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銀河系最大の恒星ブラックホール発見 ESAのガイアミッション
ESAのガイアミッションで存在が特定された3つの休眠ブラックホール (c) ESA/Gaia/DPAC[写真拡大]
ブラックホールは、現在では銀河の中心に存在している超大質量ブラックホールを筆頭に、ビッグバン直後に無数に誕生したと考えられている素粒子サイズのマイクロブラックホールまで、様々なサイズのものが認識されている。
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ドイツの天体物理学者カール・シュバルツシルトが、1916年にアインシュタインの一般相対性理論から重力場を記述する解として人類史上初めてその存在を理論的に導き出したのだが、その当時想定されていたのは恒星ブラックホールだった。欧州宇宙機関(ESA)は4月16日、銀河系最大の恒星ブラックホールを発見したと発表した。
今回発見された恒星ブラックホールは、太陽質量の33倍の大きさがあり、地球から1926光年の場所にある。これまでに銀河系で発見された最大の恒星ブラックホールは、白鳥座X-1(太陽質量の約20倍)で、今回発見されたものは、その1.5倍以上の巨大なものだ。
従来太陽質量の30倍を超えるサイズの恒星ブラックホールは、すべて地球から10億光年以上離れた遠方銀河でしか発見されていなかった。そもそも恒星ブラックホールは自ら光を発しないため、明るい星を伴う連星系に存在するもの以外は、発見が非常に難しかった。なおこのようなブラックホールは、伴星からの物質吸収の痕跡を発見できないため、休眠ブラックホールと呼ばれている。
ガイアミッションでは、銀河系の様々な恒星の定点観測を時系列的に実施することで、個々の星の運動を捉えてきた。一方で観測できる天体だけではその運動を説明できない恒星がたくさんあり、それらの運動を適切に説明するためには、大質量の恒星ブラックホールの存在が必要不可欠となる。この論法により、ESAではこれまでに銀河系で3つの休眠ブラックホールの存在を特定したという。
太陽質量の30倍以上の恒星は、最終的にブラックホールになるが、その終末期に超新星爆発を起こし、質量の大部分を宇宙空間に放出してしまう。そのためあとに残ったブラックホールが太陽質量の30倍以上になることは、不可能に近い。
このようなブラックホールの誕生メカニズムには不明点が多いが、従来遠方銀河で発見されたものと同様に宇宙誕生初期には、大質量の恒星が誕生しやすい状況があったと研究者らは考えている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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