歯科医療機器で世界的:ナカニシの中計は、一段の事業拡大を謳っている

2023年10月13日 07:47

印刷

 ナカニシ(東証スタンダード)。歯科医療機器で世界トップ級。独自開発・製造・販売まで一貫して手掛けている。

【こちらも】過去10期連続増収・営業増益:ボンドのコニシのここから、を俯瞰

 ナカニシでは、「90年間、磨き続けてきた独自の超高速回転技術と超音波技術により歯科医療機器で革新的な製品を・・・」とする。歯科医院で「ウィーン」という音を発する先の細い針状の機器(ハンドピース)で、思わず目・耳を塞ぎたくなる治療を受けた経験は読者諸氏にもあるはず。

 市場に恵まれている、と言ったら失礼か。厚労省の2022年4月の発表では街の歯科医院の数は6万8500軒。コンビニ(5万5620軒)を1万軒以上上回っている。が売上高の海外比率は8割を超えている。14カ国に現地(製販)法人を配し、135カ国で販売している。

 収益は好調。2021年12月期「35.7%増収、61.7%経常増益、7円増配37円配」。22年12月期「8.5%増収、26.5%経常増益、9円増配46円配」。

 今12月期は「7.4%増収、10.3%経常減益、2円増配48円配」計画で立ち上がったが、中間期開示後の8月21日に上方修正。新たな通期予想を「29.8%の増収(631億6400万円)、11.78%の経常増益(197億2500万円)」とした。

 その理由を「完全子会社化した米国のデジタルチェアメーカーを、10月から連結業績に統合するため」とした。国際展開が進んでいる証しだと捉えたが、同時に発信した「第2四半期以降の為替レートは、1米ドル:135円99銭、1ユーロ:150円59銭を想定している」に興味を覚えた。日米の金融当局のここからに施策が想定水準の「円高・ドル安」を生み出すとは思えないからである。

 本稿作成中の時価は3700円台前半。予想税引き後配当利回り1%強。年初来安値2441円(1月)から総じて右肩上がりに転じ、9月6日に同高値を3775円に更新。高値ゾーンで推移している。IFIS目標平均株価は4250円と算出者は「強気」の意向。

 ナカニシは「デンタル事業」を軸に、「サージカル事業(脳神経・脊柱脊髄・整形外科用骨切削用ドリル)」「機工事業(超高速スピンドルを活かした自動車向け・スマフォ業界向け、微細・超微細精密加工機器)」の3分野に分かれる。至2025年12月期の中計で、「デジタル事業:売上高4倍(2019年比)」「サージカル事業:200%水準に拡大」「機工事業:118%水準に向上」と「事業規模拡大」を掲げている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事