サクサHD、ボタン電話装置設計製造技術と商流に強み 優位性を活かし、SMBに向けたネットワークセキュリティ装置を展開

2024年3月16日 11:01

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記事提供元:ログミーファイナンス

サクサHD、ボタン電話装置設計製造技術と商流に強み 優位性を活かし、SMBに向けたネットワークセキュリティ装置を展開

サクサHD、ボタン電話装置設計製造技術と商流に強み 優位性を活かし、SMBに向けたネットワークセキュリティ装置を展開[写真拡大]

会社概要

齋藤政利氏:サクサホールディングス代表取締役社長の齋藤です。本日は、サクサグループの説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

今回は、弊社グループがどのような会社なのかを投資家のみなさまに知っていただくことに主眼を置いています。今後も、弊社グループに興味を持っていただけるように、定期的にこのような説明会を実施したいと考えていますので、引き続きよろしくお願いします。

まずは、会社概要です。弊社グループは東証スタンダード市場に上場しており、従業員数は約1,100名となっています。BtoBを主としており、「サクサ」という社名をご存じない方も多いと思いますが、通信技術に強みを持つ田村電機製作所と大興電機製作所の2社が統合してできた企業グループです。統合前から数えると80年余りの歴史があり、サクサグループになってからは今年でちょうど20周年を迎えました。

サクサホールディングスのビジネスモデル

主なビジネスモデルについてです。モノづくりがベースのプロダクト事業と、システム提案・構築がベースのソリューション事業の2つがあります。

プロダクト事業では、モノづくり、モノ売り、そして売った後のアフターサービスを中心に展開しています。プロダクトとしては、サクサブランドで販売しているものと、パートナー企業経由のOEMで展開しているものの2つがあります。

サクサブランドのプロダクト事業は、弊社の子会社であるサクサ株式会社が中心となって推進しています。主にSMBのオフィス向けに、企画・開発・製造・販売・アフターサービスを提供しています。

一方OEMでは、パートナー企業のブランドで販売される製品の企画・開発・製造までを行っています。いずれも製造業に携わる企業として、モノづくりの強みを生かした事業であり、現在は弊社のキャッシュ創出の中核事業となっています。

ソリューション事業は、お客さまの課題解決やご要望に対する提案、システム構築を行っているビジネスです。弊社の子会社である株式会社システム・ケイがソリューション事業の中核を担っており、主に映像機器と映像・AI技術を組み合わせたシステムの提案を行っています。こちらの事業は弊社の成長事業と位置付けています。

売上高および営業利益の推移

直近の売上高と営業利益の推移です。スライドの棒グラフは売上高、折れ線グラフは営業利益を示しています。点線は中期経営計画における計画値です。

現在の中期経営計画について、もともと部品入手難や会計基準の変更などは考慮し作成していたのですが、2021年度は想定以上に部品を入手するのが困難だったため、MTPよりトップラインも利益も下がりました。また、新型コロナウイルス感染拡大の影や部品価格の高騰もあり、中期経営計画対比だけではなく、基準計画OBPも下回る結果となっています。

しかし、その後は世界的に部品を調達できるようになったこともあり、問題は解決しました。さらには弊社グループ全体で部品の調達体制を強化したことで、2023年度は残り1ヶ月もないですが、中期経営計画に対し増収増益を予想しています。

サクサの強みは【モノづくり】

自社ブランドおよびOEMのプロダクト事業とソリューション事業という3つのビジネスモデルについてお伝えしました。ここからは、その中の代表的な商品や商材についてご説明します。

まず、プロダクト事業の自社ブランドおよびOEMの両方で展開しているボタン電話装置についてです。弊社グループの強みは通信技術とモノづくりで、サクサグループに統合される前から、ボタン電話装置の企画・開発・製造・販売・アフターサービスを手がけてきました。

主にSMB向けに、全国1,000店程度の販売網を駆使してボタン電話装置の販売を行っています。自社ブランドおよびOEMでの供給に加え、アフターサービスも手がけています。このボタン電話装置が弊社グループにおける収益の中核となっているプロダクトです。

次に、ネットワークアプライアンスについてです。OEMは少ないのでスライドには記載していませんが、自社ブランドだけでなくOEMでも展開しています。

こちらは10年ほど前に立ち上げた事業です。ボタン電話装置と同様に、SMBをターゲットにしています。ボタン電話装置と同じ商流で販売することで、比較的短期間で事業を立ち上げることができました。現在では、弊社グループの売上全体の2割に迫っています。

ネットワークアプライアンスという言葉からでは、なかなかイメージしづらいと思いますが、これは企業のネットワークの入口で、さまざまなサイバー攻撃による不具合を検出・防御する装置で、一般的にはUTMと呼ばれる装置が代表的です。これらもボタン電話装置と同様に、企画・開発・製造・販売・アフターサービスなどをフルターンキーで提供しています。弊社グループにおける収益の中核になりつつあるプロダクトです。

そして、ソリューション事業では主に映像・AIソリューションを提供しています。AIによる画像解析および画像認識技術を利用してシステムを構築することで、受託開発やお客さまの実証実験のお手伝いをしながら、課題解決のための提案やシステム構築を行うビジネスです。こちらは弊社グループの成長領域として、投資を強化していきます。

ネットワークアプライアンスはサイバーセキュリティ領域であるのに対し、映像・AIソリューションはある意味で物理的なセキュリティ領域と言えるかと思います。

自社ブランド ボタン電話装置

これら3つのビジネスについて、詳細にご説明していきます。まず、ボタン電話装置についてです。

みなさまは「ボタン電話装置」と聞いて、イメージできますでしょうか? ボタン電話装置はビジネスフォンとも呼ばれ、主にSMBで使用される電話機を含む構内電話システム装置の総称です。

大規模な会社向けには、PBXという言葉があると思いますが、機能的にはそちらと同じもので、一般的にはPBXのほうが通用すると思います。ただし、SMBにおいては、昔からの流れで今でもボタン電話装置という名前が使われているため、私たちもこちらの呼称を使っています。

昨今は働き方改革やテレワーク、リモートワーク、さらにはスマートフォンでの代用などが進んでいるため、投資家のみなさまから「構内電話システムは必要なくなるのではないか?」というご質問をよくいただきます。

結論から言えば、決してすぐになくなるものではありません。確かに成長市場ではなく、漸減傾向ではあるものの、例えば東京地区では市外局番03はいまだに残っています。企業の名刺に印刷されている代表電話番号は、いまだに03を使っている方が数多くいます。

そのため、この代表電話番号の回線を収容して、さまざまな端末に着信を割り振ることができるボタン電話装置は、一定の需要が継続しています。繰り返しになりますが、決して成長は期待できないものの、今後も私どもの収益源の1つであり、継続していく事業だと考えています。

また、お伝えしたとおり、自社ブランドでの展開およびNTTをはじめとした他社ブランドでの展開の双方を行っています。

さらに、市場の漸減がそのまま収益減少とならないよう、さまざまな工夫をこらしているところです。例えば、外出先でも内線電話機のようにスマートフォンが使用できるようボタン電話装置と連携させたり、ボタン電話装置の端末である電話機に人感センサーを付けて、簡易的な防犯への応用機能などの付加価値を付けたりすることにより、顧客獲得を図っています。

全国におおよそ2万拠点以上も弊社グループの装置が置かれていることは、インストールベースを武器として今後私どもが展開していくさまざまな新しい事業の確立にも寄与していると考えています。

ネットワークアプライアンス

ネットワークアプライアンスについてです。こちらはサイバー攻撃などを検出・防御する装置で、ボタン電話装置と同じ商流を活用し、自社ブランドとOEMともに提供しています。

投資家のみなさまからは「サクサは競合企業に対する優位性として何を持っていますか?」と問われるケースが多々あります。そのため今回は、技術的なスパムメールやウイルス侵入などといった機能的なものは割愛して、競合優位性に限ってご説明します。

この分野には外資をはじめとして競合企業がたくさんいます。具体的には、フォーティネット、パロアルトネットワークス、シスコシステムズ、ジュニパーネットワークスなどの外資勢がこの領域でかなり強いと認識されています。

