コロナ破たん、12月は過去最多ペース インバウンド需要の戻りに期待 東京商工リサーチ

2022年12月11日 16:45

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 東京商工リサーチは9日、新型コロナウイルスの影響で12月に破たんした国内事業者数が、同日時点で既に85件(負債1,000万円以上)に達したと発表。9月から11月にかけ3カ月連続で200件を超え、増勢は強い。一方、10月以降は日本政府による水際対策の緩和で外国人旅行客が急回復しており、関連業界は売上を戻し始めた。コロナ以前にインバウンドの約3割を占めた中国人の再来時期に注目が集まる。

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 ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、日本時間10日午後5時時点における累計感染者数は世界全体で6億4,853万人超。国別では、米国が最多の9,940万人超、次いでインドが4,467万人、フランスが3,859万人、ドイツが3,675万人。一方、直近4週間の新規感染者数では、日本は世界で最も多く、累計感染者数も2,583万人を超え、イタリア(2,470万人)やイギリス(24,281万人)を抜いた。

 全国で感染者が増えるものの、重症者数は一定に抑えられている中、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が9日開催され、コロナの感染法上の分類見直しが議論された。尾身茂会長は記者会見で、「社会経済を回す時期に徐々に来ているという認識を持っている」と発言。季節性インフルエンザと同じ5類相当への移行が視野に入った。

 10月に日本の水際対策が緩和されて以降、外国人インバウンドは急回復している。日本旅館協会北海道支部連合会が9日に発表したところによれば、11月の北海道のインバウンドは2万3,000人を超え、前年同月の63人から大幅に増加。他地域でも同様の傾向が見られ、新潟県は7日、約3年間運休していた国際線の運航を2023年1月より再開させると発表した。

 一方、コロナ以前にインバウンドの約3割を占めた中国からの観光客はまだ増えていない。中国がゼロコロナ政策を継続しており、中国入国者に隔離期間を設けているのが主因。一方、8日からは中国国内の省をまたぐ移動が容易になるなど、ゼロコロナ政策の緩和が進められつつあり、2023年には完全に再開するとの見方が強い。

 かかる状況下、東京商工リサーチの調査によれば、新型コロナウイルスに関連する12月の経営破たん事業者数が9日時点で85件に達し、過去最多だった10月を上回るペースで推移していることが分かった。コロナ発生以降の累計件数は4,927件(負債1,000万円未満を含む)となる。

 破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで4万3,058人となった。従業員50人以上の破たんが目立ちつつある。2021年は年間で32件だったところ、2022年は1~6月に24件で、7月以降は更に増え、既に26件が確認された。

 コロナ関連の破たんは増勢が止まらないものの、外国人インバウンドの戻りにより関連業界は収益を回復させつつある。中国からのインバウンドが完全回復の鍵を握りそうだ。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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