プラザ合意2.0はあるのか⁉

2025年2月10日 16:46

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●囁かれるプラザ合意2.0?

 ドル高が進む中、昨年末からプラザ合意2.0があるのではと、金融市場で囁かれている。

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 実現の確率は決して高くないが、米ドルの実効為替相場は1985年のプラザ合意以来の高値圏に到達している。

 低金利やドル安を望むトランプ政権では、トランプ米大統領がプラザ合意2.0を言い出しても不思議ではない。

 もし実現するなら、日本も大幅な円高は避けられず、戦々恐々と警戒せざるを得ない。

●プラザ合意とは?

 1985年9月22日にニューヨーク・プラザホテルで開催されたG5会議で、ドル高是正を目的として発表された。

 日米英仏独の5カ国は基軸通貨ドルに対し、各国の通貨を10~12%切り上げ、ドル安に誘導することにより、米国の輸出競争力を高め、貿易赤字を減らす目的があった。

 当時のレーガン大統領は、第一次政権でのでの「強い米ドル」対策を修正し、経常赤字と貿易赤字のいわゆる「双子の赤字」を解消したかった。

 プラザ合意により、日本は円高不況となり、製造業が打撃を受ける等、経済構造改革がもたらされた。その後、金融緩和や財政出動により、円高不況が解消されたが、低金利政策で不動産バブルが起こった。

●カギを握るトランプ大統領

 二国間交渉を好むトランプ氏であり、一律の通貨政策より各国との交渉による方が現実であることから、実現性は低いかもしれない。

 1985年のプラザ合意時の米国は「ドル高不況」にあり、現在の好景気とは大きく異なる。

 当時経常黒字国だったのは日本と西ドイツだったが、国際情勢も大きく変化している。ユーロも誕生しておらず、中国の存在感も低かった。

 トランプ氏はカナダやメキシコに関税をかけると発言するなど、貿易取引に関し、強い懸念を抱いていることは間違いない。

 仮にプラザ合意2.0が発動されても、日本にとっては円安の是正、インフレの鎮火などの思わぬ好循環に転換する可能性もある。さらに現在の状況からは、1ドル=100円を割ることは考えづらい。

 しかしトランプ氏は、やる気がなくとも「プラザ合意2.0」をちらつかせることも考えられ、為替・株式市場は警戒が必要である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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