関連記事
米中貿易戦争は収束に向かうのか? 今後の行方は?
米中貿易戦争が続いている。米中貿易戦争とは、両国間でお互いの輸入製品について関税をかけることだ。アメリカにとっては、安価な中国製品が出回ることで自国製品が売れなくなることや、自国の雇用への影響を懸念しての措置であり、中国はその対抗措置としてアメリカ製品に関税をかけた。
【こちらも】Xは完全有料化になるのか?
顕在化したのは2018年のトランプ大統領の時代である。始まりは鉄だったが、その後、対象は数百から千を超え、あっという間に5000品目を超えた。その間、関税率も段階的にアップしている。
米中貿易戦争で重要な観点の1つとして、安全保障がある。通信傍受等で国家機密情報が漏洩することを防ぐため、中国製の通信機器や監視カメラが調達禁止となったことは、日本にも影響をもたらした。
またAI等の最新技術や、軍事技術に用いられる半導体は極めて重要な製品として、国家の安全保障と利益を守る観点から輸出に規制がかけられている。
但し、アメリカが国も企業も一枚岩となっているかと言うと、そうではない。半導体について、アメリカ半導体協会(The Semiconductor Industry Association 、SIA)は、アメリカ政府が半導体輸出について更に規制を強化すると発表している。
アメリカ半導体大手のエヌビディアが規制の対象となり、これまで中国向けに販売していた製品が輸出できなくなる。アメリカの議会では、今回の規制でもまだ不十分として、追加で規制が強化される可能性が高い。
このことは、エヌビディアのような半導体メーカーは規制の抜け穴を狙って中国への販売をしていたことを示し、規制強化は業績への影響が避けられない。業績への影響が大きければ、アメリカ国内の株主が黙ってはいないだろう。
米中貿易戦争は、当然アメリカ国民にも影響を与えている。数千の中国製品に関税がかけられたことによって、最終製品価格が上がり、その不利益は国民に転嫁されたことになる。貿易摩擦が今後ヒートアップすることは、アメリカ国民にとっても好ましいことではない。
ただ、米中貿易戦争がこれ以上ヒートアップすることはないだろう。その理由は、アメリカ、中国ともに国内事情のため、これ以上の対立は望んでいないからだ。アメリカは来年大統領選挙を控えており、世論の取り込みが必要だ。中国もまた国内経済の失速で、アメリカと争っている余裕はない。
11月にアメリカのバイデン大統領と中国の習国家主席は会談を行うとされている。その場では貿易問題も議題となるはずであり、米中貿易戦争の今後の方向性についてはその会談結果を注視する必要がある。(記事:Paji・記事一覧を見る)
スポンサードリンク