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後継者不足でもフードロス削減で地域活性化へ 「みかんのまち」の新たな挑戦
年中みかんのとれるまち」三重県御浜町 5者連携で、持続可能なみかん産地を目指して地域活性や特産品のPRに取り組む[写真拡大]
資源高や円安を背景に物価の高騰が続いている。総務省統計局が発表した2022年11月の東京都の消費者物価指数は前年同月比3.6%で上昇しており、実に40年振りの強烈なインフレが起こっている。
家計の緊縮に四苦八苦する家庭が増えている中、注目されているのが「フードロス」の削減だ。各家庭や飲食店などでの食べ残し、スーパーやコンビニなどでの売れ残り食料品や期限が近い食料品の破棄など、「フードロス」は以前からSDGsの観点でも大きな社会問題になっている。
国際連合食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンもの「まだ食べられる」食料が毎年廃棄されているという。日本でも年間およそ612万トンもの食料が破棄されており、これは国民一人当たりに換算すると、毎日茶碗1杯分の食料を捨てているのに等しい。日本は先進国の中でも食料自給率が低く、多くの食べ物を輸入に頼っている。そんな日本が多くのフードロスを生み出しているという歪んだ状況は、このインフレ下でなくても早急に改善しなければならない問題だ。
そんな中、積極的にフードロス問題に取り組む地方自治体も現れている。例えば三重県御浜町もその一つだ。人口約8100人の御浜町は、温暖な気候に恵まれ年間を通して様々な品種のみかんが栽培されており、「年中みかんのとれるまち」をキャッチコピーに掲げている。しかし近年は高齢化や後継者減少による担い手不足などで、みかん産地としての存続が危ぶまれているような状況だ。
そんな課題を解決すべく、御浜町ではある取り組みが始まった。同町は11月28日、積水ハウス、クラダシ、パーク七里御浜、ツーリズムみはまら4者と「御浜町における食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結。
フードロスや地方創生に興味のある学生が日本全国の人手不足で悩む地域・農家を訪れ、収穫支援や現地での交流を行う社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」の実施や、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品を、おトクに販売するソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」での商品販売、各者と連携した情報発信などで、御浜町の特産品PRと地域活性化を目指す。インターンに参加する学生が、担い手不足による未収穫産品や不揃い、規格外等のみかんを収穫して、みかんジュースに加工、ECサイトで販売することでフードロスの削減に取り組む。この積水ハウスとクラダシとの地域活性化に向けた取り組みは、2021年10月の京都府京丹波町、2022年9月の和歌山県すさみ町に続き3箇所目となる。
今回の「クラダシチャレンジ」では、積水ハウスとマリオット・インターナショナルが推進する地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」の地域活動の一環として建設された、道の駅パーク七里御浜に隣接する「フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜」を学生の宿泊場所として利用。みかんジュースへの加工は、道の駅パーク七里御浜内のジュース工場にて行われる。学生と役場職員の意見交換会も実施する予定だ。
地域活性化とフードロスの削減。さらには高齢化、過疎化、後継者問題など、それぞれ個々に対する取り組みは多いが、このような複合的な課題解決に向けた取り組みは、実はまだまだ少ない。でも「豊かな暮らし」を考えた場合、一つ一つは決して切り離しては考えられないものではないだろうか。これから始まる御浜町の取り組みが成功し、未来の日本を元気にする指標となってくれることを祈りたい。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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