【QAあり】ブシロード、2Qは減収減益も通期業績予想は据え置き 4Q発売のプロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』を中心に挽回を図る

2024年2月17日 09:18

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記事提供元:ログミーファイナンス

【QAあり】ブシロード、2Qは減収減益も通期業績予想は据え置き 4Q発売のプロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』を中心に挽回を図る

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要約損益計算書(連結)

村岡敏行氏:ブシロードの取締役・経理財務本部 本部長の村岡です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。2024年6月期上期の決算説明を始めます。

まず、2024年6月期第2四半期の決算概要です。第2四半期は、売上・利益ともに前年同期を下回り、売上高は105億5,400万円、営業損失は2億1,500万円となりました。また、営業外として為替差損2億900万円を計上しており、経常損失は3億800万円、四半期純損失は2億8,600万円となりました。

ユニット別ハイライト

ユニット別のハイライトです。ライブエンタメユニットが第1四半期に引き続き『バンドリ!』の音楽ライブなどを中心に好調に推移する一方で、デジタルコンテンツユニットはモバイルゲームの低調が続いています。詳細については、ユニット別のトピックスでご説明します。

四半期連結業績推移-販売管理費

四半期の販管費の推移です。デジタルコンテンツユニットの開発案件の増加により、研究開発費が前年同期比で引き続き増加しています。

広告宣伝費と販売促進費については、第1四半期と同様に約12億円とやや抑えた金額で推移しています。下期は新作TCGであるプロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』の発売に伴う宣伝活動を展開するため、増加する見込みです。

四半期セグメント別売上高・営業利益推移

四半期におけるセグメント別の売上高・営業利益の推移です。エンターテイメント事業は、TCGユニットが事業計画に対して堅調に推移したものの、売上・利益が前四半期比で減少しました。デジタルコンテンツユニットの低調を支えるには至らず、四半期として初めての赤字となりました。

四半期セグメント別売上高・営業利益推移

スポーツ事業は、新日本プロレスがビッグマッチの間の端境期であったことと、「スターダム」の運営体制の不備が重なり、興行事業の収益性が低下したため、前四半期比で赤字幅が拡大しました。

続いて、代表取締役社長の木谷と取締役の根本より、ユニットごとの詳細についてご説明します。

TCGユニット 2024年6月期第2四半期トピックス

木谷高明氏(以下、木谷):代表取締役社長の木谷です。私からは、TCGユニット、MDユニット、アドユニット、スポーツユニットに関して説明します。

まずTCGユニットです。売上高は46億9,200万円で、前年同期比1億3,300万円の減収となりました。

主力の『ヴァイスシュヴァルツ』『カードファイト!! ヴァンガード』は堅調に推移したものの、2年目に当たる『Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)』が計画に対してはやや軟調でした。来年4月にちょうど2周年を迎えるため、今後も新商品や大会などで販促施策を展開して盛り上げていく予定です。

TCGユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開①

弊社のオリジナルIPである『カードファイト!! ヴァンガード』は、1月よりテレビアニメが新シリーズ『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』に突入しました。Kis-My-Ft2の宮田俊哉氏を主人公の明導アキナ役の声優に起用し、SNS等でも大変話題になっています。

先週末発売したブースターパック第1弾も、2021年からスタートした『カードファイト!! ヴァンガード overDress』シリーズ以降で一番の出荷数となっています。

また『ヴァイスシュヴァルツ』は、1月より簡体字版の発売を開始しました。製造数量はそれほど多くありませんが、中国ではトレーディング商品が非常に伸びているため、これから市場拡大する中で売上拡大が目指せるのではないかと考えています。

TCGユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開②

1月の「ブシロード新春大発表会2024」では新作TCGの詳細発表を行いました。まずは映像をご覧ください。

(CMの映像が流れる)

私は、日本のプロ野球は日本における最大のIPだと考えています。日本のプロ野球は年間の観客動員数がのべ2500万人を超えており、圧倒的にナンバーワンのイベントだと考えています。

日本野球機構からライセンスをいただき、12球団すべてとの個別のプロモーションの交渉もほぼ終わっているため、3月頃から大きく展開されると思います。4月20日の発売を非常に楽しみにしています。こちらがうまくいった場合、他のスポーツなどでトライしてみることも考えています。

ただし、野球はカードゲームに最も向いているスポーツのため、まずは野球だと思っています。野球がカードゲームに向いている理由は、カードゲームは攻めと守りが交互にあるターン制だからです。野球も攻めと守りがまったく異なるフォーメーションになるターン制です。

他のスポーツは、一見するとどちらが攻めでどちらが守っているのかがわかりにくいことがあり、デジタルなゲームに向いています。カードゲームと野球は非常に親和性が高く、カードゲームに向いているのも圧倒的に野球だと考えています。

また、野球は親子で観るスポーツです。子どもから60代、70代のお客さままで、ゲームをしなくても、コレクションカードとして楽しんでいただけるだろうとも考えています。

さらに昨今は、メジャーに行って活躍する人も多くみられます。コレクションとして買っておいたカードの中にはメジャーに行った途端、急騰するものも出てくる可能性があると思います。集める、遊ぶ、投資の可能性など、いろいろな要素があると考えています。

今週末から全国のカードゲームショップで講習会が始まる予定です。私個人としては、社内調整が必要ですが、いろいろな職場で野球が好きな人が多いため、エンタメ企業に限らずさまざまな企業さまに向けて「講習会で遊びませんか」と呼びかけて職場向けの講習会を行ってみたいと思っています。いずれにしても、ブシロードグループとして非常に期待しているカードゲームとなります。

MDユニット 2024年6月期第2四半期トピックス

MDユニットの売上高は12億300万円で、前年同期比1,300万円の増収となりました。第1四半期に引き続き、『バンドリ!』のライブグッズなどを中心として堅調に推移しています。

MDユニットのトピックスとして、私の出身地でもある石川県金沢市にサテライトオフィスを開業します。開発ラインの増強や開発の内製化を進めることが目的で、今年4月にスタートする予定です。

なぜ石川県金沢市なのかといいますと、私の地元であることはもちろんですが、大学や専門学校、美大、工業大学など各種学校が多く、人口当たりの学生数が全国の中でも非常に多い県であるためです。就職先が少ないため、他の県に行ってしまうこともある若い人材を雇用することを目指しています。

また、東京とは異なり転職も比較的ありませんので、安定して原型を中心とした、工場まではいかない工房としての拠点になることを期待しています。

ブシロードクリエイティブでは、現在フィギュア事業にたいへん力を入れています。会場にも「PalVerse (パルバース)」のフィギュアが飾ってあります。後ほどご覧いただきたいのですが、手のひらサイズにもかかわらず顔の造形がきちんとできています。

他社タイトルの制作も行っており、各ライセンサーのみなさまにも非常に好評です。これからもいろいろなライセンスを取得し、よりグローバルに展開できるのではないかと思っています。

内製化のメリットは、版元とのやり取りが非常に早いことです。制作工程が外注をする場合と比べて約1ヶ月半から2ヶ月早くなると思います。そのため、今後ともサテライトオフィスを使って内製化を進めていきたいと思っています。

MDユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開

商品のトピックスです。売上・利益にそこまで貢献するわけではありませんが、現在、確定申告が学べるゲームに反響をいただいています。会場では「PalVerse」の隣にこのゲームが飾ってありますので、ぜひご覧ください。「PalVerse」の商品数も順次増やしていく予定です。

アドユニット 2024年6月期第2四半期トピックス

アドユニットです。ハウスエージェンシーとしての活動を中心に、グループ内外のイベント運営・制作といった代理店事業やアニメ委員会への出資等を行い、宣伝業務や管理業務、音響受託を行っています。

売上高は1億8,700万円で、内部売上は含んでいません。前年は外部の大型イベントの受注があったため、売上が伸びました。引き続き、グループ事業全体の規模拡大に貢献していきます。

スポーツユニット 2024年6月期第2四半期トピックス①

スポーツユニットの売上高は13億6,700万円で、前年同期比2億4,000万円の減収となりました。新日本プロレスはビッグマッチ間の端境期のため、前四半期比では売上は減少していますが、事業計画に対しては堅調です。「スターダム」は運営体制の不備が重なり、軟調に推移しました。

スポーツユニット 2024年6月期第2四半期トピックス②

新日本プロレスリングとブシロードファイトに、新しい代表取締役社長が就任しました。

新日本プロレスリングには、現役プロレスラーの棚橋弘至選手が就任しました。新体制になり、周りのスタッフもかなり充実してきたため、ここでレスラー出身の社長を起用し、国内・海外ともにさらにもう1回成長を目指したいと考えています。

「スターダム」を運営するブシロードファイトには、岡田太郎が就任しました。岡田は『家出レスラー』という映画のプロデューサーも担当しています。プロレスやライブ、舞台事業について非常に詳しい人物です。このようにグループ全体で組織の強化を図ろうとしています。

スポーツユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開

第3四半期以降の展開として、新日本プロレスは新年恒例のビッグマッチ「ベルクPresents WRESTLE KINGDOM 18 in TOKYO DOME」を開催しました。

スライドに記載のとおり、隣の「TOKYO DOME CITY HALL」では、「ベルクPresents WRESTLE KINGDOM 18 in TOKYO DOME」が始まる前に「スターダム」の「イッテンヨン・スターダムゲート」の興行を開催し、両方合わせて2万9,000人を動員しました。

ここからプロレス事業をもう一度成長軌道に乗せるべく、いろいろ仕掛けていきたいと考えています。

続いて、デジタルコンテンツユニットとライブエンタメユニットについて、ユニット長の根本からご説明します。

デジタルコンテンツユニット 2024年6月期第2四半期トピックス

根本雄貴氏(以下、根本):ブシロード取締役の根本です。私からは、ユニット長を務めているデジタルコンテンツユニットとライブエンタメユニットについてご説明します。

デジタルコンテンツユニットの売上高は14億2,000万円、前年同期比で9億6,700万円減少しました。モバイルゲームは一部タイトルのサービス終了を発表するなど、現在、運営タイトルを絞って収益性の改善を図っています。コンソールゲームについては、ビジュアルノベル『GINKA』をはじめ、2タイトルを発売しており、堅調に推移しています。

デジタルコンテンツユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開①

第3四半期では、『ゴブリンスレイヤー -ANOTHER ADVENTURER- NIGHTMARE FEAST』と『マクロス -Shooting Insight-』の2作品のコンソールゲームを発売予定です。1月に開催した発表会では、『HUNTER×HUNTER』のコンソール用本格対戦格闘ゲームや、オリジナル作品のビジュアルノベルゲームなどを多数発表しています。

デジタルコンテンツユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開②

今回の決算説明会では、デジタルコンテンツユニットの事業方針についてあらためてご説明します。今期においては、社内の人員リソースを含めてモバイルゲームからコンソールゲームへの事業の移行期間としています。

現状、一部モバイルゲームの運営赤字および新作コンソールゲームの開発投資がかさんでいる状況です。今期中にモバイルゲームの体制を整理し、来期からはモバイルゲーム事業単体として利益化を目指します。

コンソールゲームは現在投資がかさんでいる状況ですが、来期からは新作ゲームとアーカイブの売上と開発費のバランスを取れるようにして、デジタルコンテンツ事業全体で利益を確保できるようにしていきます。

また、現状、原作創出の目的も兼ねてビジュアルノベルの本数を増やしています。前回の2023年6月期通期決算説明会では、「コンシューマーゲームのだいたい1本あたりの開発費の指標を1億円前後としています」と説明したことで誤解を招いてしまいました。具体的に説明しますと実際にはタイトルにより幅があり、ビジュアルノベルの開発費は4,000万円から6,000万円ほどになる一方で、開発費と広告宣伝費などを含めて5億円から10億円弱の規模のコンソールゲームのプロジェクトも中には走らせています。かけるべきタイトルにはしっかりと投資を行い、来期以降のヒットを目指します。

