2026年相場の土台 「AI」「暗号通貨」「金利」の"構造変化"を読む

2025年12月13日 11:03

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 2026年の市場は、AI投資の継続、暗号通貨の制度化、金利環境の安定という3つの構造変化を基盤に動き始める。短期の材料より、この土台をどう捉えるかが相場観を左右するだろう。

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■AI投資は設備からインフラへ

 AI関連の資本支出は鈍化しておらず、企業活動の前提に組み込まれつつある。北米ではデータセンター投資が2025年に前年比約30%増と高水準を維持し、生産性向上に直結する基盤投資として定着してきた。

 ブラックロックの最新アウトルックでも、AI関連投資は2026年も経済を支える要因に挙げられている。テーマ株ではなく、構造的な成長軸として扱う段階に入った。注目すべきは、この流れが電力インフラや半導体供給網にまで波及し始めている点だ。

■暗号通貨は"投機"から"資産クラス"へ

 暗号通貨市場はこの数年で大きく変化した。ビットコインETFの純資産は2025年末時点で約10兆円規模に達し、機関投資家の参入が進んだことで市場の透明性と流動性が明確に改善している。

 マネックス証券の分析では、暗号通貨の安定性を支えるのは、価格よりも機関需要だと整理されている。株式・債券に続く第三の資産クラスとして位置づけられつつあることが、今後の相場に影響を与える。特に、米国での規制整備が進めば、年金基金などの本格参入も視野に入る。

■金利環境の安定化と資本コストの再定義

 2024~25年の急速な金利上昇は、企業の投資判断に大きな影響を与えた。ただ、主要国では金利のピークアウトが意識され、資本コストは読みやすい水準に戻りつつある。米国10年債利回りは4%台前半で安定し、企業の長期投資計画が立てやすい環境が整った。

 ヤヌス・ヘンダーソンは、2026年は資本コストを前提にした長期投資が動きやすいと指摘する。金利の落ち着きは、企業価値の評価を素直に反映しやすい環境につながる。

■筆者の視点:積み重ねが"連動"する年

 AI、暗号通貨、金利。この3つの変化は突発的に生まれたわけではなく、過去数年の積み重ねが形になり始めたものだ。

 重要なのは、これらが連動し始めることだ。AI投資には安定した金利環境が必要であり、暗号通貨の制度化は機関投資家の資産配分全体に影響を与える。個別のトレンドとして見るのではなく、3つが絡み合う相場構造として捉えることで、2026年の大きな方向性が見えてくる。

 短期の揺れにとらわれず、この構造変化を軸に見ることが、2026年の投資判断の出発点になるだろう。

■3つの視点

・AI: 企業活動の裏側で浸透が進み、生産性の主役に近づいている
・暗号通貨: 制度化で"資産クラス"としての形が固まりつつある
・金利: 変動幅の縮小が、長期投資を後押しする環境を作る

■小さな定点観測

 市場には昔から「行き過ぎて戻る」という癖がある。急騰も急落も長続きしない。マーケットは怖くない。生活の一部なのだ。

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