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三菱マテリアル、社会的価値と経済的価値の両立を目指し、サステナビリティに関する様々な取り組みを展開
企業理念体系に基づく企業活動の全体像
小野直樹氏(以下、小野):執行役社長の小野でございます。本日は多数の方々にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、7月に発行した「統合報告書2022」の内容を中心に、一部に新しいものを加えながらお話しします。
まず、企業理念体系です。これまでと変わりませんが、「人と社会と地球のために」という企業理念の下、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、持続可能な社会に貢献するリーディングカンパニー」となることをビジョンとして掲げています。
価値創造プロセス
価値創造プロセスとして、事業全体の取り組みを示しています。スライド左側に、当社が取り組むSDGsに関係する課題、重要課題(マテリアリティ)を示しています。
中央の円が当社の事業の営みです。全社方針の下でリサイクル、あるいは資源、素材、製品化といったビジネスを展開しています。それにより、右側のアウトプットとしての「製品・サービス」「提供価値」につながっていきます。
その結果、当社は「社会的価値と経済的価値の両立を図る」という会社の目指す姿として「豊かな社会」「循環型社会」「脱炭素社会」の構築に貢献していこうと考えています。
重要課題と持続的成長に向けたKPI
スライド左側に、先ほど触れた重要課題(マテリアリティ)を列記しています。上部の緑色のボックスに記載した4点が、事業を通じた社会課題解決に関するもの、いわゆる社会や地球のサステナビリティに貢献する課題という位置付けになります。
一方、下部の水色のボックスは、経営基盤・基盤強化に関するもので、当社そのものが事業体として、あるいは企業市民としてサステナブルな存在であるために重要な課題という位置付けです。
この中で、特に事業戦略と密接に関わるのが「循環型社会の実現」です。右側の赤い四角で囲われた「超硬工具製品のリサイクルタングステン原料比率」「E-Scrapの処理能力」「家電リサイクル処理台数」「リサイクル原料利用率」をKPIとして定め、事業との連関を図っています。
循環型社会の実現に向けて
この図も統合報告書に掲載しているものと同様です。まず、一番上のオレンジ色の部分が、市場にある使用済みの製品、あるいは廃棄物を示しています。
そうしたものを集荷し、リサイクルプラントやバイオガス化プラントなど、さまざまなリサイクルプロセスに投入しています。一部は銅製錬や、ほかの製錬所とグリッドを組んでいる部分も活用しながら、原料や素材として再利用できるものを取り出していきます。そのようなことをビジネスの大きな1つの根幹として構えています。それが青いラインで囲んでいる「1 資源循環」、特に金属資源に関する循環を果たしていく役割になります。いわば、この部分は静脈型の事業と言える部分になります。
一方で、取り出した原料や素材の一部を使いながら、当社の技術を付加し、高付加価値の素材や機能材料、あるいは製品に仕立ててマーケットに供給していく、それが赤い線で囲った「2 高付加価値の素材・機能材料・製品供給」で、動脈型のビジネスの部分になります。
こうしてマーケットに提供したものや他から集荷したものも含めて、再び「1」の資源循環のサイクルに入り、そして「1」から「2」へ、「2」からマーケットへ、さらにはマーケットから「1」にまた戻ってくるような循環をイメージしております。
このような循環を進めることによって、少なからずCO2の削減が図っていけるものと考えていますが、さらにカーボンニュートラルを進める意味では、スライド右側の「3 脱炭素」への取り組みに記載しているように、自ら再生可能エネルギーとして地熱発電、水力発電、太陽光発電を推進しています。一方で、最近ではCO2そのものを直接的に分解し、炭素材料として取り出し有効利用していくといった研究にも着手しています。
4つの経営改革
こちらのスライドでは、昨年秋から取り組んでいる4つの経営改革を示しています。スライド右側中央の「目指す組織・風土」としての6項目を実現し、それを通じて、機敏に打ち手を変える「変化適応力」や「統合力」を高め、「組織能力の向上」を目指しています。そのために、CXとして最適なグループ経営形態を追求しているほか、後ほどご説明しますが、自律的な人材の確保・育成のための「HRX」も進めています。また、デジタル化の取り組み(DX)はこれらに先行して進めています。このCX、HRX、DXに業務効率化を合わせた4つを相互に連関させながら、進めようと考えています。
CXの取り組み
そのうちのCXの取り組みについてです。従来は本社コーポレート部門でまとめて行っていた機能を戦略本社、プロフェッショナルCoE、カンパニーに分けて配置し、それぞれの持つ役割分担を明確にすることで、「自律的な課題解決能力を持つ組織」「迅速、果断な意思決定をする組織」を目指すものです。
コミュニケーション施策
組織の中で最重要視しているのは「自由闊達なコミュニケーションができる健全で風通しの良い組織」です。これに向けて、コミュニケーションの活性化を目的とする各施策を展開しています。
