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エヌビディア、スペースXとインテル株を計500億ドル超保有が判明―顧客への集中投資で二重リスク

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米半導体大手エヌビディア(Nvidia)が米証券取引委員会(SEC)に提出した保有有価証券報告書(フォーム13F)により、同社が2026年6月30日時点でスペースX株を約210億ドル(約3兆3,390億円)、インテル株を約300億ドル(約4兆7,700億円)保有していたことが明らかになった。合計約510億ドル(約8兆1,090億円、1ドル=159円換算)に上る。
スペースXはAIインフラでエヌビディア製品を独占的に採用する方針を示している。一方、インテルとの関係は、エヌビディアによる出資とデータセンター、PC向け製品の共同開発を組み合わせた戦略提携であり、インテルがエヌビディア製チップのみを購入するという合意ではない。
エヌビディアにとって、両社は単なる投資先ではなく、製品販売や共同開発を通じて事業上も深く関係する企業だ。業績が悪化した場合には、製品需要の減少と保有株式の価値下落が同時に生じる可能性があり、AIインフラ市場への集中投資がもたらす利益とリスクの両面が浮き彫りになっている。
■50億ドルのインテル投資が筆頭保有株へ急拡大
エヌビディアのインテルへの投資は、2025年9月にジェンスン・フアンCEOとインテルのリップブー・タンCEOが発表した提携に端を発する。規制当局による審査を経て、インテルは同年12月26日に第三者割当増資を完了した。エヌビディアは1株当たり23.28ドルで新株2億1,477万6,632株を取得し、総取得額は50億ドル(約7,950億円)となった。
インテル株が約140ドルだった2026年6月30日時点で、この持ち分の評価額はフォーム13F上で約300億ドル(約4兆7,700億円)に達した。50億ドルの取得額に対して約250億ドル(約3兆9,750億円)の含み益が生じた計算になる。ただし、その後は株価が下落し、8月14日時点の評価額は約220億ドル(約3兆4,980億円)となった。
この投資は、株式の値上がり益だけを目的としたものではない。2025年9月の合意に基づき、両社はデータセンターとPC向けに複数世代の製品を共同開発する。データセンター分野では、インテルがエヌビディア向けのカスタムx86 CPUを開発し、エヌビディアのAIインフラプラットフォームに統合する。PC分野では、エヌビディアのRTX GPUチップレットを組み込んだx86 SoCをインテルが開発、市場投入する計画だ。
ただし、提携発表では、エヌビディアのGPUをインテルが受託製造することや、インテルがエヌビディア製チップを独占的に採用することまでは示されていない。
■xAI出資からスペースXの210億ドル相当株へ
スペースX株の保有は異なる経緯をたどった。エヌビディアは2026年1月に完了したxAIの200億ドル規模の資金調達ラウンドに参加した。この際のエヌビディアの投資額は、関係者の話として100億ドルだったと報じられている。
2026年2月2日、スペースXがxAIを株式交換方式で統合し、統合後の企業価値は1兆2,500億ドルと評価された。これに伴い、エヌビディアが保有していたxAI株は約1億2,280万株のスペースXクラスA株式に転換された。
スペースXは2026年6月12日にナスダックへ上場した。公開価格は1株135ドルで、当初募集分による調達額は750億ドルだった。引受会社による追加購入分を含めた最終的な調達額は約857億ドルに達した。
6月30日の終値170.86ドルを基にすると、エヌビディアが保有する約1億2,280万株の評価額は約210億ドル(約3兆3,390億円)となり、同社が開示した上場株式ポートフォリオの約3分の1を占めた。
その後、スペースX株は上場後の高値から下落した。8月14日の終値が約140ドルとなったことで、エヌビディアの持ち分の評価額は約172億ドル(約2兆7,348億円)に減少している。それでも、インテルに次ぐ第2位の上場株式保有先である。
■スペースX、今後のAI基盤でエヌビディア製品を独占採用
フォーム13Fの開示に先立つ8月4日、スペースXの2026年第2四半期決算説明会で、イーロン・マスク氏は、同社が今後構築するAIインフラにエヌビディア製ハードウェアを独占的に採用する方針を明らかにした。
マスク氏は「Vera Rubinアーキテクチャが最良だと考えているため、今後はエヌビディア製品だけで構築することを決めた。最高のAIコンピューターであり、エヌビディアとの緊密な協力と多方面にわたるパートナーシップを高く評価している。われわれはエヌビディアに一本化する」と述べた。
スペースXのAI部門の売上高は第2四半期に25億6,000万ドルとなった。同社は2026年末までに2GW超、2027年末までに約10GWの計算能力を運用する構想を示しており、今後増設するAI基盤についてエヌビディア製品を採用する方針だ。
テネシー州メンフィスの「Colossus 1」データセンターには22万基を超えるエヌビディア製GPUが設置されている。スペースXは、その計算能力をAnthropicに提供する契約を結んでおり、契約額は月額約12億5,000万ドルとされる。
グーグルとの契約では、約11万基のエヌビディア製GPUなどを含む計算能力を提供し、2026年10月から2029年6月まで月額9億2,000万ドルを受け取る予定だ。ただし、両社は2026年末以降、90日前の通知により契約を終了できる条件となっている。
マスク氏は、エヌビディアの次世代Vera Rubin GPUについて相当量の供給を受ける見通しも示した。また、GPUを搭載する衛星ネットワーク「Starmind」の構想にも言及しており、両社の協力関係を地上のデータセンターから宇宙空間へ広げる考えだ。
独占採用方針が明らかになった8月4日の時間外取引では、競合する米AMDの株価が大きく下落する一方、エヌビディア株は上昇した。市場は、スペースXの将来のAI設備投資がエヌビディアの需要につながる可能性を意識したとみられる。
■問われる「循環型投資」と市場の反応
エヌビディアがフォーム13Fで開示した上場株式ポートフォリオでは、2026年6月末時点でスペースXとインテルの2社が全体の80%以上を占めた。
同社は非上場のAI企業やインフラ関連企業への投資も拡大している。ジェンスン・フアンCEOは「優れた基盤モデル企業が数多くあり、われわれはそのすべてに投資しようとしている。勝者を選ぶのではなく、全員を支える必要がある」と投資方針を説明している。
一方、ウォール街では「循環型投資」や「循環型売上」と呼ばれる構造への懸念も出ている。これは、半導体サプライヤーが顧客に資金を投じ、その顧客が調達した資金などを使ってサプライヤーの製品を購入する関係を指す。
こうした構造では、AIサービスの最終需要が減速した場合、エヌビディアのGPU売上高と投資先企業の評価額が同時に低下する可能性がある。ただし、顧客が調達した資金のすべてがエヌビディア製品の購入に充てられるわけではなく、投資額をそのままエヌビディアの売上高とみなすことはできない。
フアンCEOは循環型ファイナンスとの批判を「ばかげている」と退け、「需要は実在している」「投下した資本はエヌビディアの売上高ではない」と反論している。
エヌビディアは8月11日、顧客向けに最大5,000億ドルの第三者資金を提供する枠組みについて、大手金融機関6社と覚書を交わしたと発表した。顧客への直接的な資金供給を外部金融機関による融資へ移していく動きと評価するアナリストがいる一方、エヌビディアが資金調達の枠組みに引き続き関与しているとの慎重な見方もある。
フォーム13Fによって明らかになったのは、エヌビディアの株主が、スペースXとインテルに対して二つの経路で影響を受け得るという点だ。両社の事業や投資計画が振るわなければ、エヌビディア製品への需要と、エヌビディアが保有する株式の価値がともに低下する可能性がある。
開示後の時間外取引では、スペースX株が0.35%上昇し、エヌビディア株は0.12%下落した。大きな値動きにはならず、市場は両社の関係そのものより、今回初めて具体的に示された保有額を確認する材料として受け止めたとみられる。
エヌビディアは8月26日に2027会計年度第2四半期決算を発表する予定だ。決算資料では、両社株式の会計上の取り扱いや、6月30日以降の株価下落が財務諸表に与える影響が注目される。
■注目ポイントQ&A
●エヌビディアがスペースXとインテルの株式を保有しているのはなぜですか?
スペースX株は、エヌビディアが2026年1月にxAIの資金調達へ参加し、その後のスペースXによるxAI統合に伴ってスペースX株へ転換されたものです。インテル株は、2025年9月に発表された戦略提携と共同製品開発の一環として、50億ドルの第三者割当増資を引き受けたことで取得しました。いずれも投資収益だけでなく、事業上の関係を深める性格を持つ投資です。
●アナリストが懸念する「循環型投資」とは何ですか?
サプライヤーが顧客に出資し、その顧客が調達した資金などを使ってサプライヤーの製品を購入する構造を指します。最終的なAI需要が減速すると、エヌビディアのチップ売上高と保有株式の価値が同時に低下する可能性があるため、アナリストがリスクを指摘しています。エヌビディアは、顧客の需要は実在し、投資資金と売上高は別のものだと反論しています。
●スペースXが採用を表明した「Vera Rubin」とは何ですか?
エヌビディアが開発する次世代のAIコンピューティングプラットフォームです。Vera CPUとRubin GPU、ネットワーク機器、ソフトウェアなどをラック規模で統合し、大規模なAIモデルの学習や推論処理に対応します。スペースXは、今後の地上AIインフラで採用するほか、計画中の衛星ネットワーク「Starmind」でも利用する構想を示しています。
●インテルもエヌビディア製チップを独占的に採用するのですか?
いいえ。両社が公式に発表しているのは、エヌビディアによる50億ドルの出資と、データセンターおよびPC向け製品の共同開発です。インテルが自社製品や設備でエヌビディア製チップのみを使用するという独占供給契約は発表されていません。
●エヌビディアの出資は利益相反になりませんか?
サプライヤー、株主、共同開発パートナーという複数の立場を兼ねることで、価格設定や製品供給、開発方針と投資利益との関係が複雑になる可能性はあります。ただし、こうした関係が直ちに法的な利益相反や違法行為に当たると確定しているわけではありません。インテルへの出資は必要な規制手続きを経て完了しましたが、規制当局による手続きの完了は、将来にわたって競争上の問題が生じないことを保証するものではありません。
元記事: Nvidia Discloses $50B Equity Stake in SpaceX and Intel: Both Exclusive Chip Buyers
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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