2026年のスタートは「暗号資産の分離課税」に注目

2025年12月31日 13:19

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 辰巳天井、午尻下がり。数年続いた活況相場も、メディアの一部から「米国除きのETFに注目」という特集がされるなど、風の向きが変わりつつある。

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 来たる2026年に米国株が突然終了とはならないまでも、「パラダイム・シフトの兆し」が見られるのではないか。そのなかで注目されているのが2025年の税制改正の対象となった暗号資産(旧仮想通貨)だ。

■金につぐオルタナティブ資産の代表となるか

 暗号資産は、オルタナティブ資産の1つとされている。2025年は株式相場への天井への懸念から、「オルタナティブの1年となるのではないか」という予想が多く見られた。

 年末を前に思うのは、それほどオルタナティブが活躍したか?という振り返りだが、ゴールドの購入をする面談が3時間待ち?ということを考えると、あながち勘違いではないのだろう。そこに暗号資産が加わるか。

 2025年11月に発表された税制改正大綱で、これまで雑所得として最大55%の総合課税が適用されていた暗号資産取引への税法が変わることが、提案された。金融商品取引法の改正を前提に、株式などと同様に「申告分離課税」を導入するというものだ。海外では既に暗号資産への税制が低いものとなっており、日本が追い付いた形となる。

 (暗号資産の申告分離課税)

 税率: 一律20%(所得税15%、住民税5%)
 損失繰越: 株式等と同様に、損失を翌年以降3年間繰り越しての控除が可能
 適用時期: 金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日

 これにより、暗号資産は資産を構成するポートフォリオに改めて参入することになる。いわゆる「ハイリスク・ハイリターンとしての暗号資産」が進むことになり、アクティブファンドや個別株と同様に「分散投資」を実現するための一部分になっていくだろう。

 ここで注目したいのが、金融商品取引法の改正だ。暗号資産を取扱う者には株式・投資信託と同等の知識や説明が求められ、受託者責任(Fiduciary Duty(フィデューシャリー・デューティー))の概念も適用される。「暗号資産に投資すれば必ず儲かるから!大丈夫!」といったセールスは是正対象となっていくだろう。

 尻下がりの午においても、新しい世界は次々と形成される。2026年も投資の世界に注目していきたい。加えてトランプ大統領が中間選挙に向けて騒ぎ出さないかもチェックしていかなければならないだろう。(記事:株式会社FP-MYS 工藤 崇・記事一覧を見る

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