このうちの「インナーブランディング」は、先ほど冒頭で触れた「会社の目指す姿」を、より多くの従業員が一人ひとり、自分ごと化できるよう、経営層との距離を縮めるためのコミュニケーションを図っています。また、従業員の公募により集まった「アンバサダー」が、目指す姿を展開していく役割を担うなど、さまざまな取り組みを行っています。
経営改革の推進にあたっては、今年度9月末までで「タウンホールミーティング」を20回近く開催しており、経営陣から従業員に対して改革の狙いを直接説明しています。
こうした非日常のコミュニケーションに加えて、日常的な上司と部下間のコミュニケーションの推進を図るための「1-on-1」も、定着を目指して展開しています。
三菱マテリアルグループにおけるサステナビリティの取り組み
スライドには、「E」「S」「G」それぞれの取り組みを区分けし、2020年4月前後からの時系列で示しています。このうち、「E」と「S」については、後ほど担当の執行役から詳しくご説明します。ここでは、一番下段の「G」、つまりガバナンスについて少し説明を加えます。
ESGレポートの概要
その前に、統合報告書に続いて、今年8月に「ESGレポート」の今年度版を発行しています。アジェンダはスライド左側に示したとおりです。右側のURLからアクセス可能ですので、ぜひこちらもご覧いただければと思います。
ガバナンスに関する取り組み
ここから、ガバナンスに関する取り組みについてご説明します。こちらでは、2015年以降のコーポレート・ガバナンスに関わる特記事項を列記しています。
大きく転換を迎えたのは2019年度の「指名委員会等設置会社」への機関設計の変更です。これにより指名委員会、監査委員会、報酬委員会を法定の委員会として立ち上げました。かつ、その下の取締役会の構成についても、全体11名のうち6名を社外取締役にすることで、大きく改革を進めました。
その後、2020年度、2021年度と少しずつ変化しながら、今年度に入ってからは役員報酬制度の見直しや、サステナビリティ委員会の立ち上げなどを行っています。
取締役会の実効性評価
取締役会の実効性評価については、毎年、取締役会としても独自のアンケート調査を通じて実効性を評価し、改善点について課題を抽出し、その改善に取り組んできました。
特に、昨年度の2021年度は外部の第三者機関を起用し、この実効性評価を実施しています。取締役会の議論の様子の傍聴や、取締役への個別インタビューを通じ、スライド上部に記載のような課題を抽出し、それに対する取り組みを進めています。
その取り組みの1つとして、サステナビリティ委員会の設置が今年度の結果につながっています。
サステナビリティ委員会の設置
スライド上部の「株主総会」の傘下にある「取締役会」の諮問を受ける委員会として「サステナビリティ委員会」を新設しています。構成メンバーは8名で、うち7名が社外取締役、委員長も社外取締役にお願いしています。
下部の水色のボックス内にあるように、サステナビリティに関しては執行側が従前より「サステナブル経営推進本部」を設置し、取り組みを取りまとめ、「取締役会」に報告するかたちで進んできました。
サステナビリティ委員会 活動の方向性について
それに対し、取締役傘下となったサステナビリティ委員会の役割は、1つ目が、執行側のサステナビリティ経営に関するモニタリング、およびその方法論も含めて議論することです。2つ目が、サステナビリティ経営の課題について、大きな視点からの方向性を示すことです。このような大きな役割を担うこととしています。
具体的な取り組み内容について、右側の図にAnalysis、Disclosure、Visionという観点で整理したものを示しています。
サステナビリティと言った場合、大きく分けると2つの側面があります。冒頭のマテリアリティの説明と同じ考え方ですが、1つは企業が継続的に事業活動していく存在であり続けるという意味でのサステナビリティで、スライド左下の項目で言うと「守りの観点」です。
もう1つが、企業が事業活動を通じてサステナブルな地球、社会へ貢献するという意味でのサステナビリティ、つまり「攻めの観点」と呼べるものです。
サステナビリティ委員会は、特に「攻めの観点」を中心に、大局的な視点からビジョンを描き、そのビジョンに基づき優先的に検討すべき課題を示していくという役割を持ち、活動を始めたところです。
社外取締役による監督機能の強化
当社では、社外取締役の人数が取締役会の過半数を占めており、スライドの表に示しているとおり、さまざまな社外取締役による監督機能の強化策を展開しています。
取締役説明会は、時間的な制約で取締役会の議論だけでは不十分なものをカバーするために、別途時間を設定し、より深いディスカッションを可能とする仕組みです。また、社長である私との間では、各社外取締役と1-on-1ミーティングを行い、フィードバックを受ける、あるいは取締役会や説明会ではカバーできなかった点の補足などを行っています。
一方で、機関投資家のみなさまとは年に1回、社外取締役が出席するスモールミーティングを開催し、より対話を深める努力をしています。また、社外取締役意見交換会として、社外取締役だけでの意見交換も積極的に行っています。
スキルマトリックス
次にスキルマトリックスです。左側の白丸、黒丸で示しているのが、いわゆるコンベンショナルなスキルマトリックスの表です。各取締役がどのような専門性や経験を有するのかを示しています。
右側には、取締役会等で議論している主要なテーマを掲げ、それに対してそれぞれの取締役がどのような貢献あるいは視点を提供しているかを文字にして、今年度から新たに開示しています。
役員報酬制度の見直し
次に役員報酬制度の見直しです。昨年度の報酬委員会の議論を通じて、今年度から役員報酬の中にTSRの相対評価を新たに取り入れました。より、株主と同じ目線に立つ部分の評価を加える考え方になります。
政策保有株式について
政策保有株式についてです。基本的な方針に基づいて縮減を進めており、その実績をグラフで示しています。
知的財産に関する取り組み
知的財産に関する取り組みです。経営戦略、あるいは事業戦略に沿った知的財産戦略を構築し、進めていく必要があるということで、一番下の図にあるように、事業部門と知的財産部門が戦略的対話を進めながら、経営・事業戦略から乖離しないような知的財産戦略を構築し、進めていく方針で行っています。
私からのご説明は以上です。
労働安全衛生に関する取り組み
鈴木康信氏(以下、鈴木):SCQと人権に関して、鈴木からご説明します。SCQは「Safety」「Compliance」「Quality」の頭文字を取ったものです。
まず、労働安全衛生(Safety)に関する取り組みについてご説明します。スライド上部に記載していますが、2014年4月から「ゼロ災プロジェクト」を立ち上げ、安全衛生基盤の強化に取り組んでいます。右側に記載のとおり、「ゼロ災プロジェクト」の今年の目標は、休業4日以上の重篤な災害発生ゼロ、火災爆発等事故の撲滅です。
主な活動としては、ハード面では設備のリスクを評価し、このアセスメント結果を踏まえて設計・仕様などを決め、安全な設備にしていく、設備安全化に取り組んでおり、今年で3年目になります。一方、ソフト面では、人の行動に関わる、危険感受性の向上に継続して取り組んでいます。これについては、次ページ以降でご説明します。
労働安全衛生に関する取り組み
社会全体や工場設備が安全になっていくことは素晴らしい反面、安全な環境になることで人間の危険に対する感受性が弱まり、災害につながってしまう可能性があります。そこで災害の場面を擬似的に体験することにより、この感受性を維持する取り組みをしています。
左側の写真は、さいたま市にある安全衛生教育センター「緑館」です。2017年3月に開設しました。ここではさまざまな危険な状態を体感できる教育と、座学としての安全衛生教育を行っています。また、危険体感教育という観点では、右側の写真のようなVRを用いた疑似体感教育も行っています。
労働安全衛生に関する取り組み
まず、リアルな危険体感教育についてです。スライド左側に、10種類の危険な場面を記載しています。それぞれについていくつかの体験設備があり、合計で50種類あります。右側に、例としていくつかの設備の写真を掲載しています。
各拠点においても、これほどのラインアップではありませんが、それぞれの職場環境に基づいて選択した危険体感設備を用いて、教育を行っています。
労働安全衛生に関する取り組み
VR、つまりバーチャルでの危険体感装置についてです。画像を見られるゴーグルだけではなく、振動や引っ張りなどを体感できる装置も身に付けて、災害の場面をバーチャルに体験してもらっています。右側はその一例で、このほかにもさまざまな場面が体験可能です。
コンプライアンスに関する取り組み
次に、SCQのC、コンプライアンスに関する取り組みです。表の左にあるとおり、今年度は研修、サーベイ、キャンペーンに取り組んでいます。
研修の1つ目は「役員ガバナンス研修」です。対象は、国内外のグループ会社の役員になります。内容としては、役員が果たすべき役割、取締役会の活性化、企業風土の改革、コミュニケーションの改善などについて研修を行っています。
また、各拠点においてコンプライアンス・リスクマネジメント活動を主導する管理者について、「コンプライアンス・リスクマネジメント管理者研修」を行っています。対象は国内拠点だけでしたが、2021年度は海外展開の一環として、日本語での研修になりますが、海外管理者の希望者にも参加してもらっています。
さらに、全社員を対象とした「コンプライアンス研修」も行っています。企業理念、価値観、行動規範、内部通報窓口の周知、その年の重点事項の教育についての研修を行っています。今年度は、ハラスメントと独占禁止法の遵守などを取り上げました。
サーベイに関しては、国内は全員、海外はスタッフ以上を対象に「コンプライアンス意識調査」を行っています。研修の効果を確認し、調査で明らかになった新たな課題については研修に織り込む、あるいは個別に対応しています。
また、今年度は「内部通報・社員相談窓口周知キャンペーン」を行っています。こちらについては次ページでご説明します。
コンプライアンスに関する取り組み
「内部通報・社員相談窓口周知キャンペーン」の取り組みです。ポスターの作成など、イントラネットを活用したものをいくつか行っています。基本的には、内部通報制度の周知、認知度を上げること、信頼感の醸成が主眼になります。
コンプライアンスに関する取り組み
続いて、国内外のグループ会社について、内部統制強化策として取り組んでいる内容をご説明します。テーマは表に記載の4つになります。
1つ目が「内部牽制の強化」です。親会社からの常勤役員を複数派遣することを原則としています。ただし、それが難しい小規模な会社もあるため、その場合は非常勤役員が果たすべき役割や行動を記載したガイドラインを制定し、運用しています。また、役員だけではなく、外部との仕入などの取引に関わるマネージャーも対象とし、自身が兼業している会社や親族などが関与している会社との取引について、その妥当性を検証し、年に1度申し立ててもらう制度を開始しました。
海外内部通報制度については、従来からグループ会社が個別に運用する通報制度がありましたが、昨年度より、それとは別に三菱マテリアルへ直接申し立てられる制度を運用しています。
2番目の「役員の意識向上」については、スライドに記載したような研修を行っています。
品質に関する取り組み
次に、品質(Quality)についてです。当社は品質問題再発防止のために、品質不適合品を流出させない「守りの品質」として、体制整備に取り組んできました。
具体的には6項目に取り組んでいます。今後はISO9001などの、拠点における品質マネジメントシステムに内容を落とし込み、継続的に取り組んでいきます。
品質に関する取り組み
今後の品質に関する取り組みです。不適合品を流出させないための「守りの品質」のレベルから、そもそも不適合品を発生させない、作らない「攻めの品質」を目指していきたいと考えています。
「守りの品質」の取り組みの1つである検査自動化により、データを蓄積する体制が整っています。大量のデータを基盤として、DXやものづくりの取り組みに絡めて、ブランド資産としての「品質」の確立まで高めたいと考えています。
人権に関する取り組み
ここからは、人権に関する取り組みになります。全体の流れをスライドに記載しています。
人権を守るためには、国や国際機関の取り組みだけでは不十分で、企業・ビジネスもそれに関与すべきだという思想を基に、2011年に国連の指導原則、またOECDの行動指針が出されています。
最近は差別化という観点もありますが、今年はEUで人権デューデリジェンスに関するディレクティブ案が発表されました。日本でも経済産業省から人権デューデリジェンスのガイドライン案が出されています。
当社は、昨年度に人権方針を公開しています。人権デューデリジェンスを実施し、人権リスクの低減に努めるとともに、取引先とも連携し、推進する方針です。
人権に関する取り組み
人権に関する取り組みは、スライド上部に記載の「a 方針によるコミットメント」「b 人権デューデリジェンスの実施」「c 救済処置」の3点です。「a 方針によるコミットメント」に関しては、スライド中段に記載した研修を行っています。人権デューデリジェンスについては実施計画を検討しており、今年度から来年度にかけて1回目の調査を進めることを考えています。
人権に関する取り組み
サプライチェーンの取り組みですが、人権方針に基づいて当社グループの調達方針を制定します。当社は素材メーカーとして、バリューチェーン全体で多くの調達先があります。
鉱物資源は、以前より調達ガイドラインを設定して運用しています。それ以外の調達では、これまで運用してきたサプライヤー評価、審査のリスク管理の仕組みに人権方針を反映させています。取引先における人権リスクについても適切に対応し、取引先との協力的な関係作りを目指していきたい考えです。
私からのご説明は以上です。
人的資本に関する取り組み
野川真木子氏(以下、野川):ここからは、野川が人的資本への取り組みについてお話しさせていただきます。
当社は「人材こそが事業競争力の源泉である」という考えの下、これまでも人材の採用から育成・登用でさまざまな取り組みを行ってきました。
今後も中長期にわたって当社の企業価値をさらに向上させていくためには、人材を人的資本と捉え、どのように活用し価値を高めていくのかに焦点を当てており、ヒューマン・リソース・トランスフォーメーション、略してHRXと呼び、昨年来、数々の人事変革に取り組んでいます。
HRXで目指していることは、新たな仕事の仕方や価値観、外部の視点や人材を積極的に取り入れながら、過去150年かけて築いてきた当社の強みと融合することにより、ますます複雑化する事業環境の中でも、市場競争力を維持向上することです。具体的なHRXの主な施策は、大きく分けて3つ掲げています。
1点目は、事業競争力の徹底追求と役割の明確化を目指しています。本年4月、管理職層に対して職務型人事制度を導入しました。当社を支える次世代経営人材を育成するフレームワークも今年度から刷新し、施行しています。
2点目は、変化に適応し、自律的に課題に取り組み、会社とともに成長していこうとする意識の醸成と行動の促進です。そのために、自律的なキャリア形成を支援する一策として、社内公募制度の活性化や、新たな研修体系の実施などを今年度から行っています。
3点目は、多様な個性を認め合い尊重する組織風土の醸成と、それをもとに持続的成長を目指す、ダイバーシティ&インクルージョンの推進です。
スライド中央に記載の「人材委員会」と「タレントマネジメントシステム」に関してご説明します。人材委員会は、経営陣が人・組織に関してあらゆる側面から討議し、さらなる施策へつなげていく場として今年度から実施しました。さらに、タレントマネジメントシステムは、人的資本の情報の見える化を目指して本年2月から稼働しています。
人的資本に関する取り組み
こちらは、HRXの具体的な実施状況をまとめたスライドで、主な取り組みをどのように進めてきたかを表しています。主な施策のほとんどは今年度の4月から、社内公募とタレントマネジメントシステムに関しては本年2月から実施中です。
