わかもと製薬にとり、アキュエイド販売再開は「反転」を促すパワーになるか

2025年11月14日 14:56

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 わかもと製薬(4512、東証スタンダード市場)。OTC薬:強力わかもと中心の一般医薬品、医療用眼科薬品が主軸。

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 覗いて見ようと思ったのは、会社四季報の業績欄の見出し【黒字化】を目にしたからだった。2024年3月期の「1億9500万円の営業赤字」/25年3月期の「4億5700万円赤字」に対し今3月期は「2億円の営業利益」計画。「黒字化」を目にした瞬間、ホッとした。わかもと製薬に私は、「借り」があるからだ。

 20歳代半ばの頃、週刊ゴルフダイジェストという雑誌で「サラリーマンゴルフ番付」という連載物を書いていた。

 私の物書きの師匠は、無理難題を平気で命令する御仁だった。ゴルフとは全く無縁だった私に「企業別のサラリーマンゴルフ番付を書け」と命じた。「でも私は一度もゴルフをやったことが・・・」と返したが、「編集部にそのあたりは伝えてある」とご託宣。第1回目が「修行」先だった東京銀座のオフィスの近くにあった、わかもと製薬。

 「社内ハンディ18」というゴルファーに「練習はあまりなされないんですか」と、いま思えば大赤面物の応対をしたこともあった。私自身はダボ(106)ゴルファーを生涯抜け出せなかったにもかかわらず、だ。いまでも「失礼な取材をした」と、思い出すと赤面する。そんな過去があるから【黒字化】が、妙に嬉しかった。

 黒字化の最大の要因は、マキュエイド眼科注射用40mg(眼科用手術補助剤・眼科用副腎皮質ホルモン剤)の出荷再開。アレジフェンス(アレルギー専用眼科用薬)と並ぶ、わかもと製薬の代表的医療用医薬品だ。

 アキュエイドは23年4月から、出荷停止を余儀なくされた。出荷判断試験:不溶性異物試験で不適合と判断された。結果、営業赤字に追い込まれた。

 わかもと製薬は、医療用薬に注力している。中国でマキュエイドが8月から承認され、眼科補助ヒアルロン酸製品も11月に承認される。6月にはアクリバトリノバ(多焦点眼内レンズ)の発売を開始。8月には白内障手術などの手術補助剤を、千寿製薬から製販を継承した。2月に筆頭大株主(11.46%保有)となったロート製薬(4527、東証プライム市場)と、「医療用・OTC薬品の共同開発・販売」で提携した。

 本稿作成中の株価は、200円台終盤。予想税引き後配当利回り0.8%余。2月6日の年初来安値209から円3月3日の377円まで買い直された後も、弱含みの推移。今期の黒字転換にも、動意は見られない・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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