デジタルコンテンツユニット (参考)今後の発売スケジュール

今後の発売スケジュールはスライドに記載のとおりです。コンソールゲームは現在発表済みのもので、四半期ごとに2タイトルほどの発売を計画しています。

この中で『HUNTER×HUNTER NEN×IMPACT』は、発表の際に国内はもとより特に海外でも反響が良かったです。引き続き予算やリソースを割き、来期以降に期待しています。また、未発表で開発中のものが6タイトルあります。これらの発売時期は、来期または再来期を予定しています。

ライブエンタメユニット 2024年6月期第2四半期トピックス

ライブエンタメユニットの売上高は15億1,700万円、前年同期比2億7,800万円の増収となり、四半期としては過去最大の売上高となりました。

3日間連続で開催した「BanG Dream! 12th☆LIVE」などの音楽ライブが好調でした。また「MyGO!!!!!」の1st Album『迷跡波』が国内外で好評となり、四半期として過去最大の売上を出すことができました。

ライブエンタメユニット 2024年6月期第3四半期以降の展開

スライドに記載のとおり、第3四半期以降も多数の音楽ライブを開催していきます。ここで「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」のライブ映像をご覧ください。

(ライブの映像が流れる)

ご覧いただいた映像は『バンドリ!』プロジェクトで展開しているバンドの「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」のライブ映像です。キャラクターを演じている役者が、実際に楽器を演奏してライブを行っています。

現在『バンドリ!』には、実際にライブを行うバンドが「Poppin'Party」「Roselia」「RAISE A SUILEN」「Morfonica」「MyGO!!!!!」「Ave Mujica」の6組あります。どのバンドも2,000人以上の集客力を持っており、中にはアリーナクラスを狙えるバンドもあります。

それに加えて、バンド演奏はせずライブやトークイベントを展開している「Afterglow」「Pastel*Palettes」「ハロー、ハッピーワールド!」の3バンドと、現在育成中の「夢限大みゅーたいぷ」というバンドが活動中です。このレベルのガールズバンドを6組以上運営している国内の音楽レーベルは、おそらくなかなかないだろうと思います。これから先も単独ライブや合同ライブを組み合わせて、動員力を増していければと考えています。

また、「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」は昨年放送されたアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』を起点として、東アジアを中心にヒットしています。

今年1月27日に開催した「Ave Mujica」のファーストライブは、7,000枚以上と『バンドリ!』では過去に例のない規模で配信チケットが海外で売れました。「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」が海外で売れ、海外展開で音楽ライブ事業を伸ばしていくことを考えています。来年1月からは「Ave Mujica」のアニメ放送の予定もありますので、海外を含めてより拡大していければと思っています。

続いて、海外事業本部 本部長の戸村より、海外戦略についてご説明します。

海外戦略-国内ノウハウの活用とグローカル展開

戸村祥平氏(以下、戸村):執行役員・海外事業本部 本部長の戸村です。私からはブシロードの海外戦略についてご説明します。まず中期経営計画にあるとおり、弊社はTCG事業の強化に加え、グローバル拡大を強く推進しています。

弊社が提供している「ブシナビ」というツールは、2023年に英語版の提供を開始しました。これは世界中の取扱い店舗を調べ、大会・イベントを検索して参加予約できるツールです。

「ブシナビ」をグローバルに展開することで、ブシロードTCGの広がりをお客さまや店舗、そして弊社も確認することができるため、マーケティングにも有効活用しています。登録者数は今年1月末で8万人を突破し、日本語・英語以外の言語に関しても多くのご要望をいただいているため、積極的に追加を検討しています。

このような世界中で活用できるツールを提供する一方で、リアルなコミュニケーションについても積極的に取り組んでいます。弊社はカードゲームの講習会を世界中で行い、現地のお客さまや店舗スタッフのみなさまとコミュニケーションを取ることで、協力していただけるリレーションシップを構築しています。

そのために、海外人材の採用を積極的に進めています。現在、弊社グループ内には海外出身の従業員が80名ほど在籍しています。比率にすると13パーセント程度です。現地の企業やお客さまとのリレーションを構築していく上で、強力なドライバーとなっています。

