日本エム・ディ・エム、26年3月期は供給制約影響も、ODEV社強化で27年3月期収益回復へ

2026年3月27日 07:53

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は人工関節製品など整形外科分野を主力とする医療機器メーカーである。米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品を主力に、商社機能と開発主導型メーカー機能を融合した独自のビジネスモデルを展開している。26年3月期は減益予想としている。外部に製造委託している米国の人工膝関節再置換製品の納期遅延に伴う供給制約、米国相互関税影響による調達コストの上昇などが影響する見込みだ。ただしODEV社の製造能力強化、調達力強化によるコスト削減・サプライチェーンリスク低減などを通じて収益性の改善を進めており、27年3月期は積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は動意づいて乱高下したが、再動意の動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。なお4月30日に26年3月期決算発表を予定している。

■整形外科分野の医療機器メーカー、米国子会社製品が主力

 人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器メーカーである。米国子会社ODEV社製品を主力に、商社機能と開発主導型メーカー機能を融合した独自のビジネスモデルを展開している。なお22年1月に三井化学<4183>が筆頭株主(25年3月31日現在の議決権所有割合30.01%)となっている。

 海外展開として、米国では販売体制強化と人工関節分野新製品導入による2桁成長を目指している。中国では21年5月に、米国ODEV社が中国WASTONと中国現地生産品の製造・販売を目的として合弁会社WOMA社を設立した。米国ODEV社製品の輸入販売拡大と中国現地生産品の製造・販売開始を目指している。

 25年3月期のセグメント別(セグメント間取引・全社費用等調整前)は、日本の売上高が136億34百万円で営業利益が7億94百万円、米国の売上高が155億11百万円で営業利益が5億90百万円だった。米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで75百万円米ドル、円換算後で114億79百万円(為替1米ドル=152円50銭)だった。医療機器類の品目別売上高(セグメント間取引相殺消去後、日本は販売促進費控除前、米国は円換算後)は、人工関節は日本が52億37百万円で米国が114億49百万円、骨接合材料(日本)は46億53百万円、脊椎固定器具は日本が35億43百万円で米国が30百万円だった。自社製品売上比率は80.7%だった。

 収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。

■新製品の開発拡大

 新製品としては、米国ODEV社との日米共同開発による適応症例拡大に向けたインプラント開発や、新素材インプラントや手術支援システムなど外部調達によるビジネス拡大を推進している。

 24年3月にはODEV社製造の人工膝関節製品BKS(Balanced Knee SYstem)に関して、中国の合弁会社WOMA社が中国における薬事承認を取得し、中国での製造を本格的に開始した。また、ODEV社の人工股関節新製品「Trivicta Hip Stem」が米国食品医薬品局(FDA)薬事承認を取得し、米国での販売を開始した。

 24年7月には、ODEV社製造の人工股関節大腿骨ステムOvation Tribute NEOシステムの薬事承認取得を発表した。24年8月には、人工股関節用フェモラルヘッドの新商品JMDM BIOCERAM AZUL セラミックヘッド(京セラに開発・製造委託)を発表した。

■長期ビジョンおよびローリングプラン2028

 長期VISION「RT500」(25年3月期~33年3月期)では、定量目標に最終年度33年3月期の売上高500億円、営業利益率15%以上、ROE10%以上、ROIC8%以上、配当性向30%以上を掲げている。

 また経営計画のローリングプラン2028(26年3月期~28年3月期)では、最終年度28年3月期の目標値(為替前提1米ドル=145円)として売上高312億円、営業利益33億円、当期純利益23億50百万円、ROE8.4%、ROIC7.1%、配当性向30%以上を掲げた。重点施策として、サプライチェーン問題の早期解決に取り組み、主に新製品導入による米国売上高の2桁成長復帰によって連結売上高を拡大するほか、原価低減や販管費効率化等により収益性改善を推進する。

 サステナビリティの取り組みも強化している。22年3月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明するとともに、同提言に賛同する企業や金融機関からなるTCFDコンソーシアムに参画した。22年6月には国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名し、参加企業として登録された。併せて、UNGCに署名している日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入した。

