iPS細胞の再生医療実用化にかかる期待

2026年2月26日 17:54

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●世界初!iPS細胞の再生医療が実用化へ

 2月19日、厚生労働省の部会で、iPS細胞を活用した再生医療製品2品について製造販売の承認を認める判断を下した。世界初の実用化となる。

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 承認されたのはクオリプスの重症心不全治療用心筋シート「リハート」と、住友ファーマのパーキンソン病治療薬「アムシェプリ」の2品。

 両社が審議予定と公表して以降、クオリプスは9500円だった株価は12000円台に、住友ファーマも2400円台から3200円台まで上昇する場面があった。

 2006年に山中伸弥教授がiPS細胞を発見してから20年となるが、日本が再生医療立国として道を拓けるのだろうか?

●iPS細胞とは?再生医療とは?

 iPS細胞は2012年に京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことでも有名で、“魔法の細胞”とも言われる。

 同じような役割としてES細胞(人工多能性幹細胞)があるが、受精卵を破壊して作られることで、倫理観の問題と移植時に拒否反応が起きやすく、実用化が進んでいない。

 iPS細胞は自分の皮膚や血液から作ることができることが画期的で、倫理的な問題も拒絶反応の問題もクリアできる。

 再生医療は、化学合成薬などで修復不可能な重度の損傷や、疾患で失われた組織・臓器の機能を回復することである。iPS細胞で新しい細胞や臓器を作り、それを移植して治療することが可能になる。

 また、iPS細胞は“病気の心臓”などを再現することができ、創薬にも役立てる。

●ゴールはまだまだ先?

 実用化を受けての株価上昇は「行き過ぎ」との指摘もあり、報道後は材料出尽くしで住友ファーマは2500円台、クオリプスも7500円台に下落し、上昇分を打ち消した。

 実用化と言っても、“一般化”するにはいくつもの高いハードルがある。

 1人分のiPS細胞を作るのにコストは、数千万円から1億円以上かかるとも言われており、期間も半年以上必要で、人件費も検査費も膨大な負担となる。

 他人の細胞でストック化することが不可欠で、大量生産には細胞製造ロボットが必要となる。AIやロボットの進化も急がれる。

 公的医療保険の対象のため、患者の負担は抑えられるとはいえ、治療は高度な医療機関に限られ、効果が認められなければ除外される可能性も否定できない。

 iPSでは日本が大きくリードしているが、ES細胞では欧米がリードしており、逆転されることも考えられる。

 iPS細胞・再生医療立国への道はまだまだ遠い。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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