講習会などの映像をご用意していますので、ご覧ください。

(講習会などの映像が流れる)

木谷:少し解説します。最初の映像は、先日台北で開催されたイベントでのBtoBコーナーの様子です。私が現地のショップから「『ブシナビ』の機能をもっとこうしてほしい」「簡体版や繁体版はないのですか?」と言われているところです。こういったご意見を直接頂戴して、それをどんどん変えているところです。世界各地を回って、そのようなことを改善していっています。

次の映像は、昨年の夏に『Shadowverse EVOLVE』の英語版をリリースした時の講習会の様子です。映像に映っているのは私の息子で、私と息子とスタッフの3人で英国に行きました。

私はもっぱら運転手でしたが、ロンドンからヨーク、エディンバラ、グラスゴー、リヴァプール、マンチェスター、ウェールズと回り、ロンドンに戻りました。距離にして3,000キロメートルほどでした。

映像に映っているのは、英国ウェールズの港町にあるカードゲームショップの中での講習会の模様で、15人ほどの方がいらっしゃいました。

このように大都市だけではなく、世界のすみずみまで足を運んでいます。我々は「グローカル」と呼んでおり、グローバルだけれどもローカルまできちんと行く活動を地道に行っています。

ちなみに、イベントに来てくれた方の6割はやはり『カードファイト!! ヴァンガード』のユーザーです。もちろん、オンラインTCG『Shadowverse』のユーザーの方もたくさんいらっしゃいました。

戸村:弊社ではこのような取り組みを「グローカルどぶ板営業」と呼んでおり、常に最前線でエンタメを提供するというブシロードの姿勢を示しています。

海外戦略 - TCGの海外売上比率・売上高

TCGの海外売上比率と売上高の推移です。2021年6月期以降、増加傾向が続いており、2024年6月期上期の海外売上比率は42.0パーセントとなりました。金額ベースでも上期の海外売上は43億円と、前年を上回るペースで推移しています。

今年1月に『ヴァイスシュヴァルツ』の簡体字版を発売するなど、海外売上が増加する要素もありますが、第4四半期には国内向けに発売を開始する『DREAM ORDER』も控えていますので、海外売上比率は40パーセント前後で推移すると考えています。

海外戦略 - 国際展示会・イベントの実施

弊社では、日本、シンガポール、アメリカの3拠点で連携し、世界中で展示会やイベントを実施しています。スライドにも写真を数多く掲載していますが、展示会の雰囲気を感じていただくために、こちらの映像をご覧ください。

(展示会の映像が流れる)

海外戦略-国際展示会・イベントの実施

ご覧いただいたのは、昨年11月に行われた「『2023 Bushiroad Expo Asia』in Singapore」というBtoCの展示会イベントの模様です。

2023年はアジアが中心でしたが、2024年はヨーロッパや中東などにも拡大し、スライドにも記載のとおり数多くの開催や出展を予定しています。現地のユーザーや企業と引き続き密な関係を築きながら、ブシロードコンテンツの認知度向上に尽力していきます。

2024年6月期連結業績予想の進捗

木谷:最後に、2024年6月期の業績予想の進捗と今後の見通しについてご説明します。2024年6月期は売上高510億円、営業利益20億円、経常利益23億円、当期純利益12億3,400万円を見込んでいます。上期累計の実績進捗率はスライドのとおりです。

上期累計の各項目の対通期進捗率のうち、特に利益項目はデジタルコンテンツユニットの低調の影響により、第1四半期時点より後退し事業計画を下回っています。ただし、売上構成比率・利益率がともに高い第4四半期の新作TCG『DREAM ORDER』の発売を控えたTCGユニットを中心に、挽回を図っていきます。

質疑応答:プロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』について

質問者:プロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』のターゲットについて、プロ野球ですのでおそらく男性になるのではないかと思いますが、年齢層は子ども、若者、中高年など、どのあたりの層をターゲットにしているのでしょうか?