若手社員教育の一環の「ものづくり・ひとづくり」、コミュニケーション活性化、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み、健康経営の取り組みなど、従前から取り組んでいる効果のある施策については、今後も継続していく予定です。
ダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組み
ダイバーシティ&インクルージョンに関しての取り組みを、ご覧のスライドにお示ししています。以前から多様性の確保といった努力を行ってきていますが、さらに持続的な成長のための源泉とすべく、主には意思決定層への女性、外国人、中途採用等の社員を増やすといった目標を新たに設定し、数々の施策に取り組み始めました。
具体的には、昨年9月1日付でダイバーシティ&インクルージョンに関する専任組織を設置しました。本年4月1日付の組織再編後は、ダイバーシティ&インクルージョンに加えて健康経営への取り組みも専任で行う組織としております。
また、女性、外国人、中途採用者の意思決定層への比率を高めるため、2025年度末までの数値目標を設定しています。
ダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組み
数値目標を達成するための具体的な取り組みをご紹介します。
まず、多様な人材を確保し、活用していくために欠かせないベース、つまり組織風土の構築・醸成の取り組みとして、階層別研修にダイバーシティ&インクルージョンに関する教育を必ず入れています。また、アンコンシャス・バイアス、つまり無意識の偏見に関する教育も実施中です。
男性従業員の育児休業取得の促進策については、スライド資料右側の「PICK UP 1」として、年度別の状況について示しています。ご覧のとおり、2022年度の第1四半期の取得率は61.8パーセントでした。
「ベースの構築/インクルージョン浸透のための施策」の4点目は、本年2月に稼働したタレントマネジメントシステム上で、全従業員を対象としてエンゲージメントサーベイを実施しました。
続いて、「女性活躍支援」に関してです。1点目の役員をスポンサーとする育成加速支援の施策として、スポンサーシップ・プログラムを昨年秋から実施しています。2点目のキャリア形成支援は、スライド資料右側の「PICK UP 3」に記載のとおり、組織長に就任する女性管理職をより早く増やしていくための取り組みです。3点目の事業所におけるアクションプランの実行に関しては、当社は製造現場や拠点で勤務する社員が多いため、女性社員の職域を広げる活動に5年前から着手しており、積極的に展開しています。5点目の「G20 EMPOWER」には本年から参画しました。スライド資料右側の「PICK UP 4」にも記載のとおりです。
中途採用関係では、中途採用社員が1日でも早く当社のカルチャーに馴染み、自分の本領を発揮できるように、社内ネットワーク構築支援や社内ルール解説Q&Aの提供を行っています。
さらに、制度面の整備として、本年4月に、管理職層に対して勤務地に限定をしない働き方を推奨する、遠隔地リモート勤務制度も導入しました。
これらのダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みの詳細については、統合報告書をはじめ、ESGレポートや当社のホームページにも掲載していますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
人的資本への取り組みに関してのご説明は以上になります。
気候変動への取り組み
髙柳喜弘氏(以下、髙柳):続きまして、気候変動への取り組みについて、髙柳からご説明します。
こちらのスライドは、みなさまご存じのスコープ1、2、及び3の温室効果ガス(GHG)の削減目標になります。スコープ1、スコープ2については、昨年11月末の段階で示したとおり、2013年比で47パーセントの削減を2030年に達成する目標を挙げています。
排出量の補足として、事業譲渡したアルミ事業と、持分法化したセメント事業の数量は除いた数値になります。セメントについては排出量が非常に多いため、別途、できるだけ早急にご提示したいと思っています。
本年7月には、SBT(Science Based Targets)認定のための申請を行っています。申請時に立てたスコープ3の削減目標は、スライド右側の表に示しています。2020年度のスコープ3の排出はトータルで587万6,000トン、うちカテゴリ1とカテゴリ3が寄与率として高いことから、ピックアップして13パーセントの削減目標を立てています。カテゴリ1は、原材料の調達にあたるため、銅精鉱が非常に多い比率になっています。
気候変動への取り組み
こちらの内容は、「自社水力発電の再生可能エネルギー由来の電力を自社工場に活用」というタイトルで、本日(9月13日)にプレスリリースを行っています。
当社は秋田県鹿角市にある水力発電の大湯発電所の1,300メガワットアワー(MWh)分の電気を、トラッキング付FIT非化石証書で調達し、超硬工具の製造拠点である筑波製作所および明石製作所で使用しています。
スライドの緑色の線が電力、青色の線が環境価値の流れになります。これによるCO2の削減量は換算で約550トンと、全体から見るとまだ少ない量ですが、これをファーストステップとして積み重ねていきたいと思っています。
自社電源を持っている場合は、通常の非化石証書調達とは異なり、オークションでストレートに調達できるという点が非常に大きなメリットになります。
気候変動への取り組み
カーボンフットプリント(CFP)についてご説明します。温室効果ガスの削減はサプライチェーン全体で実施していく必要があるため、当社としても自社製品のCFPを顧客に提供していく方針です。
自社製品のCFPを顧客に提供することにより、顧客のスコープ3の算定精度も向上します。また、カーボンフリーもしくは低カーボンの製品も提供することで、将来の事業差別化にも活用したいと考えています。
当社の超硬製品については、スライド中央右側に、グループ会社の日本新金属による使用済み超硬工具のリサイクルプロセスを記載しています。図に赤色で示している「使用済み超硬工具のスクラップ回収」から始まり、それぞれの生産のプロセスを経て、三酸化タングステン、タングステン、炭化タングステンへとつながっていくルートになっています。こちらの中でのCFPを計算しています。
気候変動への取り組み
スライド左側の円グラフは、超硬製品である「インサート」の1個あたりのGHG排出量の寄与している各比率を示しています。スコープ1、スコープ2は、日本新金属と筑波製作所での使用エネルギーに由来するGHG排出量になります。
日本新金属は、筑波製作所で超硬製品を作る際の炭化タングステンを作成する、当社のグループ会社です。円グラフに記載のとおり、電気エネルギーのスコープ2は非常に比率が高く、全体の3分の2を占めています。
加工事業カンパニーについては、本日のプレスリリースにもあるとおり、2030年度までに製造の際に使用する電力を100パーセント再生可能エネルギーにする目標を設定しています。スライド右側の棒グラフに記載のとおり、3分の2を占めているスコープ2の部分が一気に減り、大きな削減効果が発生します。
気候変動への取り組み
スライドは、銅製錬から銅加工までのCFPを示した図になります。現在こちらのCFP全般の算出作業を行っています。
CFPを適切に算定するためには、算出の根拠が非常に重要です。それぞれのプロセスでの原単位、例えばIEA等の機関で原単位が示されていますが、それが果たして適切なのかどうかという点も含めて、算出する作業を行っています。
スライド右下に記載のとおり、IWCC(国際銅加工製品協議会)で同様の算定を検討しています。IWCCは、一般企業を会員とする業界団体で、ある意味で公的な機関と言えます。IWCCの算定結果が開示された際は、それらの算定方法と我々の算定方法が適切かどうか整合性を確認し、開示したいと考えています。
気候変動への取り組み
ここからは、生物多様性についてお話しします。当社は「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画しています。「30by30」は、みなさまご存じかと思いますが、2030年までに陸と海の30パーセント以上を健全な生態系として効果的に保全するという目標です。
2023年度に申請開始予定の「環境省自然共生サイト(仮称)認定実証事業」に参加し、認定の仕組みの構築支援を行っています。今回は当社の社有林である北海道の「手稲山林」を選定し、審査の実施プロセスの実証に参画しています。今は「自然共生サイト」の認定に相当するかどうかの連絡を待っている段階です。
気候変動への取り組み
温室効果ガスの2020年度と2021年度の排出量の実績になります。先ほど587万6,000トンとお伝えしたのは2020年度の実績で、2021年度にはスコープ3が60万トンほど増加しています。2020年度は銅製錬所で炉修があった影響で鉱石の購入量が少なかったため、2021年度と差が出ています。
気候変動への取り組み
再生可能エネルギー事業によるCO2の削減効果です。再生可能エネルギー発電力をスライド下の折れ線グラフに示しています。2021年度の実績は407ギガワットアワー(GWh)で、石油火力発電所と比較した場合の温室効果ガス排出の削減量は17万4,000トンに相当します。
現在、北海道函館市恵山地域で新たな地熱発電所を開発しています。また、秋田県では、小又川での新水力発電所を本年12月に運転開始予定です。最終的な目標として、2030年度に533ギガワットアワー(GWh)を目指し、再生可能エネルギーのさらなる開発に注力していきます。
私のご説明は以上となります。
次期中期経営戦略に向けて
小野:最後に、再び小野から次期中期経営戦略に向けてということで、簡単にご説明いたします。スライドの図は先にお示しした図と同じものです。
これまで事業ポートフォリオの最適化ということで、相応に事業の選択と集中を進めてきています。そのような中で、今後は、絞り込んだ事業領域を深めていくことが1つの方向性になります。
全体的な世界の状況を見ると、今年に入りさまざまな地政学的リスクが声高に言われるようになり、国内においては経済安全保障の動きにもつながりつつある状況かと思います。加えて、世界に目を転じると、地域ごとの経済ブロック化も進むことが想定される点もあります。したがって、地域ごとに地産地消、そして地域ごとの循環ということも考えていく必要があると思っています。
