近距離無線通信技術NFC、普及に向けた動きが活発化

2013年3月5日 14:41

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記事提供元:エコノミックニュース

 矢野経済研究所のデータによると、2011年度のメーカー出荷台数が2175万台であったNFC(Near Field Communication)搭載ハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)とタブレット端末(通信モジュール内蔵)。NFCとは、13.56MHz帯域における非接触カードとRFID、FeliCaをカバーする規格のことである。今後は海外で普及が進むTypeA、TypeB規格に対応したスマートフォンが導入されることから、2012年度は3180万台へと拡大すると予測されている。この拡大を加速させる動きが活発化、3月4日の一日だけでも多くの企業がNFCに関する発表を行った。

 まず大枠に関する取り組みについてはKDDI が、モバイルNFCを活用したクレジット決済サービスのほか、NFCタグにNFC対応スマートフォンをタッチするだけで周辺のビル・店舗の情報取得や割引クーポンの獲得などが可能となる各種サービスの普及促進を図るため、日本郵便やソニー 、パナソニック や日本航空 など15社と提携したと発表。国内で初めて携帯電話向けNFCサービスを開始したKDDIが、市場拡大に向けた動きを加速させた形である。

 またNTTソフトウェアは、スタンプラリーを行うイベント主催者や商業施設などの案内表示を行う管理者向けに、NFC技術を用いた位置情報応用ソリューション「mobicollet(モビコレット)」を2013年4月からサービス開始すると発表。具体的なサービスの広がりも始まっている。

 そのほか大日本印刷 は、小型、薄型で機器への組み込みが容易なNFCモジュールを開発したと発表。5月に評価用サンプルを出荷し、6月から販売を開始するという。また同日、肌の状態を簡単に測定できるモリテックス の肌センサー「Triplesense(トリプルセンス)」に、DNPが開発したNFC対応の組み込み部品を搭載したプロトモデルを開発したとも発表。様々なセンサーと組み合わせることで利用の範囲が広がる例を提示した。

 家電やAV機器などの電子機器にNFCを搭載することで、これらの機器の間でのデータ通信も可能となるため、この機能を活用した新たなサービスの可能性が広がっている。また、国際クレジットサービス、スマートポスター(データ通信型広告)、身分証明書などへの利用も期待されており、一方で前出矢野経済研究所の調査によると、2013年度のNFC搭載ハンドセットとタブレット端末の出荷台数は3200万台、2015年度は3300万台と予測されているなど、インフラとサービスが同時並行で順調に拡大しそうである。NFC搭載機器やサービスが広がることで、生活がどう変わっていくのか、期待が高まるところであろう。(編集担当:井畑学)

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