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米地銀信用不安の気になる影響は?
●米地銀が信用不安で株価急落
米地銀のザイオンズとウェスタン・アライアンスが、商業用不動産ローン投資ファンド向け融資で不正の被害を受けたと発表した。
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この発表を受けて、16日の米国株式市場では、地銀株を中心に銀行株が軒並み急落。NYダウは301ドル下落し、翌17日の日経平均株価も一時800円近く下落するなど、大きく影響を受けた。
2023年のSVBショックの再現を指摘する声あり、緊張が高まっている。
●信用不安の原因
今回はザイオンズとウェスタンが融資に不正があったことを受けて、借り手を訴訟することとなった。ザイオンズは貸倒償却5000万ドル(約75億円)を計上する。
9月には米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループと自動車ローン事業者のトライカラー・ホールディングスが相次ぎ経営破たん。これも債務の実態が分からず、不安が燻っている。
2023年のSVBショックは、FRBが利上げを進める中、損失を出しながら資産売却を余儀なくされ、破たんに追い込まれた。SVBの破たんは、他の地銀にも波及した。
●単発事例か?氷山の一角か?
だが17日の米国株式市場は回復し、週明け20日も続伸。20日の日経平均も、自民・維新の連立成立間近を受けて過去最高値を記録するなど、今のところは単発事例との楽観的な見方がある。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドの面では、過去の金融危機のような動きは今のところ見られない。
急落は、利益確定売りの材料として地銀不安を利用しているとの見方もある。
しかし、JPモルガンのダイモンCEOが「ゴキブリが1匹いれば、おそらく他にもいるものだ。だから皆、事前に警戒すべき」と話しており、警戒感は強い。
今後、第3のザイオンやウェスタンが出てくれば、市場がパニックに陥り、世界中のファンドが投げ売りするリスクも否定できない。
米国の政府機関閉鎖が長引いているが、大きな売りになっていない。日本株も新政権が発足前から期待で大きく上昇しており、不自然な強さがある。
だからこそ、今回の金融危機が軽微だとしても、反動で売り込まれることも警戒しないといけない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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