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プライベートクレジットは金融株に波及するのか 金融庁も注目するリスクとは
海外でプライベートクレジットを巡る警戒感が高まる中、日本の金融株にも波及するのかが注目されている。
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金融庁は、大手金融機関のプライベートクレジット向けエクスポージャー(投融資の関与度合い)の把握に動いている。現時点で国内に大きな問題があるわけではないが、海外発のストレスが日本の金融機関にどの程度影響し得るのかを見極めようとしているためだ。財務相も、足元では国内で大きな問題にはなっていないとの認識を示している。
プライベートクレジットとは、銀行融資や公募債とは異なる形で、非公開の相対取引を通じて企業に資金を供給する仕組みを指す。高い利回りが期待できる一方で、流動性が低く、価格や評価が見えにくいという特徴がある。
米国では市場規模が約3.5兆ドルに達し、足元では個人向け色の強いファンドで解約請求が急増し、買戻し制限が表面化する事例も出ている。米運用会社アレスは大きなデフォルトサイクルの兆候はないとする一方、足元のストレスの中心は流動性や評価の不透明さにあると見られている。
日本では、銀行貸し出しが厚いこともあり、プライベートクレジット市場そのものはまだ大きくない。ただ大手金融グループは、この分野を無視しているわけではない。
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2024年10月に米運用会社ゴラブ・キャピタルと戦略提携を結び、日本での販売面でも協力を進めている。MUFGは2025年にクレジットソリューション会社を立ち上げた。SMBCグループもプライベート市場分野の体制整備を進めている。
日本で広がりつつあるのは、国内企業向けの大規模な直接貸付市場というより、海外ファンド商品の販売、ファンドへの投融資、組成・仲介といった領域だ。
投資家目線で見ると、プライベートクレジットは単なる高利回り資産ではない。株より価格変動が表面化しにくい半面、換金しづらく、評価が遅れて見えることがある。米国で起きた解約制限は、見た目は安定していても、いざ資金を戻したいときに制約が出ることを示した。
したがって、今後この分野を扱う金融株を見るうえでは、表面利回りだけでなく、流動性、関与の仕方、リスク管理の質をどう確保しているかが注目点になりそうだ。
もっとも、現時点で日本の金融株に直ちに大きな逆風になるとまでは言い切れない。日本では市場自体が小さく、当局も国内で直ちに大きな問題があるわけではない、としているためだ。
一方で、海外で解約圧力や評価不安が表面化する中、日本の大手金融機関がどの程度この分野に関与し、どのようにリスクを管理しているのかは、じわりと意識されるテーマになりつつある。プライベートクレジットは、日本株にとってまだ周辺的な話題に見えても、金融株を見るうえでは無視しにくい論点になりそうだ。(記事:林田孝治・記事一覧を見る)
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