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3期間の平均営業増益率73%:イトーキの創業来のDNAは開拓精神とイノベーション
4月に大規模リニューアルが行われた東京本社「ITOKI TOKYO XORK」。(画像: イトーキの発表資料より)[写真拡大]
イトーキ(東証プライム市場)。多岐に亘るオフィス用家具の大手。製販一貫体制を敷いている。1890年に故伊藤喜十郎氏によって創業された。
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当初は輸入品や、特許商品の受託販売を展開していた。現社長の湊宏司氏は「イトーキの根幹にあるのは、開拓精神とイノベーションのDNA。それは一貫して変わっていない」とし、こんな事例を引き合いに出す。
ホッチキスを日本に持ち込んだ(輸入した)のは、創業期間もなくの頃。商品名を英語名のStapler(スタプラ―)でなく輸入先メーカーの名前をそのまま付けて「ホチキス」とし、流行らせた。
ちなみに国産初のホッチキスを開発した最大手メーカー:マックスでも、この事実を認めている。また海外ではFountainPens(泉のペン)と呼ばれていた筆記具を、万年筆と名付けて市場に送り出したのも・・・と語る。もっともこの限りでは「知恵者企業」という認識の域はでないが、湊氏はこうも語り続ける。
「私は営業で訪問したお客様には必ず、イトーキのチェアには部品がいくつ使われていると思うかと質問する。回答の大半が20~30個、多くて100個。しかし当社の(代表的な椅子)フリップフラップチェアには、344個の部品が使用されている。姿勢や体の動きに追従させるためには、あらゆる場所に回転機構を備えなくてはならない。回転機構が増えれば部品点数が増える。がフリップチェアは独自の技術で、大幅な部品点数の削減の実現に成功している。10カ所の回転機構をたった1つの部品で可能にしている」。開拓精神とイノベーションのDNAに、頷かされざるをえない。
映し出すような、収益動向を見せつけている。コロナ禍の最中の時期でも売上高こそ微減も、「2020年12月、99.1%の営業増益」「21年12月期、41.0%の営業増益、2円増配15円配」。働き方改革が進む中、オフィスの在り様も変わったがそれに「フィットするオフィス家具の在り方」を率先し提案しえた結果だ。
22年12月期の「6.4%増収、79.0%営業増益、12円増配37円配(うち特配20円)」に続き今12月期も、「5.4%増収(1300億円)、41.8%営業増益(65億円)、特配を落としながらも25円配」計画。
そして「上期収益偏重型」とはいえ第1四半期は、「前年同期比4.6%増収(369億9500万円)、20.5%営業増益(47億7700万円)」で通過している。修正した至23年12月期の中計は、売上高・営業利益とも今期計画と同じ。「達成に100%自信」の中計といえる。椅子に代表されるワークプレイス事業は「売上高927億円(21年12月期比15%増収)、営業利益45億円(3.8倍)」。
年初来高値水準での推移にも、頷かされる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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