一方で、全体的に環境意識の高まりに伴い、資源のみならず循環型の経済サーキュラーエコノミーがさらに進展していくような大きな方向性、トレンドを踏まえた上で、私どもはスライドに記載している資源の循環(静脈)と、動脈に位置する高付加価値の素材、機能材料・製品の供給といった、大きなサークルを回していくことを目指していきたい考えです。
先ほどお伝えした地域の問題もありますので、事業を展開していく地域や、能力の増強、拠点の増強等での規模の拡大、そして現在進めていることの周辺の事業ドメインへの拡張などを組み合わせながら、企業価値の向上につなげていくという方向性を持って、来年度の2023年度をスタートとする新しい中期経営戦略について議論しているところです。
本日は、次期の中期経営戦略について、これ以上の詳細をご説明する段階ではありませんが、今年度中にはご説明の機会が持てると考えていますので、よろしくお願いいたします。
ご説明は以上のとおりです。
質疑応答:2019年以降のガバナンス改革の効果
質問者:ガバナンスについては、社外取締役比率の増加をはじめ、透明性を高める努力をされています。2019年に、指名委員会等設置会社への移行など、大きな転換をされているが、それによって具体的にどのような効果があったのか教えてください。例えば、事業の選択と集中を含むさまざまな構造改革が進んでいることも、ガバナンス改革の効果でしょうか。
小野:事業ポートフォリオの最適化については、もともと業務執行側として、方向性を持って進めてきたものですが、指名委員会等設置会社に移行し、社外取締役が増えたことで、社外取締役を中心とした取締役会からもより多くのフィードバックを受けるようになりました。例えば、業務執行側では少し躊躇する場面で後押しを受けたり、「もっとスピードアップすべきである」という意見をいただいたり、どちらかというと構造改革を促進するようなドライビングフォースを受けてきたと言えます。
また、現在、企業価値の向上に向けて、もっと積極的で大きな構想を描くような方向性の議論が、取締役、執行役間で進んでいます。現時点では結果として十分なものが示せているとは言えない状況ではありますが、いずれ結果として結実させていかなければならないと考えています。
質疑応答:社内のエンゲージメントサーベイの成果
質問者:社内のエンゲージメントサーベイについて、社員としてのフィードバックはどのようになっているのか、何か手応えを感じているところがあれば教えてください。
野川:エンゲージメントサーベイについては、2月に稼働したばかりのタレントマネジメントシステムを使い、全社員に対して実施しました。ちょうど回答期間が締まったタイミングであり、粒度の細かい分析やそれに基づくアクションプランの策定はこれからになりますが、速報値からは、会社の進む方向性や実施しようとしている改革に対する理解度に関しては、ある程度の感触を得られています。一方で、当社におけるキャリアの将来性の課題などは、階層によって少し温度差があるように思います。概して、会社の取り組みに対する社員の生の声を聞けたサーベイであったと思いますので、拠点別、事業別、階層別など粒度の細かい分析をし、より実効性の高いアクションプランにつなげていきたいと考えています。
質疑応答:ESGへの取り組みが業績や株価につながっていないことに対する受け止め方
質問者:積極的にESGに取り組まれていると感じていますが、業績や株価を見ると、まだそれが成果として見えていない印象があります。どのように受けとめているでしょうか。
小野:これまでのさまざまな対話の機会においても、多くのご指摘をいただいておりますが、なかなか成果として示せていない状況と認識しています。現在、次期中期経営戦略に向けて、どのような事業構想を打ち出すのか、それがマーケットでどのような評価をされるのか、構想に向かって事業を進め、どのようなトラックレコードを示していけるのかなど、議論を進めていますが、その内容が非常に重要なポイントになると考えています。
また、株価についても非常に強い危機意識を持っており、報酬制度の中にも相対的なTSR指標を評価基準に導入することなどにより、さらに意識を高めていこうと取り組んでいます。
質疑応答:ビジネスにおけるカーボンフットプリントの効果
質問者:カーボンフットプリントについては、将来的にビジネスにどのような影響があるでしょうか。受注が増える、価格を高く設定でき利益率が上がるなど、どのような経済的な効果がありそうかを教えてください。
髙柳:最近は、特に海外で、カーボンフリーアルミやカーボンフリーカッパーが試験的に販売されているように、全体の流れとして、今後は顧客がサプライヤーを選定するとき、好ましい条件の1つとして、カーボンフットプリントの取り組みが挙がってくるようになると思います。
もちろん価格が上がるということになれば当社としても好ましいのですが、まだ十分な検討ができておらず、現時点で申し上げることは難しい状況です。
質疑応答:GHG排出削減目標の実現に向けた具体的な取り組み内容等
質問者:気候変動への取り組みのうち、GHG排出量については、2030年度に向けて2013年度比47パーセント削減と積極的な取り組みだと思います。10年近いタイムラインがありますが、これだけ具体的な数値を掲げられているということは、具体的な取り組み内容も決まっているということでしょうか? また、PTスメルティング社の連結子会社から持分法適用関連会社への変更などのポートフォリオ入れ替えの影響などは織り込み済みでしょうか?
