帝人ファイバー・カーシート事業 4-6月期で黒字確保

2010年9月27日 11:55

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記事提供元:日本繊維新聞

 帝人ファイバー(TFJ)・機能製品グループは10年度のカーシート事業で、関連会社・STTとの一体運営を通じ国内販売を強化するとともに、エコ素材による企画提案に力を入れる。また、中国へのアプローチにも乗り出し、新規販路の開拓を急ぐ。

 TFJは10年4-6月期決算で「久々の黒字を確保」(坂田忠史機能製品グループ長)するなど、収益面で長く苦戦を続けたカーシート事業の構造改善に一定のめどをつけつつある。

 カーシート事業では、ポリエステル繊維事業の構造改革を本格化させる以前から原糸生産の海外移転を進めてきており、構造改革に着手した段階ですでに3分の2の生産をタイにシフト。この間、国内生産する3分の1が収益を足を引っ張っていたという。

 この3分の1の生産銘柄をほぼ半分に集約するとともに生産をタイに移管。不採算品の削減によりカーシート向けの販売量をピークの月間800トンから同600㌧に圧縮した。

 同時に住江織物との合弁でスミノエ・テイジン・テクノ(STT)を設立し、TFJの商売形態を「シンプルな糸売りに転換」(坂田グループ長)。これらの構造改善を通じ10年4-6月期決算でカーシート事業の営業損益をわずかながらも黒字に転換したという。

 エコカー減税の終了に伴い自動車メーカーが下期以降、減産に着手する短期対策を表明しており、TFJは20%前後の減産が2-3か月続く程度であれば「下期も何とか黒字を確保できそう」(同)と見通している。

 今後は、STTとの一体運営により得られる自動車メーカーからのニーズを反映させた商品開発を推進し国内でのシェアアップを目指す。とくにエコ素材による物作り、企画提案を強化する一方、新興国対策にも乗り出していく。

 エコ素材では、13年発売モデルでの採用を目指しバイオポリエステルによる開発・企画提案と取り組んでおり、12年度からバイオポリエスの量産を立ち上げたい考えだ。

 また、自動車生産の急増が見込まれる「中国対策を遅ればせながらスタートさせた」(同)としており、現地ファブリックメーカーとの商流構築を目指し、販促活動を本格化させる。

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