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高市自民圧勝で現実味を帯びる食料品消費税ゼロ 価格は本当に8%下がるのか?
●高市自民の衆院選圧勝で食料品消費税ゼロの検討加速へ
2月8日に投開票が行われた衆議院議員選挙は、高市早苗首相率いる自民党が316議席(追加公認含む)を獲得する圧勝に終わった。
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その結果、高市首相は民意を得たとして、自身の悲願とする食料品の消費税ゼロについて、検討を加速するよう党内に指示した。実現した場合、食料品の価格は本当に減税分の8%下がるのか、具体例を挙げて考察する。
●消費税の基礎(1)納税義務者は事業者である
はじめに国税庁のホームページ「消費税の仕組み」から、消費税の納税者と負担者について確認しておこう。
国税庁は消費税の納税と実際の負担について以下のように定義している。
「消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します」
「商品などの価格に上乗せされた消費税と地方消費税分は、最終的に消費者が負担し、納税義務者である事業者が納めます」
つまり消費税と名が付いていても、消費者が直接納税するわけではないのだ。消費者は消費税が加算された価格で商品を購入し、事業者が消費者から預かった消費税相当分を納税する仕組みになっている。
実態は「売上税」であるといわれるのは、そのような理由があるためだ。
●消費税の基礎(2)商品の価格には2種類ある
次に、実際に食料品消費税ゼロが実施された場合の、減税効果について見ておこう。
消費者がスーパー等で購入する商品の価格には2種類ある。100円の食パンを例にとると、プライスカードには以下のように表示されているケースが多い。
本体価格100円(税込108円)
「本体価格」は食パンそのものの価格であり、カッコ内は消費税8%が加算された「税込販売価格」である。これが、食料品消費税ゼロが実現すると以下のように変化する。
本体価格100円(税込108円)
↓
本体価格100円
税込価格が存在しなくなるため、消費者は食パンを本体価格の100円で購入できるようになる。本体価格が変わらないという前提であれば、8%分ストレートに減税効果を受けられるようになるだろう。
しかし事は、そう単純にはいかないようだ。
●消費減税が物価高を誘発するといわれる理由は?
先に述べた2つの価格のうち、本体価格はメーカーや販売店の裁量で自由に決めることができる。スーパーの安売りセールなどのケースが当てはまるが、食料品の消費税ゼロが実現すれば消費者の購入余力が向上するため、セールは相対的に減る可能性がある。
また減税が決定してから実施されるまでは、システムの改修などに1年程度かかる見込みから、実施後に便乗値上げといわれないために、早めに値上げを実施しておこうという動きが広がることも予想される。
減税で形式上は消費税8%分、消費者の負担は減るが、本体価格自体が上がれば、実質的には8%以下の減税効果になってしまう可能性は、十分にあるだろう。
これが、消費減税が物価高を誘発するといわれる理由である。
●消費減税が株式市場に与える影響は?
最後に市場に与える影響だが、インフレは基本的に企業の売上高を押し上げることから、適度な上昇であれば市場にはプラス要因とされる。食料品の減税でこれまで抑えられていた消費意欲が改善するため、買い上げ点数の増加などが期待できるだろう。
また食費が減った分で、ほかの商品を購入する人もいることから、減税効果が幅広い業界に及ぶ可能性もある。
ただし、インフレも行き過ぎると逆効果になるため、インフレ率の変化も注視しながら投資戦略を考えることが求められる。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る)
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