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基調は強く日経平均は1万5000円台指向だが、上値は9月中間決算次第=犬丸正寛の相場展望
相場の基調は強く、日経平均は1万5000円を目指しているものとみられる。とくに、9月中間期決算の内容次第では今年5月の日経平均高値1万5942円に挑戦も見込めるだろう。
9月中間期決算と今3月期通期見通しについては、『アベノミクス効果を見極める』うえで、大切な決算として注目される。今年初夏までの金融緩和→円安→株高による効果で株保有者にとっては久々の明るい気持ちとなって、「ひとクラス上」の消費を味合うことができた。
だが、預金偏重のわが国においては、株高効果は限定的で一般消費者にはまだ所得増加による効果は波及していない。むしろ、生活品物価の急激な値上り、電気代の値上りに続いて、この先、年金の引下げ、70歳からの医療費自己負担、消費税アップなどを考えると、消費者は消費に楽観とはなり難いはずである。
恩恵を受けた株保有者など富裕層にとっても、5月の高値以降はマーケットの低迷で、一時ほどのウキウキとした気持ちとはなっていない。このため、GDPの中心を占める、『個人セクター』に頑張れといって笛を吹きタイコを叩かれても、個人はなかなか舞台に上がる気持ちにはなり難い。
結局、『企業に頑張ってもらうしかない』、ということになる。しかし、企業にとっても経営環境は厳しい。少子高齢化と人口減少による需用不足、グローバル化で競争激化、円安で原材料・燃料の値上り、電力料金の上昇、さらに、ここに来て政府からの給与引き上げ要請である。作っても売れ難い環境の上にコストアップ目白押しで経営は楽観できない。
幸い、これまでのリストラで企業の財務内容はよく手持ち資金は豊富だ。企業側は政府の給与引上要請にあるていどは応えるだろうが、それも一部の大手企業や官公庁取引の多い企業にとどまる可能性がある。広く中小企業に給与引き上げを期待するのは難しいものとみられる。
こうした、コストアップ目白押しの中で9月中間期決算において企業側が今3月期通期見通しをどのように出してくるかが細大の注目点といえる。仮に、好調な見通しを出せば給与引上要請は間違いなく強いものとなるだろう。
しかも、今回のアメリカの与野党対立でアメリカの消費にも心配が出ている。2月になれば、また債務枠問題などが控えているため消費者は慎重となることが予想される。今年のクリスマス商戦については手放しの楽観はできない。NYダウも先行き反落の懸念を含んでいるとみておいたほうがよいだろう。
こうしてみると、日本は経済特区など一刻も早く成長戦略を形にする必要がある。遅くなるほど経済もマーケットも息切れする心配がある。
現在、日経平均の予想1株利益は914円である。これが、9月中間決算を終えた時点でどのていどになっているかによってマーケットの位置が決まることになるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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