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原油高で航空株に逆風、JAL・ANA株価の分かれ目は転嫁力と需要

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原油高を受け、航空株の見方が改めて問われている。JALとANAは、5月1日から6月30日発券分の国際線(旅客)燃油サーチャージを見直した。
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またJALは、国際貨物のサーチャージについて、通常ならより高いゾーンに当たるものの、中東情勢を受けた政府補助を反映し、実際の適用水準は1段低いゾーンに抑えると発表するなど、急激なコスト増への対応に追われている。原油高によるコスト増を運賃等へ転嫁する動きは始まっているが、燃料費上昇そのものが航空会社の収益を圧迫する構図は変わらない。
■原油高で航空株には逆風
原油高が航空株に逆風となりやすいのは、燃料費が収益を大きく左右するためだ。ロイターは、ジェット燃料高騰を受け、世界の航空各社が運賃引き上げや各種料金の見直し、運航計画の調整を進めていると報じている。
燃料費は、航空会社の営業費用の大きな割合を占めるため、原油高は利益率を直接圧迫しやすい。サーチャージを見直しても、需要が鈍れば転嫁は不十分になりやすい。
その意味で、JALとANAの株価の分かれ目は、単に燃油高への強さではなく、需要の質と転嫁力にある。
■JALとANAの戦略は?
JALは3月に新たな成長戦略を公表し、2026年3月期の通期EBIT見通しを上方修正するとともに、年間配当予想も引き上げた。
加えて、2026年度の国際線計画では成田・デリー線や那覇・台北線の新設を打ち出しており、国際線需要の取り込みを強める姿勢が鮮明だ。
ANAホールディングスは、株主還元や運賃政策を含めた資本政策・収益管理が注目点になる。公式資料では、2026年1月時点で自己株式取得や追加還元の検討を示しており、株主還元への期待が株価の支えになりやすい。
■今後の投資戦略は?
両社に共通する逆風は燃料費の上昇だが、株価が分かれるとすれば、コスト増をどこまで運賃に転嫁し、それでも予約動向や搭乗率を保てるかという点になりそうだ。
読者としては、次の決算や月次数値で3つの点を確認したい。
1つは、国際線旅客収入や旅客単価がサーチャージ見直し後も維持されるか。2つ目は、燃料費増に対して営業利益率がどの程度守られるか。3つ目は、予約動向や搭乗率に大きな悪化がないかである。
原油高局面では航空株が一律に売られる場面もあるが、その後の株価は転嫁力と需要の強さで差が出やすい。JALとANAの株価を見るうえでも、今後は原油高そのものより、サーチャージ見直し後の収益維持力が焦点になりそうだ。(記事:林田孝治・記事一覧を見る)
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