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三菱重工が治造船とコンテナ船事業で技術提携
三菱重工業が、今治造船とコンテナ船に関する技術提携協定を締結したと発表。三菱重工業の持つ技術開発力と、今治造船の高いコスト競争力とを組み合わせ、国際市場で優位な体制の構築を図り、さらに、両社の造船所を効率的に運用することでシリーズ船など大量商談にも柔軟に対応し、高付加価値コンテナ船事業の強化・拡大に取り組んでいく。
三菱重工業はコンテナ船では、1968年に国産初となる「箱根丸」を日本郵船 <9101> 向けに完成させて以来、建造中を含めこれまで147隻を手掛けてきている。一方の今治造船は現在、新造船竣工量および売上高で国内トップを誇り、造船専業では大型コンテナ船まで手掛けられる数少ない存在となっている。今回の提携は、高付加価値製品への特化および保有関連技術を国内外へ供与するエンジニアリング事業の強化に注力する三菱重工業と、省エネ性能をはじめ先進的な船舶関連技術の獲得を目指している今治造船の思いが一致したものとなる。
燃料価格の高騰が続くなか、海上輸送における環境負荷低減に向けた国際ルールが採択されたこともあり、省エネ船舶に対する需要が著しく高まっている。特に大型コンテナ船に多く搭載されるディーゼル機関は重油を燃料とするため、その傾向は強いという。今回の提携により、三菱重工業のCO2排出が少なく環境負荷を低減できる液化天然ガスの燃料化技術や、泡の力で船底と水の抵抗を減らし省エネ・CO2削減を実現する「三菱空気潤滑システム」などの多様な技術で差別化をはかり、今治造船のコスト力と掛けあわせて、この需要にきめ細かく応えるという。
中国や韓国の企業が席巻し、そのシェアを低下させている日本の造船企業。高付加価値を生む技術力が日本のこの業界を支えていると言えるが、近時では、中国企業との提携により技術移転を実施するなどの生存戦略をとっている企業も少なくない。こうした中での日本企業同士での技術提携は、他国企業に対抗し得るものとなるのであろうか。日本の造船業を再興する端緒となることを期待したい。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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