関連記事
スノーピークの下方修正の理由に感じる「?」と、アウトドア市場の今後
スノーピーク(東証プライム)。前社長:山井梨沙氏の「不倫・妊娠」の末の社長辞任は、トップましてや上場企業の社長としての「自覚の欠如」と揶揄されて然るべき。また故人の創業者祖父:山井幸雄氏、山井氏の父で前会長の山井太氏(今回、会長社長に復帰)の責任が指摘されても仕方がない。それ以上でもそれ以下でもない「認識」しか、持ち合わせていない。
【こちらも】スノーピーク“あったか”ダウンウェア、洗濯できる防水ジャケット&パンツやベスト
スノーピークは世界でも初めて、「オートキャンプ」形態を生み出した。キャンプ用品やアパレルの製販を手掛けている。過去3期間の「平均営業増益率:159.1%増」が示す通り、急成長の階段を駆け上がってきた。
そして今2022年12月期も「27.2%増収、37.0%営業増益、21.0%最終増益」計画で立ち上がった。だが中間期決算開示と同時(8月12日)に一転、下方修正。通期計画を「23.7%増収(318億円)、0.8%営業増益(38億5000万円)、9.1%最終減益(24億8000万円)」とした。
中間期の実績(決算資料)を見る限り、下方修正の「理由」が確認しづらい。中間期は前年同期比「34.5%増収、58.6%営業増益、51.4%最終増益」。決算資料にも「好調に推移し」以外の言葉は見当たらない。
そして下方修正の説明も、足元・先々の環境を見据えた確固たる認識に立っているとは受け止められないものだった。
「第3四半期以降については、とりわけ7月にファミリー層の顧客が新規でキャンプを始める動きに鈍化が見られ、新規キャンペーン向け高単価商品の販売が減少し単価が下落。コロナ禍で初めての行動制限がない夏休みとなり、キャンプ以外の旅行等の需要が一時的に高まったことが要因と思われる」としながらも、『ただし新規顧客の会員獲得は順調であり、コロナ禍に創造したキャンパーのアクティブ化が進んでおりLTV(顧客生涯価値)の上昇が見られていることから、夏休み終わる9月以降については』という「曖昧」なもの。「恣意的な株主説明」と言われても、仕方がないものだったと認識する。
株価動向も下方修正日(金曜日引け後)の終り値:2744円から、週明けの終り値は400円近い下落。時価も1800円台終盤。が、IFIS目標平均株価は「割安」として2650円と、見方は二分している。結果は下半期の収益動向を確認する以外にないが・・・
矢野経済研究所では、アウトドア市場についてこんな見方を示している。市場の構成は2020年度で見ると、市場規模は2954億6700万円。「アパレル(ウエア・シューズ・ザック・バック等):65.3%」「用具(テント・ターブ・テーブル・チェア・シュラフ等):26.2%」「施設(キャンプ場・バーベキュー場、バンガロー・コテージなど宿泊施設等):7.9%」「レンタル市場:0.6%」。『20年度は緊急事態宣言の発出で外出自粛の影響で前年度比5%弱となったが、以降は3000億円台終盤から3100億円台前半の高原状態が予測される。だがコロナ禍が終息に向かうにつれ、これまで自粛が求められていた分野に人々の動きが分散する可能性がある』としている。
アウトドア市場の今後は前記のように「キャンパーのLTV上昇」を否定はしない。が、前社長問題も含めスノーピークにはいま、一皮むけた企業への「止揚」が求められていると言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク