中国DRAM大手CXMT、IPO初日に466%高 米議員は同社製メモリチップの購入禁止を要求

2026年7月30日 01:06

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記事提供元:Tech Times

中国最大のDRAMメーカーであるCXMT(長鑫存儲)は、上海市場への上場初日に、公開価格を約466%上回る終値を付けた。その翌日、米ワシントンでは超党派による議会調査が動き出した。CXMT株は7月27日月曜日、公開価格の1株8.66元(約1.28ドル、約210円)に対し、49.50元(約7.31ドル、約1,200円)で取引を開始した。時価総額は3兆3,100億元(約4,890億ドル、約80.2兆円)となり、取引時間中には一時、公開価格比で535%高まで上昇した。

米連邦政府の高官はNew York Postに対し、この値動きに中国共産党の介入が影響したとの「強い疑念」があると語った。少なくとも2人の超党派の下院議員は、米国企業によるCXMT製メモリチップの購入を全面的に禁止するようトランプ政権に求めている。投資家、サプライチェーン管理者、政策当局者にとっての焦点は、今後の市場と規制がどう動くかである。

以下の元建て金額のドル換算には、2026年7月28日時点の仲値である1元=0.1477ドルを使用している。ドルから円への換算には1ドル=164円を使用した。いずれも概算であり、為替相場の変動によって変わる。

■85.6億ドルを調達し、一時中国で時価総額最大の上場企業に

IPO自体、初日の取引で株価が急騰する前から異例の規模だった。CXMT(正式名称:長鑫科技集団)は、1株8.66元(約1.28ドル、約210円)で66億8,800万株を売り出し、579億2,000万元(約85.6億ドル、約1.4兆円)を調達した。これは2026年にアジアで実施された最大のIPOであり、上海証券取引所の科創板(STAR Market)史上最大の半導体企業の上場でもある。また、2010年の中国農業銀行の上場以降、中国本土の取引所で2番目に大きなIPOとなった。オーバーアロットメント・オプションが全て行使された場合、調達総額は666億元(約98.4億ドル、約1.6兆円)に達する可能性がある。South China Morning PostがIPOについて報じたところによると、上場前の機関投資家の需要は売り出し株数の約570倍に達し、個人投資家の応募倍率も212倍となった。

月曜日の昼休みまでに株価は531%上昇し、CXMTの時価総額は一時3兆6,600億元(約5,410億ドル、約88.7兆円)を突破した。これにより、中国工商銀行や貴州茅台酒を含む全てのA株上場企業を抜き、一時、中国本土の取引所で時価総額最大の企業となった。終値はやや下がったものの、公開価格を約466%上回る水準だった。

このIPOは中国の株式流通市場から大量の資金を吸収し、上場前の数週間でSTAR 50指数を7月1日のピークから約20%押し下げる要因となった。中国のIPO制度では、株式の割り当てが確定するまで投資家の申込資金が凍結される。このため、応募資金を確保する目的で、既存の保有株を売却する動きが生じた。

■CXMTとはどのような企業で、10年足らずでどう成長したのか

CXMTは2016年、合肥市の開発区から1,000万元(約148万ドル、約2.4億円)の初期投資を受けて設立され、10年足らずで世界第4位のDRAMメーカーへと成長した。Counterpoint Researchのアナリスト、MS Hwang氏の推計によると、2026年初頭のCXMTの世界DRAM出荷シェアは約8%だった。サムスン電子の約38%、SKハイニックスの約29%、マイクロン・テクノロジーの約22%に次ぎ、その他の競合企業を上回る水準である。

DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)は、スマートフォンやノートPCからAIサーバー、軍事システムまで、ほぼ全てのコンピューティング機器でデータを一時的に保持するメモリチップである。戦略的な資源でもあり、その供給を支配する企業や国は、現代の軍事、金融システム、AI開発を支えるコンピューティングインフラに対して大きな影響力を持つ。

こうした戦略的重要性を踏まえると、CXMTの台頭に国家の支援が重要な役割を果たしたことも理解できる。合肥市に関係する投資家はCXMT株の36.8%を共同で保有し、最大の株主グループとなっている。安徽省政府系の事業体や、中国の国家半導体投資ファンドである「ビッグファンド」まで含めると、政府関係者による保有はIPO前の株式の約半分に達する。IPOの戦略的投資家にはAlibaba Cloud、Meituan、Xiaomiが含まれる。会長兼創業者のZhu Yiming氏は、自身の保有株について上場後10年間のロックアップを約束した。これは異例に長い保有継続の約束であり、同社の長期的な成長に対する自信を示すものだ。

