介護用ベッド中軸:プラッツが好収益階段を上り始めた理由

2025年9月20日 09:23

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 プラッツ(7813、東証スタンダード市場)。個人向けレンタルを主に、介護ベッドの製造・販売事業。

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 1992年に九州和研創業としてスタート(95年にプラッツに社名変更)。開発した(電動)介護ベッドの変遷はホームページに詳細が記されているので、ご一読を。

 収益状況が回復基調入りの様相を呈している。2022年6月期~23年6月期はどん底に沈んだ。その背景は決算資料にも明らかなように、猛威を振るったコロナ禍に晒された点が指摘できる。

 「9.4%減収、86.1%営業減益、16円減配16円配」-「1.0%減収、1億800万円の営業損失、2円減配14円配」。がコロナ禍だけに理由は求められない。決算資料を繰っていくと、こんな記述に出会う。

 「主力商品である介護用電動ベッド:MioletIIIが発売から約3年が経過し、新製品の発売遅延で14.9%の減収となった」(22年6月期決算資料)。「医療用介護電動ベッドは一般ベッド同様に長期的減収傾向が続いており20.0%の減収となった」(23年6月期決算資料)。

 創業者会長の福山明利氏は日頃、内外に向けてこう発信してきた。「高品質・高機能・低価格商品の開発・訴求が命」。時代環境も含め、それが成せなかったことに業績低迷は求められる。

 それがここ数期、こんな展開に転じている。「1.2%増収、3700万円の営業黒字」(24年6月期)-「31.9%増収、389.4%増益、4円増配18円配」(25年6月期)、そして今6月期は「4.5%増収(88億円)、118.0%増益(4億円)、6円増配24円配」計画。

 転換の背景は決算資料に読み取れる。事業環境の拡充。「介護保険認定総数、総受給者数の増加」(厚労省発表)-「特殊寝台利用者数増」(同)-「サ高住(高齢者住宅)増」(国交省調べ)。25年6月期の医療用介護電動ベッドの総販売台数は4万2000台と前年度比4.0%の増加となった。

 加えて特筆すべきはM&Aの実施。24年4月にウレタンマットレスの加工販売を手掛ける「やまと産業」を子会社化。マットレス事業の売上高は24年6月期の5100万円から1億50900万円に増加している。

 更にはベッドの安定供給が、ベトナムの現地合弁工場の軌道化で実現したことも見逃せない。

 本稿作成中の株価は、収益動向の転換を反映している。時価は800円台半ば水準。1月安値:582円から9月高値:856円まで買い直され、高値ゾーン。予想税引き後配当利回り2.25%。10万円以下の資金で投資が可能。妙味を覚えるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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