木谷:ターゲット層については、先ほどお伝えしたように、小学生から60代、70代までがターゲットになります。ただし、中心になって購入していただけるのではないかと考えているのは、やはり30代、40代です。20代の方もかなりプレイしていただけるのではないかと考えています。

男女比率はおそらく男性が多いと思いますが、推しの選手を個別に集めるような女性の方もいらっしゃるのではないかと考えています。

質問者:プロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』のマーケティングについて、今回は今まで御社で利益が出てきていなかった層に対してリリースされているようにも感じますが、マーケティングへの取り組み方について教えてください。

木谷:マーケティング手法については、20年前、10年前とは違い、プロ野球に関してはかつてないほどマーケティングしやすくなったと考えています。

それは、やはり各球団が球場に来てくれるお客さまのことをしっかり把握しているということもあります。また、すべてではありませんが、いろいろな球場で改装などによりビジョンが大きくなっています。そのようなところで1回CMが流れるだけで、球場にいる多くの方に認識されます。

テレビに関してはBSにCMを流しており、地上波では流していません。しかし、BSで1回CMを流すのは地上波に比べてコストが非常に低く済みますし、BSで野球を観る人は野球が相当好きなのではないかと考えています。

また、「YouTube」などを見ても野球関連のチャンネルだけでかなりの数がありますし、野球関連のインフルエンサーの方もかなりいらっしゃいます。マーケティングとしては、そのようなところを中心に行っていきます。

特に弊社が力を入れているのは、何らかのかたちで12球団すべてに協賛していることです。中日ドラゴンズや読売ジャイアンツなど、スポンサードが少しずつ発表されています。各球団と個別に交渉し、販促策を相談させていただいています。

球団によっては非常に手厚い球団があり、冠試合なども協賛内容に入っており、始球式も全部で10回ほど行う予定です。このように「DREAM ORDER presents」というものが、いろいろなところで展開されると思っています。

なによりも、プロ野球は動員数が非常に多く、セ・リーグで1社につき3万3,000人ほど、パ・リーグで1社につき2万5,000人ほどです。このような動員力を誇るイベントは他になかなかありませんので、実際のプロ野球の場にもアプローチしたいと考えております。

プロ野球のカードゲームは、過去に2回ほど発売されています。ただし、過去よりも今のほうが動員力も増えており、プロ野球のファンはコアユーザー化しています。そのため、昔よりも買っていただける環境になっているのではないかと考えています。

質問者:これまでTCGでさまざまなヒット商品を開発されてきていらっしゃると思いますが、今回のプロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』には、御社のこれまでのTCGのノウハウのどの部分が活かされていると考えているかを教えてください。

木谷:ノウハウについては、実はカードゲームはノウハウを持って自社開発している会社はグローバルで見ても非常に少ないのが実情です。外注先の開発会社に出している会社が多いです。

弊社は自社で開発ラインを持っており、過去にも自社開発で出したものがあります。今回は外注も使ってはいますが、まずは自社の中でベースのルールを作っています。

私も遊んでみましたが、おもしろいです。『DREAM ORDER』の特長は、サイコロを判定の道具として使っているところだと思います。なぜそれが良いのかというと、サイコロを使わない場合は、テキストや数字がカードの上にさらに増えていきます。そこに機能を持たせなければいけなくなると、写真の面積が小さくなってしまいます。

今回のカードゲームは、やはり選手の写真がいかに大きくきちんと載っているかがミソだと思いますので、判定の部分にサイコロを導入したのは大正解だったと思います。

そのあたりは、創業以来カードゲームに携わってきて、複数タイトルを出してきたノウハウが活きていると思っています。

質問者:プロ野球カードゲーム『DREAM ORDER』の収益化のタイミングです。4月発売ということで、来期あたりには垂直立上げができるのでしょうか? それともある程度はコスト先行型になるのでしょうか? 立ち上がりの速度について教えてください。

木谷:立ち上げに関して、時期や速度を説明するのはなかなか難しいところです。実際のところプロ野球は、1月は完全なオフシーズンです。世の中にプロ野球の話題もあまりない中で、ある意味ではプロ野球が止まった状態になっています。今のところ広がっているのは、カードゲームで遊ぶ方やカードゲームのショップの方の中の、野球好きな方に限られています。

