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店舗数が多い企業ほど価格を高く設定できる理由、仕組みを解明 名大
名古屋大学は18日、店舗数が多い企業ほど高い価格設定が可能になるメカニズムを解明したと発表した。
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消費者は店舗数が多い企業の店舗ほど遭遇しやすい。そのため、店舗数が多い企業が、他の企業よりも高く価格設定しても、消費者は、他の企業の店舗を探しにくく、その高い価格設定を受け入れやすくなるという。
研究グループでは、今回の研究成果は、競争政策の立案に貢献するだけでなく、世界中で進んでいる物価上昇のメカニズムを、産業レベルで解明することに貢献するものであるとしている。
■店舗数が多い企業は価格を高く設定している
他のメーカーを圧倒する数の自動販売機を設置している清涼飲料水メーカー、ある地域に集中的に立地するコンビニやコーヒーショップ、ある地域で最大規模のタクシー会社などは、他の競合他社よりも高い価格設定をしていることが多い。
通常、店舗数が多く、供給が多ければ、価格は下落するはずである。
そのためなぜ、このようなことが起きるのか、そのメカニズムについては不明だった。
■店舗数が多い企業が価格を高く設定できるメカニズム
これまでは、消費者は全ての企業の価格をいながらにして瞬時に知り取引することができる、という前提で理論が組み立てられていた。
しかし現実には、消費者は、実際に他の企業の店舗を探し訪れなければ、企業間の価格差を知り取引することはできない。
このように望ましい取引相手などは、費用をかけて探索しなければ知ることができないことを経済取引における摩擦といい、このような摩擦をモデル化したものがサーチ理論だ。
研究グループはこのサーチ理論に基づいて数理モデルを構築し、これを解析。その結果、店舗数が多い企業の店舗には遭遇する確率が高いが、店舗数が少ない企業の店舗に遭遇する確率は低い。そのため消費者は、他の企業の店舗を探し訪れることを「ムダ」と考え、店舗数が多い企業の高い価格を受け入れやすくなることを突き止めた。
研究グループによれば、今回の研究成果は、競争政策の作成において指針となりうるだけでなく、世界的に進む物価の上昇ついてそのメカニズムの解明に貢献するものであるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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