トヨタ自動車の社長交代にみる、「サプライズ」の難しさ

2026年2月14日 13:42

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 2月6日、日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車の株が一時200円上昇し、4,000円の高値をつけた。 すぐに確定売りが進むものの、一時的に日本株の相場を大きく賑わせる。

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 昼過ぎに「業績以外の内容で記者会見の予定がある」と事前発表され、マスメディアに「何が来るんだ」と思わせておいての重大発表となった。創業家である豊田章男から非創業家である佐藤恒治社長に交代してから、わずか3年後の社長人事である。

 個人投資家がトヨタ自動車のような個別株を購入するには、「3つの買い方」があるといわれている。

 1つは長期保有で、配当金や株主優待を目的とするもの。もう1つは大きなモニタと向き合い続けるデイトレード(スキャルピングトレード)だ。その中間が「スイングトレード」である。各企業の業績やニュースを踏まえ、約3カ月から6カ月を目安に個別株の売買を行うスイングトレードスタイルにとっては、読みの難しいチャートの動きだ。

■トヨタ自動車の社長交代は「読めた」のか

 さすがはトヨタ自動車の存在感だ。社長交代の記者会見が終わると新任の近(こん)社長、社長を退く佐藤社長の応対を踏まえ、「なぜ社長交代が行われるのか」の分析記事が報じられる。ただこの時点で、トヨタ自動車の日足は伸び切っており、確定売りの段階に入っていた。

 後から振り返れば、「売上の割に伸びない利益率」から大がかりな幹部人事が行われるかもしれないという「分析」が考えられる。また近新社長は静岡県裾野市に展開する「トヨタ・ウーブン・シティ」の責任者であり、将来的に「脱・自動車メーカー」を目指すトヨタ自動車にとって、象徴的な人事であることは間違いない。

 ただ、それでも強弁するのは、今回の社長交代を「読めた」人はほぼ皆無だろう。後からでは何とでもいえる。言い換えれば、普段からトヨタ自動車の個別株としての特徴を定期的にウォッチしており、「そろそろテコ入れがある」と思っていた人は、今頃しっかりとした売却利益を得ていることだろう。

 投資に関わる仕事をしている人間は、今一度「トヨタの急騰日足は読めたのか」を自戒する必要がある。もちろん預言者ではないが、今回はそれだけのサプライズだったといえる。(記事:株式会社FP-MYS 工藤 崇・記事一覧を見る

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