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AI投資の王道とは? 第2の脳と手足をそろえる企業が勝つ
11月25日の金融市場は、FRBの利下げ観測が高まる一方、ドル円は1ドル=156円台後半と円安が進んだ。利下げ期待とドル高が同時進行する「ねじれ」は調整を招きやすいが、例外的に資金の受け皿になっているのがAI関連銘柄だ。
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単純な生成AIブームではなく、企業が知識と作業を外部化できる第2の脳と手足を本気で整備し始めたからである。
筆者は、Obsidian(カナダのObsidian.md社が提供するナレッジ管理アプリ)とCursor(米Anysphere社のAI統合開発環境)を組み合わせ、業務メモや市場ノートを即座に呼び出せる外部脳を作っている。SnowflakeやNotionなど、同じ発想でナレッジ基盤を構築する企業の評価も高く、知識の再利用を前提としたビジネスモデルは利下げ局面で再び高成長が意識されやすい。
一方でExcel CopilotやPower Automateといった「手足のAI」は、バックオフィス投資を加速させている。筆者も為替ヘッジの試算や家計キャッシュフローの更新をコマンド一つで自動化した。
こうした実需がマイクロソフト、ServiceNow、UiPathなどの受注を押し上げているのは今期決算でも確認できた。作業を任せられるAIを抱える企業は、ドル高コストを吸収しやすく、円安局面でも成長期待を維持しやすい。
テーマ別では、データセンター投資で恩恵を受けるインフラ企業、AIワークスペースを展開するSaaS、Copilot型自動化ツールのサプライヤーが中期的に注目される。投資家もドル建て売上比率やAI関連ビジネスの比率を整理し、為替感応度とAIエクスポージャー(AI関連ビジネス依存度)を同時にチェックすることが欠かせない。
金利と為替のズレが大きくなる局面では、AIテーマの中でもヘッジの効く企業を選ぶ視点が重要になる一方、AI投資は収益化まで時間を要する企業も多い点を意識しておきたい。
企業も個人も、「どのAIを使うか」ではなく「AIに何を任せ、自分は何を考えるか」を設計できるかが競争力を左右する。市場が評価しているのも、知識の外部化(第2の脳)と作業の外部化(手足)を同時に実現する企業だ。
12月のFOMCと日銀会合が示す政策速度の差を読み解きつつ、AIの王道に沿った企業への投資を継続したい。
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