IPOが熱狂を集めた背景には、明確な業績改善がある。CXMTは2023年に192億3,000万元(約28.4億ドル、約4,660億円)の純損失を計上したが、2025年には初の通期黒字を記録した。2026年第1四半期だけで、売上高は前年同期比719%増の508億元(約75億ドル、約1.2兆円)に達し、親会社株主に帰属する純利益は247億6,000万元(約36.6億ドル、約6,000億円)となった。2026年上半期の帰属純利益は500億~570億元(約73.9億~84.2億ドル、約1.2兆~1.4兆円)になると予想されており、アナリストはこれを1日当たり約3億元(約4,400万ドル、約72億円)の利益に相当すると試算している。

この業績の反転は、CXMT単独の取り組みだけで生じたものではない。サムスン、SKハイニックス、マイクロンが先端製造能力をAIアクセラレーター向けの広帯域メモリ(HBM)に振り向けた結果、汎用DRAM市場の一部で供給余地が生じた。CXMTはその空白を埋めた。Gartnerは2026年2月、DRAMとSSDの価格が年末までに合計で約130%上昇すると予測していた。CXMTは、大手競合企業が販売量よりも利益率を重視したことによる直接的な恩恵を受けている。

■マイクロン株が約5%下落し、米議員は購入禁止を要求

IPO初日の株価上昇の影響は、上海市場だけにとどまらなかった。マイクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)の株価は月曜日の昼までに約5%下落した。CXMTが購入できないEUV露光装置を製造するオランダのASMLは7%以上下落した。SKハイニックスの米国上場預託証券(ADR)も、同社の2026年第2四半期決算の発表を前に約6~8.5%下落した。

この売りは、投資家が想定する2つのシナリオに対する不安を反映している。短期的には、CXMTによる汎用DRAMの生産拡大が、Goldman Sachsが2026年に4.9%と推計した世界的な需給ギャップを解消する可能性は低い。このギャップは過去15年間で最も深刻とされる。一方、中期的には、CXMTが生産能力の拡大を続け、既存メーカーもHBMから汎用DRAMへ再び生産能力を振り向けた場合、供給増による価格圧力が生じる可能性がある。その結果、2026年を通じてメモリメーカーに大きな利益をもたらしてきた高い利益率が圧迫されかねない。

全てのアナリストが、この株価下落を合理的とみているわけではない。Morgan Stanleyは、月曜日の欧米半導体株の下落を「魅力的な投資機会」と評価した。データセンター向けメモリの不足が深刻化し、2026年第3四半期だけで価格が25%以上上昇していることを理由に挙げている。KeyBancはマイクロンの目標株価を1,750ドルに据え置き、2026年第4四半期までDRAM価格が前四半期比15~20%上昇すると予測した。HSBCもサムスンとSKハイニックスの両社に対する「買い」評価を維持した。

米連邦議会の反応は、より強硬だった。一部の米議員は、国家安全保障と経済安全保障への懸念を理由に、米国企業によるCXMT製メモリチップの購入を全面的に禁止するようトランプ政権に求めた。下院中国特別委員会のジョン・ムーレナー委員長とジョージ・ホワイトサイズ下院議員は7月16日、ハワード・ラトニック商務長官に書簡を送り、中国製メモリチップへの依存は「米国の国家安全保障、経済安全保障、サプライチェーンの安全保障にとって容認できないリスク」をもたらすと主張した。米連邦政府の高官はNew York Postに対し、IPO時の異例の値動きに中国共産党の介入が影響したとの「強い疑念」があると語った。

こうした要求は複雑な状況の中で出されている。報道によると、米商務省は2026年6月、CXMTをエンティティリストに追加するとの勧告を一時保留した。エンティティリストに掲載されれば、米国企業とCXMTとの取引は厳しく制限される。この保留は、北京との貿易交渉に混乱が生じることを避けようとするトランプ政権の幅広い取り組みの一環とされる。

CXMTはすでに、中国軍との関係が疑われる企業を掲載する米国防総省の1260Hリストに含まれている。6月8日に公表された更新版では、2月の草案で一時的に削除されていたCXMTとYMTC(長江存儲科技)が引き続き掲載された。