しかし、彼らは主に大企業や中堅企業をターゲットとしているため、大規模な製品がビジネスの中心です。そのため、彼らのような競合他社では、大規模な製品をベースに小型化することでSMB向けにも製品を展開していると分析しています。

一方、弊社グループでは、ボタン電話装置で培った技術や確立した商流およびアフターサービスの体制といった優位性を生かすために、当初からSMBを対象とした製品を開発しています。例えば、機能や価格だけでなく、設定のメニューやリモートメンテナンスなど、SMBをベースにして、エンドユーザーにできるだけ負荷を負わせないためのいろいろな工夫を行っています。

さらには、先ほどご説明したように、競合には外資が多いため、この分野では国産であることがエンドユーザーの安心感や信頼感につながる重要なポイントだと考えています。これらが弊社の競合他社優位性です。

また、SMBでは大企業や中堅企業のようにこの分野に大きな投資を行うこともできず、そもそも情報セキュリティのための専任者をアサインできないという課題を抱えています。そのようなSMBの課題に対して、弊社グループがボタン電話装置で長年培ったSMB向けの迅速で丁寧なサポートを評価いただいていると感じます。

映像・AIソリューション

映像・AIソリューションについてです。AIによる画像解析および画像認識技術により、システム提案とシステム構築を行っています。映像用のカメラ自体は私どもが製造しているわけではなく、外部から仕入れており、逆にマルチベンダーで対応できることを強みとしています。

また、お客さまのご要望に応じて、さまざまなメーカーから最適な機器を選ぶこともでき、さらにそこに私どもの開発ソフトウェアも組み合わせて、システム構築まで実施しているビジネスです。本日はその一部を具体的な事例を交えて、3件ほどご紹介したいと思います。

映像・AIソリューション 事例紹介

1つ目は、駐車場ビジネスに関する事例です。最近は、都内も含めた都市部にコインパーキングがかなり普及していると感じます。こちらに対する課題解決として、映像・AIソリューションを使っています。土地の空きスペースの有効活用や、商業施設・公園等へ駐車場を設置・運営する場合など、課題はさまざまです。

例えば、平面駐車場の場合は無人であるため、駐車スペースの数だけフラップやゲートなどが必要になり、運営会社には設置工事などの初期費用がかかります。加えて、運営時には設置したフラップやゲートバーがメカ装置のために破損するといった問題が起こります。また、雪国などでは、野外駐車場において積雪や凍結による故障が起こるなど、さまざまな問題があると認識しています。

さらに大規模な立体駐車場においては、個々の駐車スペースに車両センサーを設置するなど、満車および空車の情報可視化のためにいろいろな設備投資が必要です。そのため、こちらも初期費用等がかかるという問題があります。

弊社グループが保有する画像認識技術による車両検知および車両ナンバー認識により、リアルタイムの映像と情報管理までをシステム化することによって、これまでのフラップやゲート、センサーなどを不要とする駐車場管理を構築することができます。その結果、設備投資や運営費用を最小限に抑えることが可能となっています。

映像・AIソリューション 事例紹介

2つ目は少し珍しいですが、トレーディングカード売買を行う店舗での課題解決の事例です。私もこのあたりの市場はよく存じませんが、昨今、トレーディングカードの中には1枚数十万円、あるいはそれを超える桁のものまで、非常に高値がつくカードが存在し、人気が激化していると聞いています。

そのトレンドとともに、売買・取引も頻繁に行われるようになり、その結果、大量のカードを持ち込んで売却する方々もいるようです。それを買い取る店舗もたくさんあると聞いていますが、「その査定に多くの時間を費やしてしまうため、案内までにお客さまを待たせることに加え、作業の効率化や店舗オペレーションの平準化、ミスの低減が課題である」という相談を受けていました。

そこで私どもの映像データ取り込みとAI解析を組み合わせて、カードをスキャンするだけで、自動的に判定の手助けが可能となる読み取りシステムのAI開発に携わりました。その結果、ある店舗では作業時間がこれまでの10分の1まで短縮するとともに、判定精度の向上にもつながり、大変喜ばれています。

