【相場展望】重要イベント通過して企業業績に関心シフト、個別物色の展開

2012年7月15日 13:04

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週(7月17日~20日)の株式市場見通し】

■業績堅調な内需関連企業は復興需要一巡や天候不順の影響が懸念

  来週(7月17日~20日)の日本株式市場(16日は休場)については、7月前半の重要イベントを通過したことでやや手掛かり材料難となり、全体としての方向感が出難い状況の中で、企業業績に関心がシフトして個別物色の展開となりそうだ。

  7月5日のECB(欧州中央銀行)理事会、6日の米6月雇用統計、11日~12日の日銀金融政策決定会合、13日の中国4~6月期実質GDPなど主要国・地域で重要イベントが続き、その間には5日の中国とECB、11日のブラジル、12日の韓国と利下げが相次いだが、結果的には世界的な景気減速に対する警戒感を強める形となった。

  ただし前週末13日の米国株式市場は大幅上昇し、ダウ工業株30種平均株価は前日比203ドル82セント(1.62%)高と7営業日ぶり大幅反発した。中国4~6月期実質GDPの結果に対しては、景気減速への過度な警戒感が和らぎ追加金融緩和への期待感につながる形となった。

  3連休明け17日の日本株式市場については、世界的な景気減速に対する警戒感も強い中で、前日16日の米国株式市場や外国為替市場の動向次第となるが、13日の米国株式市場の大幅上昇が地合い改善の兆しとも考えられるだけに、日本株式市場も大きく崩れる可能性は小さいだろう。

  また重要イベントの谷間となる一方で、来週は米国で主要企業の4~6月期決算発表が本格化し、特に17日の米インテルの決算などが注目点となりそうだ。そして日本でも週後半から主要企業の決算発表が始まる。このため全体としては方向感が出難い状況の中で、個別物色の展開だろう。

  日本の主力企業に関しては保守的な姿勢が強いだけに、4~6月期終了時点で通期見通しを修正する可能性は小さいだろう。期初時点では概ね保守的な通期見通しを公表しているが、決算発表前に株価が上振れを期待する動きになれば発表後の反動も警戒されるだろう。なお輸出関連企業に関しては、外国為替市場で円が高止まりしているため、通期見通しに対して慎重な姿勢を示すことが弱材料視される可能性もあるだろう。また業績堅調な内需関連企業についても、復興需要の一巡や天候不順の影響が懸念される可能性があるだろう。

  前週の主要国・地域の動向を簡単に整理すると、ユーロ圏では、ユーロ圏財務相会合とEU財務相理事会で、スペインの財政赤字目標の達成期限の1年延長を承認した。スペインのラホイ首相は付加価値税の税率を引き上げるとともに、失業保険給付と公務員給与の削減による歳出削減策を発表した。

  ドイツ憲法裁判所はESM(欧州安定メカニズム)と新財政協定が違憲として提訴された問題で審理に応じるとしたが、判断日程を明らかにしなかったためESMの7月発足予定に対して不透明感が増した。格付け会社ムーディーズはイタリア国債格付け引き下げを発表したが、イタリア3年債入札で平均落札利回りは前回に比べて大幅低下し、格付け引き下げの影響は限定的だった。

  米国では、米FOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨(6月19日~20日開催分)が公表されたが、追加緩和を巡って意見が分かれていることが明らかになり、量的緩和策第3弾(QE3)に対する期待感が後退した。主要経済指標では、12日の米新規失業保険申請件数が08年3月以来の低水準だったが反応は限定的だった。

  4~6月期の企業業績に関しては、米アルコアが最終赤字となり、米アドバンスト・マイクロ・デバイス、米アプライド・マテリアルズ、米カミンズなどが相次いで業績見通しを下方修正したため、景気減速や企業業績悪化に対する警戒感が広がった。一方で13日発表の米JPモルガン・チェースの決算は、デリバティブ取引の損失額が前回公表時に比べて膨らんだが最終損益では黒字を確保し、1株利益が市場予想を上回ったため安心感が広がった。

  中国では、6月CPI(消費者物価指数)と6月PPI(生産者物価指数)が低下したため、景気減速が鮮明になったとして警戒感につながった。6月貿易統計でも内需の弱さが警戒された。4~6月期実質GDPの伸び率は6四半期連続で鈍化して09年1~3月期以来の8%割れとなった。ただし市場では大幅減速に対する警戒感を強めていたため、市場予想とほぼ同水準だったことが安心感につながった。

  日本では、11日~12日の日銀金融政策決定会合で現行の政策金利を据え置いた。資産買入等基金の規模も現状の70兆円を維持することを決定し、追加緩和を見送った。追加緩和見送りは事前の大方の予想どおりだったが、結果的には失望感につながる形となった。

  外国為替市場は概ね小動きだったが、前週に比べてやや円高方向に傾き、日銀の追加緩和見送り決定後も動意に乏しい展開が続いた。週末13日の海外市場で終盤は1ドル=79円20銭近辺、1ユーロ=97円00銭近辺だった。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、18日の日銀金融政策決定会合議事要旨(6月14日~15日開催分)、6月首都圏マンション市場動向などがあるだろう。

  海外では、16日のユーロ圏5月貿易収支、ユーロ圏6月消費者物価指数改定値、米5月企業在庫、米6月小売売上高、米7月ニューヨーク州製造業業況指数、IMF世界経済見通し、17日の豪中銀理事会議事録、英6月消費者物価指数、独7月ZEW景気期待指数、米5月対米証券投資、米6月消費者物価指数、米6月鉱工業生産、米7月住宅建設業者指数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、カナダ中銀金利発表、バーナンキ米FRB議長の議会(上院)証言、ピアナルト米クリーブランド地区連銀総裁の講演、18日の中国6月新築住宅価格、英6月失業率、英中銀金融政策委員会議事録(7月開催分)、米6月住宅着工件数、米地区連銀経済報告、米週間住宅ローン申請指数、バーナンキ米FRB議長の議会(下院)証言、19日のユーロ圏5月経常収支、英6月小売売上高、ECB理事会(金利発表なし)、米6月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米6月中古住宅販売、米7月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数、北米6月半導体BBレシオ、20日の中国7月製造業PMI速報値(HSBC)、独6月生産者物価指数などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、23日の米6月シカゴ連銀全米活動指数、24日のユーロ圏7月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、25日の日本6月貿易統計、英4~6月期GDP速報値、米6月新築住宅販売、26日のEU財務相理事会(予算会合)、米6月耐久財受注、27日の米4~6月期GDP速報値、30日のスペイン4~6月期GDP速報値、31日のユーロ圏7月消費者物価指数速報値、7月31日~8月1日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、8月1日~2日の英中銀金融政策委員会、2日のECB理事会(金利発表)、3日の米7月雇用統計、8日~9日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【銘柄診断】ユニチャームは引き続き成長評価への機運が強い、業績フォローを見守る(2012/07/14)
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマ音楽から連想=田北知見の銘柄ウオッチ(2012/07/14)
急騰銘柄を徹底予想する日刊株式投資情報新聞(メルマガ無料)好評!会員が急増中(2012/06/25)
会員急増!株式評論家:浅妻昭治のマーケットセンサー(銘柄発掘の王道を伝授・注目株厳選)推奨銘柄を公開(2012/06/25)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事