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アナログパワーでリードする日本の半導体技術
2013年7月17日から東京台場のビッグサイトで開催された「Techno Frontier 2013」に出展したロームのブース。[写真拡大]
さまざまな家電などの民生機器や産業用ロボットなどの産業機器を稼働させる重要部品として電源というものが必要だ。こんな知識は家電を便利に使っているふつうの人にはない。筆者も一度アップル製タワー(パソコン)の“電源”が壊れて、その装置の重要性を知った。どんな装置かというと、家庭に来ている交流100Vの電気を取り敢えず直流に変換する。これが一次電源。そして直流電流を用途に沿って電圧を変えて供給するのが二次電源。いずれも電源ICが大きな役割を果たしている。この電源部分だが、産業機器分野となると数100ボルトの電圧変換を安定的かつロスなく行うことが求められるという。
2013年7月17日から東京・台場の東京ビッグサイトで開催された「テクノ・フロンティア2013」で、この電源ICやパワーデバイスの紹介が数多くのブースで行われていた。
なかで、異彩を放っていたのが、「アナログパワー」というキャッチフレーズを掲げた京都の半導体メーカーロームだ。ロームは従来からアナログ技術を得意とし、電源ICの設計でも業界を牽引してきた。アナログ技術とは、0や1だけのデジタル信号では処理できない複雑な回路設計技術で、経験・ノウハウを必要とする。まさに日本人が得意とする「職人の技」とも言える設計技術である。
ロームは、この電源ICを構築する上で重要な役割を果たすパワーデバイスも豊富に取りそろえている。なかでも業界が注目しているロームの「SiCパワーデバイス」のプレゼンテーションには大勢の技術者が注目していた。SiCとはシリコンカーバイト(炭化ケイ素)で、従来の半導体に使っていたシリコンよりも耐熱性や効率で優れた特性があるとされる。ロームでは今回のイベントで、このSiCを核とした周辺回路を一体化した高電圧(600〜900ボルト以上)に対応する高耐熱パワーモジュールを紹介。半導体のシリコンインゴットの製造、ウエハプロセスからパッケージング、そしてモジュール化まで一貫して行なうロームの特徴をアピールしていた。
日本の半導体ビジネスは素人目にも決して明るいとは言えない。しかし、このロームのように、“日本人の職人技”的な「アナログパワー」に活路を見いだし、半導体の周辺回路を含めたモジュールを一括して販売する施策は日本の半導体産業にとって光明と言えそうだ。
事実、ロームはインテル社の次世代タブレット向けCPU用の電源ICにおいて推奨部品となったほか、産業機器のメインチップであるFPGA(Field Programmable Gate Array)の世界市場を二分するザイリンクスの電源モジュールボードをアヴネット社と共同開発することに成功している。(編集担当:吉田恒)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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