映像・AIソリューション 事例紹介

3つ目は、運送現場での課題解決として、お客さまと一緒に実証実験を行いシステム提供に至った事例です。

運送業を営んでいる企業では、トラックの駐車場内に複数の警備員を配置し、車両の整備から荷物の積み下ろし管理までをほぼ人力で行っています。そのため、空き駐車スペースの確認や停車車両の位置確認などに時間がかかり、要員の問題だけでなく、停滞が増えて出入りの混雑等の要因にもなっていました。また、希少なドライバーの拘束時間の増加にもつながり、大きな問題となっています。

そこで、カメラで撮った映像をAIが解析することで、少人数でリアルタイムに施設内の混雑状況を把握・コントロールし、空きスペースを見つけられるようになりました。その結果、先ほどのさまざまな問題が解決できるだけでなく、騒音や排ガス削減など環境問題への対応、さらには地域住民への配慮も可能となっています。

このような画像解析および画像認識技術を組み入れたシステム提案とシステム構築により、お客さまのさまざまな課題解決を支援しているのが、映像・AIソリューションです。

こちらの事業は、先ほどご紹介したSMB向けの製品群であるボタン電話装置およびネットワークアプライアンスとのシナジーは現時点ではあまりありません。これまではプロダクト事業を私どものメインビジネスとしてきたため、お客さまから見て、私どもがソリューション事業を提供していること自体認知されておらず、それほど期待されていないと思っています。

しかし、例えば、監視カメラの領域でグローバルトップを走っているアクシスコミュニケーションズというメーカーからも、弊社の映像・AIに関する技術力やソリューション力は高いレベルで評価されています。また、実績を作るために、弊社グループの工場およびオフィス自体をショーケースにして、ソリューションを行う実験も実施する予定です。このような取り組みを積み重ねることにより、お客さまに実績を示し、サクサグループが映像・AIソリューションプロバイダとして認められるよう努力しています。

配当方針

配当については、2月9日に公表したキャピタルアロケーションをご覧いただくと、おぼろげながら方向感はご理解いただけると思いますので、ぜひご参照ください。その中で、現時点での配当方針についてご説明します。

弊社グループは、安定的かつ継続的な利益創出を第一に考えており、その収益に対して税金を納めることで、安定的かつ継続的な社会貢献を果たすことが企業としての一義的な使命だと考えています。そして、ひとえにこの安定的かつ継続的な利益を創出することで、まずは設備投資、M&A投資などについても安定的かつ継続的に行っていく考えです。

さらに、やはり安定的かつ継続的に人的資本に投資をしていくことも考えています。また、昨今、極めて重要視されているサステナビリティ活動、ESG活動についても一時的なものではなく、安定的かつ継続的に行うために利益を使いたいと思います。

そして、何よりもみなさまが着目していると思われる、安定的かつ継続的な株主還元につなげていく方針です。そのためには、しつこいようですが、安定的かつ継続的な利益創出が極めて大切だと私自身も考えています。

株主還元における現時点での方針は、配当性向30パーセントが目標です。この数値は、事業拡大への投資、開発や工場などへの設備投資、さらに人的資本への投資に向けた原資を確保した上で、株主のみなさまに安定的かつ継続的に配当を実施するために策定しています。

配当実績

直近3年間の配当実績です。スライドのグラフを見ていただければ一目瞭然ですが、配当方針に従い、期初の配当予想からの増配を予定しています。

現在の株価は本日の終値が3,120円のため、弊社のPBRは0.7倍程度で、現状はいまだ資産価値を下回る評価となっています。今後は期待値の高い事業の成長を仕込むことにより、事業の転換を図ります。なおかつ現状のプロダクト事業の収益をしっかり生み出すことで、株主還元をしていくことが重要な経営課題であると考えています。

また、何ヶ月という長い時間を置かずに、来期からの新たな中期経営計画も公表する予定です。それに先駆けて、2月9日に弊社の資産の活用方法に関する基本的な考え方を公表しました。新しい中期経営計画では、この基本的な考え方の下、株主還元を含めた資本戦略を明確に打ち出していきたいと思っているため、公表まで今しばらくお待ちください。

本日の弊社グループのご説明は以上となります。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

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