■米議会がEUV販売からDUV装置の保守へ規制対象を広げる理由

CXMTに関する最も重要な技術的事実は、米国の輸出管理戦略が現在進行形で見直されている理由も説明している。

CXMTは、極端紫外線(EUV)露光装置を使わずに生産ロードマップを築いてきた。EUV露光装置は、サムスン、SKハイニックス、マイクロンが先端メモリチップの微細な回路を形成するために使用している装置である。ASMLのEUVシステムは波長13.5ナノメートルの光を使い、1回の露光でチップの回路を形成することで、従来は困難だった微細化を可能にする。

ASMLはこれまで、中国にEUV装置を出荷していない。米国の圧力を受けて2019年以降維持されているオランダの輸出規制が、その出荷を禁止しているためだ。EUV装置へのアクセス制限が、中国の半導体産業にとってのチョークポイントになると考えられていた。

CXMTはこれに対し、深紫外線(DUV)マルチパターニングと呼ばれるプロセスを採用した。波長193ナノメートルの光を使い、自己整合ダブルパターニング(SADP)や自己整合クアドラプルパターニング(SAQP)と呼ばれる技術により、各回路層を2~4回に分けて露光する。

露光回数が増えるほど小さな位置合わせ誤差が蓄積し、製造工程も増えるため、歩留まりは低下し、ビット当たりのコストは上昇する。その結果、CXMTの現在のビット当たりコストはサムスンやSKハイニックスを30%以上上回っている。同社の先端プロセスであるG4世代のセルサイズは約16ナノメートルで、大手DRAMメーカーが2018~2019年ごろに到達していた水準に相当する。Seoul Economic DailyとTechInsightsのアナリストは、プロセス世代の差を約2~3世代とみている。

ただし、この回避策は、時価総額約4,900億ドルの企業を生み出すには十分に機能した。CXMTは現在、EUV装置を利用せずに技術格差をさらに縮められる可能性のあるアーキテクチャを開発している。

韓国紙のHankgyung(韓国経済新聞)は7月、CXMTが合肥工場で接合DRAM(bonded DRAM)の試験生産を開始したと報じた。これは、メモリセルアレイと周辺制御回路を別々のウェハー上に製造し、ウェハー同士をハイブリッドボンディングで接合する方式である。それぞれのウェハーを実現可能なDUVプロセスで個別に形成するため、単一のDUV加工ウェハーでは到達できない密度を実現できる可能性がある。

サムスンも「B1b」プロジェクトで同様のアーキテクチャを開発している。Hankgyungが紹介した韓国業界の評価によると、CXMTによる接合DRAMの開発は、韓国の競合企業が予想していたよりも速く進んでいる可能性がある。量産規模で確認されれば、EUV規制がチョークポイントとしてどこまで有効かという前提を揺るがす可能性がある。

米議会が、すでに禁止されているEUV装置の販売から、現在は認められているDUV装置の保守サービスへ規制対象を広げようとしているのは、このためだ。アーキテクチャによる回避策が実用化できるのであれば、CXMTの工場に設置済みのDUV装置に対するASMLの保守サービスを遮断することが、次の規制手段になる。

2026年4月22日、下院外交委員会は「MATCH Act(ハードウェアに関する技術管理の多国間連携法案)」を可決した。この法案にはジム・リッシュ、ピート・リケッツ、アンディ・キムの各上院議員が超党派で関与し、チャック・シューマー上院民主党院内総務が共同提案者となった。下院ではマイケル・ボームガートナー議員が主導している。

法案はCXMT、SMIC、YMTC、Hua Hong、Huaweiを、エンティティリストと同等の規制を受ける対象施設に指定する。新しい装置の販売だけでなく、設置済み装置の保守と技術支援も禁止する内容である。半導体製造装置は、歩留まりを維持するため、定期的な調整、部品供給、技術支援を必要とする。こうした支援が遮断されれば、CXMTの既存の生産能力は時間の経過とともに低下する可能性がある。MATCH Actはまだ成立していない。

■米国企業はCXMT製チップを合法的に購入できるか

現在、米国の民間企業がCXMT製メモリを購入することを一律に禁止する規制はない。ただし、調達を取り巻く環境は3段階で変化している。米国政府との契約を持つ企業や、将来の契約を目指す企業は、それぞれの規制時期をサプライチェーン計画と照らし合わせる必要がある。

