.76ポイントとなって6月16日以来9営業日ぶりに900ポイント台を割り込んだ。主力株を中心に手仕舞いの動きが優勢になり、売買代金も減少してテーマ物色一巡の印象を強めている。
外国為替市場はやや手掛かり材料難で小動きだった。ただし、イラク情勢など地政学リスクで円が急騰するというほどではなかったが、週後半にかけて米10年債利回りが2.6%台を割り込んだこともあり、全体としてやや円買いが優勢となった。27日には日本株が急落したことも影響して1ドル=101円30銭近辺までドル安・円高方向に傾いた。
また27日の米国株はやや売り優勢で推移したが、取引終了にかけて主要株価指数は小幅上昇に転じて終了した。CME日経225先物(円建て)は1万5140円だった。為替は1ドル=101円30銭~40銭近辺、1ユーロ=138円30銭~40銭近辺で終了した。
前週末27日の米国市場の結果を受けて、週初30日は日本株、為替とも方向感に欠けるスタートとなりそうだ。株式市場は、全体として投資マインド改善の大きな流れに変化はなく、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリスク資産運用比率引き上げへの期待感が下支え要因となるが、週後半3日のECB(欧州中央銀行)理事会、米6月雇用統計という重要イベント、そして週末4日の米国市場の休場(独立記念日)を控えて様子見ムードを強める可能性があり、高値波乱に対する警戒感を強めてきた米国株の動向を睨みながらの展開だろう。
海外要因で地政学リスクに対する過度な警戒感は後退しているが、イラク情勢とウクライナ情勢の悪化が波乱要因であることに変わりはなく、引き続き注意が必要だろう。中国に関しては1日に6月製造業PMI(国家統計局)、6月製造業PMI改定値(HSBC)、3日に6月非製造業PMI(国家統計局)、6月サービス部門PMI(HSBC)の発表が予定されているが、景気減速トレンドは織り込み済みであり反応は限定的だろう。
国内要因としては引き続き、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリスク資産運用比率引き上げへの期待感が支援材料となる。政府が24日に閣議決定した「骨太の方針」「新成長戦略」に関してはサプライズがなく、依然として具体性に乏しいとして反応は限定的だったが、徐々に評価が高まる可能性があるだろう。
株式市場での物色動向としては、新興市場を中心に5月下旬以降、ネット関連、ゲーム関連、LINE関連、ロボット関連、バイオ関連、省エネ関連、新エネルギー関連、次世代2次電池関連、燃料電池・水素関連、カジノ関連、格安スマホ関連、不動産関連などに広がったが、前々週末あたりから中小型株・テーマ関連株に対する手仕舞い的な動きを強めている。テーマ物色一巡の可能性にも注意が必要だろう。主力大型株への本格的な資金流入は4~6月期業績発表後を想定する。
為替に関しては3日の米6月雇用統計を控えて引き続き小動きだろう。イエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長が6月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で、緩和姿勢を当面続ける意向を示したことを受けて米10年債利回りが上昇しにくい状況でもある。なお3日のECB(欧州中央銀行)理事会で量的緩和に踏み切れば、ある程度は織り込み済みとはいえ一時的にユーロ売り・円買いの動きが強まる可能性があるだろう。
その他の注目スケジュールとしては6月30日の日本5月鉱工業生産速報、日本5月住宅着工戸数、ユーロ圏6月消費者物価指数速報値、米5月中古住宅販売仮契約指数、米6月シカゴ地区購買部協会景気指数、7月1日の日本6月調査日銀短観、日本5月毎月勤労統計、豪中銀理事会、米5月建設支出、米6月ISM製造業景気指数、2日の日本6月マネタリーベース、米5月製造業新規受注、米6月ADP全米雇用報告、3日の米5月貿易収支、米6月ISM非製造業景気指数などがあるだろう。
その後は7月7日の日本5月景気動向指数、8日の日本6月景気ウォッチャー調査、9日~10日の英中銀金融政策委員会、14日~15日の日銀金融政策決定会合、29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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