ダイキン、米住宅用空調大手を約3000億円で買収

2012年8月29日 18:56

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 ダイキン工業は29日、本日開催の取締役会において、米国の住宅用ユニタリエアコン(全館空調機)のリーディングメーカーであるGoodman社(グッドマン、本社:テキサス州)の買収を決議し、本日Goodman社およびその主要株主であるH&F社(本社:カリフォルニア州)と買収契約を締結したと発表した。

 今回の買収は、Goodman社の株式100%を同社の主要株主であるPE(プライベート・エクイティ)ファンドのH&F社等から買い取るものであり、買収価額は総額37億ドル(1ドル=80円換算で2,960億円)となる。今後必要な手続きを経た上で、2012年度第3四半期中に買収完了する予定。なお、ダイキンは買収資金の全額を手元資金の一部と政策金融、普通社債、銀行借り入れでまかない、増資は行わない予定。政策金融は、財務省が2011年8月24日に発表した「円高対応緊急パッケージ」の中で創設が示されていた国際協力銀行の「円高対応緊急ファシリティ」を、民間銀行を通して最大限活用することを予定している。

 Goodman社は、北米住宅用空調分野でトップシェアの空調メーカーであり、最大規模の販売網を持つ徹底的に合理化された流通および販売体制により、高い収益力を誇っている。製品では、北米で主流であるダクト式の住宅用ユニタリ空調機・燃焼暖房機器や業務用空調機に強みを持ち、約600万台の住宅用空調市場や、業務用空調市場で高い成長性を維持している。

 一方、ダイキンは、ルームエアコン、パッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなどのダクトレス空調や、大型のアプライド空調など幅広い商品群を持つ総合空調メーカー。環境対応・省エネや快適性を追求する独自の技術力を活かし、高品質、高付加価値の空調機の開発を得意としている。また、競合他社に先駆けグローバルに進出しており、欧州、中国、アジア、北米や新興国で広く事業を展開している。

 ダイキングループは、これまで米空調市場で、ダクトレス空調のルームエアコン、ビル用マルチエアコンと、大型のアプライド空調を中心に事業展開を行ってきたが、今回の買収によりダクト式の住宅用空調・業務用空調市場に本格参入し、世界最大の空調市場において、ダクトとダクトレス空調に燃焼・ヒートポンプ暖房をあわせ持つずば抜けた品揃えで一気に売上を拡大する方針。これにより、グローバル空調市場においてもリーディングカンパニーとしての地位を盤石なものとすることができるという。

 特に、近年、環境・省エネの取り組みが加速している米国の住宅用空調・業務用空調市場に対して、Goodman社の空調機とダイキンの環境技術を融合した環境先進商品を投入し、新たな潮流を起こすことで環境貢献と事業拡大の両立を図る。さらに、Goodman社の持つローコスト経営ノウハウを新興国・ボリュームゾーンの市場に展開するとともに、先進国を含めたグループ全体の収益体質の改革に取り組むことで一層の競争力向上を図る。

 今回の買収完了後、両社間でシナジー効果の創出を早期に実現することを目的とした具体的な実行計画(アクションプラン)を策定し、ダイキンとGoodman社の補完関係を最大限に生かして事業の拡大を図っていく。現時点で定量化できる範囲での初期的試算では、買収完了後の3年間で累計約240億円(営業利益ベース)のシナジー効果を見込んでいる。また、10年間では累計約2500億円を見込でいる。

 買収後の事業運営方針については、Goodman社は優秀な経営陣の下、低コスト重視の経営体制で米住宅用空調市場での勝ち組として事業を拡大していることから、その特徴を生かすべく、まとまった事業運営主体として経営を継続させ、既存事業体との合併や分割は当面行わず、Goodman社の独立性を維持する方針。そのために、Goodman社を熟知する現経営陣に継続して経営にあたってもらい、両社のシナジーを最大化することに努めるという。また北米だけではなく、グローバルでの事業展開も求めていくという。

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