2024会計年度国防権限法(NDAA)第805条に基づく米国防総省(DoD)の直接調達禁止は、2026年6月30日に発効した。これにより国防総省は、CXMTを含む1260Hリスト掲載企業と直接契約を結んだり、既存の契約を更新したりすることを禁じられている。

その1年後の2027年6月30日には間接調達の禁止が発効する。国防総省は、サプライチェーンの仲介業者を通じた関係を含め、1260Hリスト掲載企業と間接的に関係する企業から、物品、サービス、技術を購入しなくなる。さらに2023会計年度NDAA第5949条に基づき、2027年12月23日以降は、国防総省だけでなく全ての連邦政府機関が、CXMT、その子会社、関連会社、後継企業の半導体製品を調達できなくなる。

Appleの状況は、この複雑さを示している。Appleは中国で販売する機器向けにCXMTのLPDDR5Xメモリをテストしている。同時に、CXMTをエンティティリストに追加しないとの確約をホワイトハウスと商務省から得るため、米国のテクノロジー企業によるロビー活動を主導している。

Appleのティム・クックCEOはThe Wall Street Journalに対し、メモリ価格の上昇が異例の製品価格引き上げを余儀なくしたと語った。AIサーバー需要によって消費者向け機器から生産能力が移ったため、2026年初頭にはDRAMの契約価格が推定55~60%上昇したという。CXMTへの制限を緩和すべきかと問われたクック氏は、米国は「あらゆる供給源を検討すべきだ」と述べた。CXMTとの供給契約は発表されていない。

米国政府に製品を供給している企業や、今後供給する予定の企業は、CXMT製部品を調達する前にサプライチェーンのコンプライアンス審査を行うべきである。コンプライアンス上の問題は、CXMTがエンティティリストに追加された場合に初めて生じるわけではない。1260Hリストに基づく調達制限はすでに発効している。

■CXMTが競争できない領域――依然として大きいHBMの格差

広帯域メモリ(HBM)は、CXMTの技術的な遅れが最も大きな影響を及ぼす分野であり、AI業界で最も需要が切迫している領域でもある。

HBMは、シリコン貫通電極(TSV)を使って8個以上のDRAMダイを垂直に積層し、シリコンインターポーザー上でAIアクセラレーターのすぐ隣に配置する。TSVは、各ダイのシリコンを貫通する銅製の接続部分である。この構造により、従来のDDR5の約50ギガバイト/秒に対し、約1テラバイト/秒のメモリ帯域幅を実現する。約20倍の差があるため、NVIDIAやAMDなどのAIアクセラレーター設計企業は、標準的なDDRではなくHBMを必要としている。

SKハイニックスは売上高ベースで世界のHBM市場の約50~56%を占め、16層積層のHBM4を量産している。残りの大半はサムスンとマイクロンが占める。CXMTはAIアクセラレーターの評価用としてHuaweiにHBM3のサンプルを提供しているが、HBM向けの生産は月間約26万5,000枚のウェハー投入量の2%未満、約5,000枚にとどまる。この投入量は2027年末までに月間5万5,000枚に増えると予測されている。

CXMTがHBM3Eの量産開始目標としているのは2027年である。最も高い利益率と大きなAIインフラ収益を生むこの分野で、先行企業に約3年遅れていることになる。

HBMの技術格差は、以前推定されていた5年以上から縮小している。これは、国家主導による資本投入と技術獲得の速度を反映したものだ。HBMに必要なTSV積層工程は、平面方向のリソグラフィ微細化ほどEUVパターニングに直接依存しない。このため、CXMTにとって装置上の制約は、プロセスノードの微細化よりも先端パッケージングで対応しやすい。

それでも、CXMTは現時点でAIアクセラレーター向けメモリ市場に実質的に参入できていない。CXMTのDRAMは、消費者向け、PC向け、一般的なサーバー向け市場には供給できる。しかし、現在のメモリ市場の好況をけん引するAIの学習・推論市場には供給できない。

