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OPECプラスの協調減産延長とサウジの減産、どうなる原油価格
●OPECプラスが協調減産を2024年末まで延長
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成されるOPECプラスは4日、ウイーンで開かれた会合において、現在の協調減産体制を2023年末から2024年末に延長することで合意した。
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また世界最大の産油国であるサウジアラビアが、7月から独自に日量100万バレルを追加減産する方針を示した。
これを受けて、原油先物相場は2%小幅上昇した。
今回の会合では4月に引き続いて、OPECプラスが追加減産するかどうかが注目されていた。協調減産の延長は既定路線と見られていたが、原油価格の見通しはどうなるだろうか?
●サウジアラビアの思惑
さらなる減産に否定的だったロシア、積極的だったサウジと意見が分かれており、OPECプラスの中で足並みが揃わない。
すでに5月から年末まで、世界需要の約1%に相当する日量115万バレルの追加減産を決めており、今回の会合ではそれ以上は踏み込めないと見られていた。
サウジからすると、景気減速等への懸念で原油価格が下がることを懸念し、サプライズ減産を発表することにより、価格の維持を目論んでいたことも考えられる。
●減産は続くのか?2023年後半にかけての原油価格は?
原油先物価格が上昇したことにより、原油関連銘柄が株価にも一部好影響となっている。
だが先行きという面では、SVBに端を発した金融危機や、2日に発表された5月の米雇用統計の結果からFRBの利上げが続くとの観測もあり、世界の景気の先行きは決して明るくない。
景気回復の鈍化が見られる中国も含め、景気停滞によって、原油需要が下振れするリスクは燻っている。
これからドライブシーズンを迎える米国でも、ガソリン需要が伸び悩む懸念もある。
サウジがさらに減産に踏み切るということも考えられる。2023年末には供給不足に陥るというアナリストの予測もある。そうなると、原油価格がさらに上昇を続けることになる。
だが原油価格の上昇が続くことは、来年に大統領選挙を控える米バイデン政権にも好ましくない。バイデン政権が動くことも考えられる。
外交的な要素で原油価格が動くこともあるため、幅広くニュースを注視しておきたいところである。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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