武田薬品、ブラジルの中堅製薬企業を約200億円で買収

2012年5月28日 12:45

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 武田薬品工業は25日、ブラジルの中堅製薬企業であるMultilab社を5億ブラジルレアル(約200億円)で買収することについて、同社と合意したと発表した。今後、武田薬品は必要な手続き等を経て、2012年9月末までにMultilab社の買収を完了する見込み。同買収により、Multilab社は武田薬品の子会社である武田ブラジル(本社:サン・パウロ州)の100%子会社となる。

 Multilab社は、2011年の売上高が1億4,000万ブラジルレアルであるブラジルの中堅製薬企業。同社はブランドジェネリックやOTC製品等、ブラジル医薬品市場で需要の高いカテゴリーの製品を中心に取り扱っており、2009年以降、売上高は年20%以上の伸長を示している。一方、武田薬品は、ブラジルに製造およびマーケティング機能を持ち、医療用医薬品に加えて同国で繁用されているOTC製品を販売している。

 今回の買収により武田薬品は、ブラジルでの医薬品売上高でトップ10に入るとともに、高品質のブランドジェネリックおよびOTC製品のラインアップ強化を通じて、中流階級層の増加に伴い多様化している同国のニーズを満たすことが可能になる。特にMultilab社の総合感冒薬「Multigrip」は、ブラジルOTC医薬品市場で売上高(数量ベース)ではトップ製品であり、武田薬品のブラジルにおけるOTC製品のラインアップが一層充実されることになるという。

 また、Multilab社は、ブラジル国内でも著しい経済成長を示している地方都市を地盤とする卸および中小薬局チェーンを通じた販売・流通インフラに強みを持っており、大都市を地盤とする大規模卸や薬局チェーンを中心とする武田薬品のブラジルの事業基盤との相互補完効果が期待されるという。

 武田薬品のコーポレート・オフィサーでエマージングマーケットコマーシャルオペレーション責任者のJostein Davidsen氏は、「ブラジルは世界第6位で南米最大の経済規模を有する市場であり、当社が拡大を目指している新興国事業の中でもロシア/CISに次いで2番目に大きな売上規模となっている。Multilab社の買収により、売上シナジーを発揮してブラジル医薬品市場でのプレゼンスをさらに高めるとともに、今後、高成長を続ける新興国事業の強化に取り組んでいく」と述べている。

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