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ビットコイン底値観測 利下げ期待とドル高の「ねじれ」が示すもの
11月25日の暗号資産市場は、ビットコインが一時的に底値圏を探る動きを見せた。
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FRBの利下げ観測が高まる一方、ドル円は1ドル=156円台後半と円安が進行。利下げ期待とドル高が同時進行する「ねじれ」は、ビットコインにとっては複雑な環境だ。金利低下はリスク資産に追い風だが、ドル高は暗号資産のドル建て価格を押し下げる要因にもなる。
筆者は現在、ビットコインのみを保有している。2017年、2020年、2023年と、おおむね2年スパンで強気と調整を繰り返してきたパターンを体感しており、短期の値動きに一喜一憂しない「大局観」を意識している。
ポートフォリオの多様化を検討する声もあるが、ビットコインの底値観測を考える上で重要なのは、FRBの政策転換とドル高の持続性のバランスだ。2024年後半から2025年初頭にかけて、ビットコインはETF承認やハービング(半減期)を追い風に上昇したが、その後は調整局面に入った。現在の価格水準が底値かどうかを判断するには、金利と為替の動きを同時に見る必要がある。
ビットコインは「デジタルゴールド」として、インフレヘッジや通貨代替の役割を期待される一方、流動性が高く、リスクオンの動きに敏感に反応する。
FRBが12月に利下げに踏み切れば、リスク資産全般に資金が流れ込み、ビットコインも上昇する可能性が高い。一方で、ドル高が続けば、ドル建てのビットコイン価格は相対的に押し下げられやすい。この「ねじれ」が解消されるタイミングが、ビットコインの底値形成のカギになる。
市場では、ビットコインETFの資金流入動向も注目されている。2024年に承認された現物型ETFは、当初は機関資金を呼び込んだが、2025年に入ってからは資金流入が鈍化したとBloombergの暗号資産データが伝えている。
FRBの利下げ観測が強まれば、機関投資家が再びETFに資金を振り向ける可能性がある。ただし、資金動向次第でボラティリティが高まるため、底値観測の重要な指標として慎重に追う必要がある。
技術的な観点から見ると、ビットコインの価格は過去の高値と安値の間で推移している。2024年の高値から下落した後、現在は底値圏を探る動きが続いている。FRBの利下げが実現すれば、リスク資産への資金流入が加速し、ビットコインも上昇する可能性がある。一方で、ドル高が続く限り、上昇幅は限定的になる可能性もある。
足元では、ビットコインとほぼ同じ値動きをする大型アルトだけでなく、ステーブル運用型やリアルワールド資産連動型など、全く異なるボラティリティを持つトークンも増えており、リスクヘッジ手段としての選択肢が広がっている。
投資家に求められるのは、金利と為替の動きを同時に監視し、ビットコインの底値形成を冷静に判断することだ。FRBの12月FOMCと日銀会合が示す政策速度の差を読み解きながら、ビットコインの底値観測を継続したい。
現物をただ持つだけでなく、国内の貸暗号資産サービスや海外のレンディングプラットフォームで貸し出しを行い、年1~4%程度の利息を得る運用も一案だが、ロック期間や信用リスクを慎重に見極める必要がある。リスク資産としてのビットコインは金利動向に敏感なため、政策転換のタイミングを見極める姿勢を崩さないことが重要になる。
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