好収益:葬祭会館のティア、創業者の「葬儀料不透明」に対する怒りが原点

2026年2月10日 17:23

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 一昨年夏、亡き父親の葬式を葬儀屋に依頼した。いま、猛省している。一口で言えば「前もって費用の詳細を確認しておくべきだった」と。

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 All Aboutが昨年10月22日に『弔いの値段 葬式、墓、法事・・・いくら払うのが正解か?』(大久保潤・鵜飼秀徳著)を活かし、『「葬式一式で600万円!?こんなに払えません」葬儀費用が~不透明~な理由をベテラン記者が解説』を配信している。詳細はタイトルで確認して欲しい。中で指摘されているのは坊主に支払われる「お布施に定価はない」はずの、布施のからくり。

 NHKが「小さなお葬式」を特集したことがある。いわゆる「家族葬」標準相場は・・・と言ったテーマで「平均105万円」と伝えた。対して一般葬は140万円から190万円とされる。

 過日、65歳の仕事仲間からこう打ち明けられた。「死んだ親父には助けられた。(長男の)僕を受取人に100万円の死亡保険を掛けていてくれていた。兄弟の同意をえて、それで家族葬をやった」。

 私も早々に、長男を受取人に100万円の死亡保険に入った。もっと早く気づけば月額支払金額は割安になっていただろうと思いつつ・・・

 名古屋を地盤に葬祭会館をドミナント展開するティア(2485、東証スタンダード)に着目した入り口は、そんな経緯からだった。

 収益動向は堅調。2021年9月期「2.4%増収、49.1%営業増益」から前25年9月期はこんな展開。「8.9%増収、19.2%増益」-「5.9%増収、7.3%増益」-「33.9%増収、26.7%増益」-「14.5%増収、14.3%増益」。そして今9月期は「7.6%増収(177億1500万円)、14.3%増益(15億8000万円)」計画。

 決算短信等で「堅調収益の中味」は確認してもらうとして、創業者社長:冨安徳久氏自身が語っているように起業の経緯が実に興味深い。

 高校を卒業し入学先の大学も決まった春休み、高額に惹かれ葬儀社のアルバイトにいそしんだ。そして、大学進学は断念してしまった。「遺族の方から葬儀の現場で受けた感謝の言葉に胸を打たれたから」だった。

 多くの起業家を取材したが、えてして彼らの立ち位置には共通項がある。冨安氏は2社目の葬儀社に転じ、支店長になった。そこで痛感したのが「提示する葬儀料の不透明さ」だった。「透明な葬儀料」を掲げ、現業を興した。1997年時点で64件だった取り扱い葬儀件数は23年9月期には直営・FCを含め2万件を超えた。

 好収益が続く中本稿作成中の株価は500円台前半。昨年高値(8月)から100円弱下値にある。予想税引き後配当利回り3.46%水準。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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