カードゲームではあまり遊んでいないが、野球は大好きという方への広がりは、3月以降ではないかと考えています。

立ち上げに関しては、販売してみなければわからないところもありますが、流通からの引きは今のところ良いです。初回出荷も弊社の想定ほどになりそうです。その後、リピートが来るかどうかは、ユーザーの方々がプレイヤーやコレクターとしてどこまで広がるかの話になるため、わからないところではあります。

質問者:日本のプロスポーツのTCGはこれまであまり日本で流行っていないと思います。一部、スポーツのTCGを出している会社もありましたが。

先ほど「プロ野球の観客動員数は非常に多く、最高のIPだ」というお話がありました。一方で、プロスポーツのTCGが日本ではあまり流行っていない理由をどのように考えているのかを教えてください。

木谷:スポーツのカードゲームが今まであまりなかった理由は、やはりカードゲームにはオタクの要素が少し入っているため、今まではスポーツが好きな方とオタクの要素があまり混ざらなかったのだと思います。

しかし、最近はいろいろな分野にマニアやオタクがいるようになり、スポーツとも非常に混ざり合ってきているため、今こそ立ち上げのチャンスだと思っています。

日本は、アメリカなどに比べてやはりアニメやコミックの文化が強いです。スポーツのマーケットを考えてもアメリカと日本では差があり、そのあたりが大きな理由だと思っています。ただし、日本のスポーツファンもまたマニア化しているため、今が最大のチャンスだと判断し、このプロジェクトを始めることにしました。

質疑応答:コンソールゲームの開発費の上限額について

質問者:先ほどのご説明では「開発費と広告宣伝費などを含めて5億円から10億円弱の規模のコンソールゲームのプロジェクトも走らせています。」ということなので、上限額についてはもう少し上も考えているという理解でよろしいでしょうか?

根本:今後、注力するタイトルによっては5億円以上かかるものもあります。それについては今の市況環境を見て、追加機能なども精査した上で投資しています。

質疑応答:デジタルコンテンツユニットの事業方針について

質問者:スライドに「2026年にデジタルコンテンツユニットとしての今後の事業方針を決定」と記載がありますが、現状のコンシューマーとスマートフォンゲームのマーケットを考えると、このタイミングでチェックポイントを設けるのは、今の投資の状況だとまだ早いのではないかと思っています。

2026年に事業方針を決定する意味合いはあるのでしょうか?

木谷:2026年にこだわっているわけではありません。状況を見ながら柔軟に対応すべきだと、現状では考えています。今はまさに移行期間の真ん中ですので、1年後には少し違う見方になっている可能性はあるとは思っています。

質問者:スライドに記載の「2025年の実績を踏まえて」というのはまだ曖昧なもので、今後の状況を考えてまだ変更される可能性があると受け止めてよろしいでしょうか?

木谷:おっしゃるとおりです。

質疑応答:モバイルゲームの取り組みについて

質問者:モバイルゲームは今後縮小していくかもしれませんが、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2』(以下、『スクフェス2』)の反省点と現在の取り組みを教えてください。

根本:反省点としては、『スクフェス1』から『スクフェス2』に変わって大きく進化した要素がないというところだと思います。

ゲームとして一番重要な点は、遊びとしてどのように進化し、今の市場の中で差別化を図れるかだと思っています。モバイルゲームのタイトルも1本開発中ですが、今後、遊びとして他のタイトルとどれだけ差別化できて、楽しいものが提供できるかという点に尽きると考えています。

質疑応答:ブランドとコンテンツの育成バランスとシナジー効果について

質問者:基本的な質問を2点おうかがいします。1点目です。御社はいろいろなキャラクターやコンテンツを開発してマーケティングしています。

本日、「『ブシナビ』のユーザーが1月末で8万人を突破した」というお話があったと思います。将来、ユーザーが数十万人になってくると、御社にも収益の安定化などいろいろな面でメリットが出てくると思います。ブシロードというブランドを売り込むことと、個々のコンテンツやキャラクターを育てることのバランスに関して、何か考えがあるのでしょうか?