髙柳:具体的な取り組み内容については、現在、各事業部門で検討した計画について、それらの実行可能性、例えば、スコープ1で自社の製造プロセスから発生するCO2を削減する場合にどのくらいの投資が必要なのかという点や、投資とCO2の削減量のバランスも含めて、精査している段階です。
また、PTスメルティング社の持分法適用関連会社化は、スケジュールとして決まっているものですので織り込んでいます。本来であれば、比較元(2013年度実績)からも差し引いたうえで削減率をお示ししたほうが公平だとも思っています。
質疑応答:カーボンニュートラル実現の目標を前倒しした背景
質問者:2050年のカーボンニュートラルという目標を5年早めたことについて、具体的なアクションプランが加わるということなのか、目標設定の仕方と今後の管理についての工夫などがありましたら、お教えください。
髙柳:2050年をターゲットとすると、どうしても遅れが生じやすいということも勘案していますが、それに加えて、Science Based Targetsで示されているような年換算の削減率を基にラインを引いた場合の見通しも踏まえて、5年前倒しにしたとご理解ください。
質疑応答:脱炭素社会におけるビジネス上の強み
質問者:脱炭素が求められる中で、銅製錬や超硬工具等、リサイクル原料を使用できる強みもあると考えていますが、そのような理解でよいでしょうか。また、今後、そうした強みが販売面での訴求ポイントにつながるのかどうか、感触をお聞かせください。
小野:銅製錬ではE-Scrapを原料にしていますので、銅製品におけるリサイクル原料の割合が高まっていくということは容易に想像できますし、超硬工具の原料であるタングステンについても今後はリサイクルがより進んでいくと思います。銅製錬にしても、超硬工具の製造にしても、電力を含め相応のエネルギーを使用しますので、CO2はゼロにはなりませんが、相対的に見れば、リサイクル原料の割合を高めていくことでCO2の削減につながっていくと考えています。カーボンフットプリント等により、そうした取り組みがしっかりと公平に評価されるように示していくということが必要だと考えています。
カーボンニュートラルという意味では、資源循環やリサイクルの取り組みだけでは実現は難しいので、再生可能エネルギーを自ら作ることや、CO2の回収や分解等の取り組みも合わせて実施していく必要があると考えています。
質疑応答:再生可能エネルギー事業への資源配分の考え方
質問者:再生可能エネルギー事業も特徴の1つかと思いますが、今後の展開に向けた資源配分、設備投資の考え方等をお教えください。
髙柳:水力発電や地熱発電については、歴史的には過去の鉱山事業からの流れもあり、知見や技術としてはかなりのものを持っていると思っていますので、事業は拡張していきたいと思っています。水力発電は、水量と高低差が必要になりますが、日本国内で条件が揃った有望な地点はかなり限られていますので、大きく伸ばしていくことは難しいと考えています。地熱発電については、北海道の恵山地域を含めて新しい地域での開発や探査も含めて拡張していきますので、経営のリソースもそこに割いていくことになります。
質疑応答:役員報酬制度における変動報酬の割合/非財務評価の評価方法
質問者:役員報酬のインセンティブについて、非財務評価や相対TSR評価を導入されるということですが、有価証券報告書等を見ている限り、変動部分は多くない印象があります。現在の変動部分の割合がどのくらいなのか教えてください。また、非財務評価については、どのように評価をしていくのかということについても、併せて教えてください。
小野:報酬全体のバランスについては、今回の見直しの中では変わっていません。役職によってバランスに違いがありますので、CEOである執行役社長を例にご説明しますが、固定報酬1、業績連動部分0.6、株式報酬が0.4という割合です。
今回の報酬制度の見直しは、業績連動部分0.6を決めるための指標について見直しを図ったということです。
非財務評価については、各執行役が担う役割に基づいて、毎年CEOと協議の上で1年間取り組むべき項目を決めることとしています。もちろん、CEOと執行役との協議だけで決めるのではなく、案として策定したものを報酬委員会で承認を得て進めることになります。
評価については、定めた項目に従ってCEOが1次的な評価を行い、報酬委員会でその評価の妥当性を確認して決定していく仕組みとなっています。
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