■中国の産業政策が証明したことと、まだ証明していないこと

月曜日の上場で最も重要なのは、一企業の成功だけでなく、中国の産業育成モデルについて何を示したかという点かもしれない。

CXMTは2016年に公的資金で設立され、累計約54億ドル(約8,860億円)の損失を計上した期間も、市場からの圧力を緩和されてきた。政府系ファンド、地方政府の補助金、政策的に誘導された国内需要からなるネットワークによって育成された結果、1,000万元(約148万ドル、約2.4億円)の資本で始まった企業が、10年足らずで時価総額3.3兆元(約4,880億ドル、約80兆円)、世界第4位のDRAMメーカーへと成長した。

Gavekal Dragonomicsの中国調査副ディレクター、Christopher Beddor氏は、合肥市が長年にわたって赤字のCXMTを支援し、現在は大きな利益を得られる立場にあると説明した。その利益は家計に分配されるのではなく、電気自動車、AI、先端製造業など、将来の戦略分野に再投資されると予想される。

同じ情報を基にしながら、2人のアナリストの評価には678%の開きがある。NomuraのDonnie Teng氏は、CXMTの世界DRAM市場シェアが現在の約10%から2028年末までに約18%へ拡大すると予測し、目標株価を116元(約17.14ドル、約2,810円)とした。これはIPO価格を約1,239%上回る。

一方、Morningstarのアナリスト、Wei Jingjie氏は、適正価値を14.90元(約2.20ドル、約360円)とした。IPO価格を72%上回るものの、月曜日の始値を約70%下回る。同氏は、EUV装置へのアクセス制限によってビット当たりコストの格差を解消できず、CXMTの評価倍率はメモリ専業の大手企業を下回るべきだとみている。この評価の隔たりは、市場がまだ把握できていない不確実性の大きさを示している。

初日の株価がどう動いたかにかかわらず、4つの構造的な制約は残る。

第一に、資本を投入するだけではコスト格差は解消しない。CXMTのビット当たりコストがサムスン、SKハイニックス、マイクロンを30%以上上回るのは、DUVマルチパターニングという製造工程に起因する。IPOで調達した85.6億ドルは、この問題を直接解決しない。格差の解消には、使用を禁じられているEUV装置か、接合DRAMのような代替技術が必要になる。接合DRAMは、まだ試験生産の段階にある。現在の高いDRAM価格の下ではコスト格差は目立たないが、市場価格が正常化すれば、CXMTが市況の転換後も利益率を維持できるかを左右する。

第二に、ベンチマークの信頼性には隔たりがある。消費者向けDDR5の性能差は大幅に縮小しており、2026年2月に行われた独立系のハードウェアテストでは、CXMT製チップを採用したDDR5メモリが、ゲーム用途でサムスンやSKハイニックスの同等製品と競争できる性能を示した。

一方、主要なサーバーワークロードについて、独立した第三者が行った企業向け製品の認定データは限られている。CXMTも、先端DDR5製造ラインの歩留まりを公表していない。中国の国有系メディアに掲載されたベンチマーク結果は、名称を明らかにした独立監査機関によって確認されるまで、未確認情報として扱うべきである。

第三に、エコシステムと運用上の摩擦が存在する。CXMTのDUV工程で製造したチップは、米国外で販売される機器向けにHP、Dell、Acer、Asusの認定を受けている。国際的な製品認定を取得できることは実証されている。

しかし、米国政府と関係する顧客が、連邦政府の調達対象となる製品にCXMT製部品を組み込めば、サプライチェーン上の規制と直接衝突する可能性がある。コンプライアンス上の期限は、2027年12月まで段階的に到来する。

第四に、国家への情報提供義務は固定された法的条件である。2017年に施行された中国の国家情報法は、第7条により、その管轄下にある全ての組織と国民に対し、国家の情報活動を支持、援助、協力するよう義務付けている。第14条には適用を拒否する仕組みがない。2014年の反スパイ法も、組織が求められた情報を正確に提供し、拒否してはならないと定めている。

中国のサイバーセキュリティ法は2016年に制定され、2026年1月1日に改正法が施行された。2021年のデータセキュリティ法とともに、データの国内保存や政府によるアクセスに関する義務を課している。これらの義務は、CXMTが上場企業になったこと、データの物理的な保存場所、企業統治上の約束にかかわらず適用される。