2点目です。各コンテンツやキャラクターを売り込む宣伝費用やいろいろな開発費用は、相当なコストだと思います。場合によってはビジネスユニットが分かれている中で、それぞれのシナジー効果を出すために、御社としての方針があれば教えてください。

木谷:2つのご質問は混ざっている部分もあるかと思います。これは最近わかってきたことですが、ブシロードのファンにはブシロード箱推しの方、つまり、ブシロードのコンテンツを3つも4つも好きだという方がかなりいらっしゃいます。

シナジーの例では、女子プロレスの「スターダム」を好きな方が、舞台コンテンツの『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』も好きだということは、かなりあります。ですので、そこをさらに誘導してグループ全体のコンテンツで相互送客しつつ、盛り上げていくべきだと思っています。

また、弊社は「みんなで盛り上がりましょう」というお祭りコンテンツが多数あります。「ライブパフォーマンスを会場で見たい」「プロレスで熱く応援したい」「カードゲームで優勝を目指したい」「遠征して仲間と語りたい」といった方が多いため、比較的アクティブな行動をされるお客さまも多いです。

そのような方たちへの箱推しを推進することにより、シナジー効果がさらに出てくると考えています。

現在そのようなことを調べて、どのように結びつけていくかの戦略策定を宣伝チームで行っているところです。単発の宣伝に終わっていた部分があるため、さらに相互につなげることを行っていくべきだと思っています。

また、ブランドに関しては、国内ではある程度の知名度はあると思っています。一方、海外イベントに出展する際などは、必ずブシロードというロゴやブランドを大きく出すようにしています。特にTCGにおいては、ブシロードのロゴやブランドは大事にすべきと考えています。

質疑応答:生成AIの活用について

質問者:決算とは直接的に関係ありませんが、生成AIのお話についてうかがいます。今後TCGやその他の部分で、生成AIの活用を考えていらっしゃるのかを教えていただけると助かります。

木谷:カードゲームに関しては、イラストで積極的に利用することはなかなか難しいと思います。知らない間に著作権を侵害している可能性もあるためです。生成AIとは異なりますが、カードゲームにおいてAIが使えそうなのは、テストプレイの一部工程をAIで行い、効率よくバグを潰せるようにするところです。

実はテストプレイは、非常にアナログな分野です。単純な話をすると、10人のテストプレイヤーが1日10時間テストプレイをすると100時間です。10日間テストプレイを行っても1,000時間にしかなりません。

それが発売日初日に2,000人が買いに行っていきなり遊び始めたとすると、2,000人が1時間遊んだだけで2,000時間です。テストプレイが緩いと、バグが1時間で見つかってしまいます。

そのようなマンパワーで行っているところでAIの力を使い、バグもさらに細かく潰せるようになれば、より本質的な部分にマンパワーをかけることができるようになり、開発面では非常に進めやすくなると考えています。

木谷氏からのご挨拶

本日はお忙しいところご来場いただき、誠にありがとうございます。情けない決算を迎えた第2四半期の成績ではありますが、弊社は未来に向けて日夜、投資と活動を続けているところです。

お伝えしたとおり、今年は昨年以上に海外に出てブシロードブランドとカードゲームをしっかり広げつつ、コンソールゲームや、「PalVerse」のフィギュアといったものも現地のお客さまにご覧いただき、販路をさらに拡大しているところです。ですので、海外販路拡大の中で、営業成績につながってくることもあると思っています。

また、もう1つの弊社にとっての追い風は、外国の方が弊社への入社を希望する例が非常に増えてきていることです。例えば、中国では英語が堪能で若くて優秀な方が海外で働こうとしている状態です。日本人の場合は『バンドリ!』のファンが多いのですが、中国や韓国、特に中国からいらっしゃる入社希望者は、だいたい「『カードファイト!! ヴァンガード』をプレイしていました」という方です。

エンタメ業界において自社IPを育てるのは、やはり人材獲得の面でも非常に大切だということを今、痛感している次第です。この追い風を受けながら、世界中にブシロードの製品・サービス・エンターテイメントを届けていきたいと考えています。

本日は誠にありがとうございました。

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