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靴・履物市場、4期連続市場規模減少も、快適&機能性靴に期待
ここ数年、国内における靴・履物市場は、小売金額ベースで1兆3,225億円(前年度比99.8%)と推計し、2008年度から4期連続で市場規模は減少。そのような中、矢野経済研究所が国内靴・履物市場に関する調査結果をまとめている。
まず、2011年度の紳士靴の小売市場規模は前年度比で97.3%の2,190億円と推計。紳士靴は近年カジュアル化が進んでおり、ビジネスウェアの足元にドライビングシューズやスリップオンシューズなどを合わせるなどの動きが徐々に広がっている。そのため、ビジネスでもカジュアルでも兼用で使用できるドレスシューズとスニーカーを合わせたようなタイプは、今後好調に推移していくと予測。また、男性向け百貨店や専門店のオープンなど新たな売場の登場や、男性向けパンストのヒットにみられるような新たな男性消費の掘り起こしを行う動きも見逃せない状況となっているようだ。
さらに2011年度の婦人靴の小売市場規模は前年度比99.5%の3,650億円と推計している。ここ数年、日常使いの靴で歩きやすい靴、長時間歩いても疲れない靴、いわば履き心地の良い靴を求める動きが広がっている。婦人靴でもヒールの低いパンプスやクッション性の高い革靴など歩きやすい靴が人気を集めており、履き心地の良さを提案している靴が注目されている。トレンドとしては2011年から引き続き紳士用革靴のデザインを取り入れた婦人靴「おじ靴」がヒットしており、キャリア女性層向けの各ブランドからもオックスフォードタイプやオペラシューズタイプ、タッセルシューズなどが多く登場している。
2011年度のスポーツシューズの小売市場規模は前年度比101.1%の5,040億円と好調さをキープ。要因としては、健康や美容意識の高まりでランニングシューズやウォーキングシューズ、アウトドアシューズが引き続き好調であるという。ランニングシューズについては、裸足感覚でより速く走れる効果を謳う商品が注目されているが、これはより早く走りたいと考える上級者が増加傾向にあることが背景にあると考えられているようだ。 また、スポーツ向け商品の発売やスポーツライフスタイルショップの業態開発など、スポーツを切り口に新たな事業を展開する企業が増加。周辺市場が盛り上がることで、スポーツシューズ市場は今後も安定した市場を形成していくものと考えられる。ベビー・子供靴の小売市場規模は前年度比98.9%の880億円と推計。子供靴市場を牽引しているのはジュニアランニングシューズ市場で、2003年以降、他のスポーツメーカー、大手靴チェーン店から競合商品が相次いでおり、また、小売側もコーナー化や商品比較を行いやすい売り場を整え、市場は盛り上がっているという。また早く走りたいだけでなく、うまく踊りたいという需要に合わせた商品など、新たな提案を行う商品が増加しており、こうした付加価値の高い商品が今後も各企業から登場する見通しであるという。
長引く個人消費の低迷から、購入機会の減少や購入単価の低下が続くなど、同市場を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。しかし健康や美容に対する関心の高さから、ランニングやマラソンを行う人口が拡大。ランニングシューズやウォーキングシューズが好調となっており、普段から履く靴でも履き心地の良さを求める層が増加していることで、快適性を追及した靴への注目は高いようだ。また、スポーツシューズや子供靴に関しては、スピード感を主とした機能性の高い靴の人気が高いのが特徴だと言われている。いかにトレンドを捉えながら、靴そのものに付加価値が付いているのか。靴・履物業界の今後の展開が注目されるところだ。(編集担当:宮園奈美)
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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