 24年7月にはFTSE Russellにより構築された日本株ESG指数「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に2年連続で選出された。25年12月には、国際的な環境評価の情報開示システムを運用するCDPから、気候変動によるリスクや影響を管理している企業として昨年に続いて「B」スコア(マネジメント)に認定された。水セキュリティに関しては「自社の環境リスクや影響について把握し、行動している」と評価されたことを示す「B-」スコア(マネジメント)に認定された。

■26年3月期減益予想だが27年3月期収益回復基調

 26年3月期の連結業績予想(25年10月30日付で2回目の下方修正)は、売上高が前期比1.3%減の248億円、営業利益が55.0%減の7億円、経常利益が63.1%減の5億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が3億円(前期は4億61百万円の損失)としている。配当予想は前期比2円増配の17円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は149.4%となる。

 米国における人工膝関節製品の供給制約、米国相互関税影響による調達コストの上昇、労務費増加による製造コストの上昇、円安に伴う日本での輸入仕入原価の悪化などを見込んでいる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比2.9%減の179億28百万円、営業利益が57.9%減の5億18百万円、経常利益が60.2%減の4億75百万円、親会社株主帰属四半期純利益が67.3%減の2億87百万円だった。

 減収減益だった。外部に製造委託している米国の人工膝関節再置換製品の納期遅延に伴う供給制約などが影響し、利益面では米国相互関税影響による調達コストの上昇、供給優先対応に伴う労務費の増加、日米双方での賃上げによる人件費増加なども影響した。

 セグメント別(セグメント間取引・全社費用等調整前)に見ると、日本は売上高が1.4%減の97億95百万円で営業利益が14.4%減の4億68百万円、米国は売上高が4.1%増の118億48百万円で営業利益が84.3%減の87百万円だった。米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで2.3%減の54百万米ドル、円換算後で4.6%減の81億33百万円だった。米国売上の為替換算レートは1米ドル=149円33銭(前年同期は1米ドル=152円90銭)だった。

 製品別売上高(セグメント間取引相殺消去後、日本は販売促進費控除前、米国は円換算後)は、人工関節は日本が人工膝関節置換術の獲得症例数減少などで2.0%減の36億80百万円、米国が人工膝関節再置換製品の供給制約の影響で4.6%減の81億08百万円、骨接合材料(日本)は製品ポートフォリオ見直しに伴う販売中止予定製品の影響などで3.6%減の33億02百万円、脊椎固定器具(日本と米国の合計)は「KMC Kyphoplastyシステム」が2桁成長した一方でPedicle Screw等の獲得症例数減少により0.4%増の26億50百万円だった。全体の自社製品売上比率は1.5ポイント低下して79.5%となった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が59億20百万円で営業利益が1億50百万円、第2四半期は売上高が56億90百万円で営業利益が58百万円、第3四半期は売上高が63億18百万円で営業利益が3億10百万円だった。

 26年3月期は減益予想としている。外部に製造委託している米国の人工膝関節再置換製品の納期遅延に伴う供給制約、米国相互関税影響による調達コストの上昇、供給優先対応に伴う労務費の増加、日米双方での賃上げによる人件費増加などが影響する見込みだ。

 ただしODEV社の製造能力強化、調達力強化によるコスト削減・サプライチェーンリスク低減などを通じて収益性の改善を進めている。さらに下期の重点施策として国内販売では事業本部制による専門性・営業体制強化による販売拡大、米国販売では人工股関節新製品「Trivicta Hip Stem」の全米展開による販売拡大、開発面では人工関節分野製品のαローンチ、製造面ではサプライチェーン問題の解決と安定供給体制の再構築、SAICOプロジェクトによる製造原価低減、調達力強化によるコスト削減・リスク低減を推進するほか、中国では中国製人口股関節の薬事承認取得・製造開始、人工膝関節の製造拡大を推進する。27年3月期は積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は再動意

 株価は動意づいて乱高下したが、再動意の動きを強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。3月26日の終値は578円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円38銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS937円15銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約153億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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