関連記事
混迷の後発医薬品市場で気を吐く、富士製薬とはこんな会社
「掃き溜めに鶴」とまでは言わないが・・・、業界環境の悪さ・厳しさにも埋もれることがない「隠れた成長株」はある。後発医薬品(ジェネリック)業界。業界首位の日医工が長らくの不正が表面化し、ファンドの傘下で再建を目指す形で上場廃止(3月29日)となった。ジェネリックの供給不足という点で、過酷な影響を業界に及ぼしている。
【こちらも】ジェネリックメーカーのサバイバル策を富士製薬の戦略にみる
富士経済の調べでは2018年に9557億円だった後発医薬品の市場規模は、23年には1兆2727億円になるとされるが、実はこの数字には厳しい「裏」がある。
そもそも新薬に比べ薬価が3割から4割安い。加えて相次ぐ薬価改定の波に晒されている。日医工の影響もあり結果、大方の企業は売上高を維持するために不採算な商品でも供給せざるをえない。あるメーカーでは2015年度に661品目のうち赤字品目が約120。これが21年度では779品目のうち約220が赤字、という現実がある。
そうした状況から、ジェネリックメーカーの株式市場での評価は総じて低い。
がそんな中でも、着実な収益増を続けている企業もある。富士製薬工業(東証プライム市場)。女性医療・急性期医療に特化したメーカー。
前2022年9月期「4.2%増収、12.8%営業増益、6円増配35円配」に続き今期も、「22.3%の増収(433億1100万円)、7.2%の営業増益(40億4800万円)、2円増配37円は」計画。至24年9月期の中計でも、「売上高500億円(20年9月期比48%増収)、営業利益50億円(2倍)」を掲げている。
女性医療と急性期医療の双方で総売上高の8割方を占めているが、詳しく覗き込んでみるとこんな具合だ。
★女性医療(以下売上高比率順): 経口避妊薬・不妊症治療薬・子宮内膜症治療薬・更年期障害治療薬・月経困難症治療薬・その他。
★急性期医療(同): 造影剤・バイオシミラー(バイオ後発品)・抗がん剤・その他。
少子化進行という流れの中で、不妊治療薬の保険適用が始まった。富士製薬の今後を展望する上で、評価材料と言える。
本稿作成中の時価は1100円台。予想税引き後配当利回り2.6%余。年初来安値(1月、992円)から同高値(5月、1295円)まで買われた後の調整場面。IFIS目標平均株価は算出者全員が「強気」を示し、1835円。
昨今の株式市場に東証の姿勢を反映する形で、「PBR1倍割れ銘柄」が材料視されている。富士製薬の時価のPBRは0.67倍。前期末段階での純資産は内部留保増に伴う、31億2400万円増の358億600万円。1倍への道筋は見えてきている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク