紫外線から肌を守る「ウロカニン酸」が減少する原因を発見
配信日時: 2023-09-12 10:30:00
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、紫外線から肌を守る物質「ウロカニン酸」について研究を進め、ウロカニン酸の生成に関わる酵素の転写因子(※1)CEBPBの発現が紫外線によって低下することを見出しました。この転写因子の減少が肌のウロカニン酸量の減少につながると考えられます。また、ハマナスの葉から抽出したエキスに、紫外線によるCEBPBの減少を防ぎ、ウロカニン酸の減少を抑える効果を見出しました。肌のウロカニン酸の量を多く保つことができれば、シミになりにくい肌状態を維持できると期待されます。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_1.png
ハマナス葉エキスがシミになりにくい肌状態を維持する
紫外線は、シミやシワなどの肌悩みにつながる美肌の大敵です。メナードは肌が本来持つ紫外線に対する抵抗力について研究するなかで、紫外線吸収作用を持ち “天然のサンスクリーン成分”といわれる「ウロカニン酸」に着目し研究を進めてきました。
今回、肌のウロカニン酸量とメラニン量との関連を調査した結果、肌のウロカニン酸の量が少ない人ほどメラニンの量が多いことがわかりました。つまり、ウロカニン酸の多い肌は紫外線抵抗力が高く、メラニンの生成も抑えられていると考えられました。また、ウロカニン酸が減少するメカニズムを調査した結果、ウロカニン酸生成に関わる酵素の転写因子CEBPBの発現が紫外線によって低下することを見出しました。CEBPBの発現が低下することでウロカニン酸の生成が不十分になり、紫外線の影響を受けやすくなるため、シミになりやすい肌状態になると考えられます。そこで、CEBPBの発現低下を抑える素材を探索した結果、ハマナスの葉から独自に抽出したエキスに効果を見出しました。
今後、本研究成果を、シミを予防するための技術開発に応用していきます。なお、本研究の成果は2023年9月4日から7日にかけてスペインのバルセロナで開催された第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会にて発表しました。
(※1) 転写因子:遺伝子の発現を制御するタンパク質。DNA上の特定の配列を認識し、そこに結合することで、近傍の遺伝子の発現を調整する。
<参考資料>
1. 肌のウロカニン酸量とメラニンの関連
ウロカニン酸は肌の顆粒層から角質層に存在し、紫外線(UVB)を吸収して肌内部を守ることから、“天然のサンスクリーン成分”ともいわれています(図1)。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_2.png
図1 ウロカニン酸について
今回、女性被験者91名(20代~60代、平均年齢39.4歳)を対象に、肌のウロカニン酸の量とメラニン量との関連を調査しました。ウロカニン酸量はテープストリップ法により頬から角質を採取し、定量しました。また、メラニン量の指標としては頬部のメラニンインデックス(※2)を用いました。
その結果、肌のウロカニン酸量とメラニン量は負の相関にあることがわかりました(図2)。つまり、肌のウロカニン酸量が少ないと紫外線の影響を受けやすくなり、メラニンの産生が亢進すると考えられました。
(※2) メラニンインデックス:メラニン量を表す指標。分光測色計で得られた分光反射率をもとに算出した。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_3.png
図2 ウロカニン酸量とメラニン量との関連
2. 肌のウロカニン酸の生成メカニズム
公共のデータベースを活用したバイオインフォマティクス解析(※3)により、肌の紫外線に対する抵抗力には、ヒスチジンをウロカニン酸へ変換する酵素「ヒスチジンアンモニアリアーゼ(HAL)」と、HALの発現を促す転写因子「CEBPB」が大きく関わっていることが推測されました。
つまり、CEBPBがHALの発現を制御し、紫外線から肌を守るウロカニン酸の量を調整していると考えられます(図3)。
(※3) バイオインフォマティクス解析:生物学的なデータを、情報科学(統計学やプログラミング手法など)を用いて解析する手法。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_4.png
図3 ウロカニン酸生成メカニズムの詳細
3. ハマナス葉エキスが紫外線によるCEBPBの発現低下を防ぐ
表皮細胞を用いた実験から、紫外線によってCEBPBの発現量が低下することを発見しました。また、それに伴いHALの発現量も低下することを確認しました(図4)。つまり、肌が紫外線にさらされるとHALの発現量が低下し、ウロカニン酸の産生が不十分になって紫外線を防ぐ力が弱くなり、メラニンが増加しやすくなると推測されます。
そこで、紫外線によるCEBPBの発現の低下を防ぐ素材を探索した結果、ハマナスの葉から独自に抽出したエキスに効果を見出しました。また、このハマナス葉エキスがHALの発現量を増加させることも確認されました(図4)。これらのことから、ハマナス葉エキスには、肌のウロカニン酸量を維持し、メラニンが増えにくくシミになりにくい肌状態を保つ効果があると期待されます。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_5.png
図4 CEBPB、HALに対する紫外線の影響およびハマナス葉エキスの効果
<ハマナス>
日本や朝鮮半島などの東アジア原産のバラ科の植物。主に海岸の砂地に自生し、夏になると紅紫色の花を咲かせる。花は華やかでかぐわしい香りが特徴で、アロマやお茶に用いられる。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/367869/LL_img_367869_6.jpg
ハマナス
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