天の川銀河で130億年以上前に誕生した恒星を探索する方法 フィレンツェ大の研究

2023年9月30日 17:33

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 宇宙で最初に誕生した恒星の発見は、2015年に報じられた。この星は、地球から約130億光年離れたCosmos Redshift7と呼ばれる銀河で発見された。スペクトル分析で水素とヘリウム以外の元素が見出されなかったため、それ以外の元素がまだ存在しない時代に誕生した、第1世代の恒星と認定されたのだ。

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 私たちの天の川銀河も132億年前に誕生しており、天の川銀河誕生直後に生まれた恒星が、現存するかもしれない。だが天の川銀河で第1世代の恒星を発見するのは無理だ。それは水素とヘリウムしかない宇宙で核融合が起きるためには、少なくとも太陽の300倍以上の質量が必要なためだ。恒星の寿命は質量の3乗に反比例し、第1世代の恒星の寿命は、単純計算で100年未満となり、誕生後あっという間に死滅してしまう。

 だが第1世代の星の残骸から誕生した第2世代の星は、質量が太陽の0.9倍の場合、単純計算で寿命が137億年となり、現在も輝いている可能性がある。太陽よりも軽い星を見つけるのは簡単だが、130億年以上前に誕生したかどうかを知るのは非常に困難だ。その方法をフィレンツェ大学の研究者らが、研究論文にまとめて公表している。

 それによれば、恒星は鉄と水素の構成比によって、鉄が水素の10%以上を占めるPopI、鉄が水素の10%未満のPopII、そして第1世代の恒星に分類されるPopIIIの3階層にカテゴライズされる。天の川銀河で古い恒星を探すには、PopIIに属する星を探索することになるが、これらの恒星は、天の川の外周部を周回している球状星団にある可能性が高いという。

 問題は、星が誕生する元となる前世代の星の超新星爆発エネルギーレベルで、これが低いほど炭素(C)生成量は高く、鉄(Fe)生成量は低くなる。

 また世代を重ねるにつれ、恒星の超新星爆発エネルギーは低くなる。つまり[C/Fe]比が非常に高い星は、単一の第1世代星の残骸から形成された可能性が高いのだ。具体的には[C/Fe]が10の2.5乗(=316.2)を超える場合、その星は第2世代の恒星と特定できるという結論だ。この方法により、近い将来、天の川銀河で第2世代の非常に古い恒星が発見されるかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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