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SVBの余波か? ファースト・リパブリック銀行の預金流出
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●米ファースト・リパブリック銀行が大量預金流出
米国中堅銀行のファースト・リパブリック銀行は、2023年第1四半期に約1,000億ドル(13兆5000億円)の預金が流出したと発表した。
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ファースト・リパブリック銀行の安定化のために、JPモルガンなど複数の大手銀行が資金援助をしていたが、3月末の預金量は2022年末から約40%も減少している。
3月にはSVB(シリコンバレー銀行)の破綻があったが、その余波がファースト・リパブリック銀行にも影響しているのか?第2のSVBショックの前触れなのだろうか?
●ファースト・リパブリック銀行
ファースト・リパブリック銀行はニューヨーク証券取引所に上場しており、S&P500構成銘柄でもある。
カリフォルニア州サンフランシスコに本拠地を置き、資産規模は2022年末時点で2126億ドル(約28.5兆円)の全米14位の商業銀行である。
本拠地のカリフォルニアだけでなく、ニューヨークやフロリダなど11州で活動しており、主に富裕層の個人に対応している。
3月にはS&Pの信用格付けをAマイナスからBBプラスに引き下げられたが、3月19日にはさらに3段階下のBプラスにまで下げられ、ジャンク債扱いとなっている。
●SVBの悪夢再び?
決算発表では、4月には他行からの支援もあり、預金は安定した状態としている。
同時にバランスシートの縮小を目指すと表明しており、第2四半期中に役員報酬のカットや、従業員の約20-25%を削減するなどのリストラ策を発表している。
イエレン財務長官は、規制当局の強力な措置で安定しつつあると、市場に安心感を与える発言をしている。
SVBのような“突然死”を防ぐため、大手銀行が協力するなど、第2のSVBにならないことや、リーマン・ショックの再来を防ぐことに注力していることは窺える。
だが根本的な問題は、ハイペースな利上げによるバランスシートの毀損を受けた信用不安による取り付け騒ぎ、という構図は変わらない。
それを大手銀行の助け舟がどこまで続けられるかは疑問である。注水しても水漏れを防がなくては、信用不安が続くだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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