CXMTのチップ自体が、単独でエンドユーザーのデータを収集・送信するわけではない。主なコンプライアンス上の問題は、CXMT自身の社内システム、製造データ、サプライチェーン情報にある。ただし、IPO前には国有株主がCXMT株の約36.3%を保有していた。いかなる企業構造を採用しても、中国の管轄下で事業を行うことに伴う法的義務をなくすことはできない。

CXMTの上場は、中国の産業育成モデルが一定の成果を上げたことを示した。一方、CXMTは、AIインフラ市場への参入を左右するHBMの格差を縮められるか、メモリ市況が転換した後も汎用DRAMの利益率を維持できるか、EUV装置だけでなく保有済みのDUV装置の保守まで対象にしようとする規制強化を乗り越えられるかを、まだ証明していない。この3点が、月曜日の466%上昇が成長物語の始まりなのか、それとも最も大きな見せ場だったのかを左右する。

■注目ポイントQ&A

●米国企業はCXMTのメモリチップを合法的に購入・使用できますか?

現在、米国の民間企業によるCXMT製メモリの購入を一律に禁止する規制はありません。ただし、コンプライアンス上の制約は決められた日程に沿って強まります。米国防総省による直接調達の禁止は2026年6月30日に発効しました。最終製品に組み込まれたCXMT製部品などを対象とする間接調達の禁止は、2027年6月30日に発効します。2023会計年度NDAA第5949条に基づき、2027年12月23日以降は、全ての連邦政府機関がCXMTとその関連会社の半導体製品を調達できなくなります。米国政府に製品を供給している企業や、今後供給する予定の企業は、期限の到来を待たず、CXMT製部品を調達する前にサプライチェーンのコンプライアンス審査を行うべきです。

●CXMTのIPO後、なぜマイクロンの株価は下落したのですか?

市場はCXMTの上場を、中国の国家主導による半導体産業育成が、既存メーカーの予想よりも速く成果を上げている証拠と受け止めました。マイクロン、SKハイニックス、ASML、Western Digitalの株価下落は、主に2つの懸念を反映しています。1つは、CXMTによる汎用DRAMの生産拡大が、既存メーカーに恩恵をもたらしている高価格に将来圧力をかけるとの懸念です。もう1つは、CXMTの接合DRAM開発によって、同社が高付加価値分野へ参入することを阻んできた技術格差が縮まる可能性です。Morgan Stanleyは今回の下落を「魅力的な投資機会」と評価し、データセンター向けメモリ需要は構造的に過小評価されていると主張しました。KeyBancもマイクロンの目標株価を1,750ドルに据え置きました。こうした評価が正しいかどうかは、DRAMの高価格が2027年まで続くのか、それより早く正常化するのかに大きく左右されます。

●AI用途で、CXMTのDRAMはサムスンやSKハイニックスと比べてどうですか?

消費者向けDDR5では、性能差は大幅に縮小しています。2026年2月の独立系ハードウェアテストでは、CXMT製チップを採用したDDR5メモリが、現在の仕様においてサムスンやSKハイニックスの同等製品とほぼ同じゲーム性能を示しました。しかし、AIインフラ用途では依然として大きな差があります。SKハイニックスとサムスンはHBM4を量産しており、HBMは約1テラバイト/秒のメモリ帯域幅を提供します。CXMTがHBM3Eの量産開始目標としているのは2027年で、AIアクセラレーターメーカーが必要とする分野で約3年遅れています。CXMTが現在競争できるのは主に消費者向けDRAMであり、AIの学習・推論向けメモリではありません。

●中国の国家情報法は、CXMT製チップを購入する企業にとって何を意味しますか?

2017年の中国国家情報法は、第7条により、中国の管轄下にある全ての組織と国民に対し、国家の情報活動を支持、援助、協力するよう義務付けています。第14条には適用を拒否する仕組みがありません。これは、中国の管轄下で事業を行う企業から調達する際に適用される法的条件です。企業統治上の約束、欧米に置かれた子会社の所在地、秘密保持契約によって、この義務がなくなるわけではありません。CXMT製チップが単独でエンドユーザーのデータを収集するわけではないため、主な問題は導入後のチップそのものではなく、CXMTの社内システムや製造データにあります。ただし、米国政府との契約上の義務、防衛関連の認証、機密性の高いワークロードを扱う調達部門は、発注前にこの点を調達判断へ反映させる必要があります。

元記事: CXMT’s 466% First-Day Surge Spooked Micron and Triggered a Capitol Hill Probe

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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