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アリババ決算から見る中国景気の実際
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●アリババが4-6月期の決算を発表
中国電子商取引(EC)大手のアリババが4-6月期の決算を発表し、売上高が前年比で横ばいとなることが分かった。
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4-6月期は中国国内では新型コロナの影響を受け各地域でロックダウン(都市封鎖)が実施されており、大幅な減収は避けられないと見られていた。だが決算は、アナリストたちが予想していたよりは良好であった。
現在、ロックダウンは解除されており、景気回復に向かっているようにも見えるが、実際はどうなのか。世界的な景気減速が懸念される中、中国景気がどの位置にあるかをアリババの決算でどのように判断するのだろうか?
●アリババの動き
アリババは1999年に馬雲(ジャック・マー)氏らが創業し、2003年にオンラインモールTaobao(淘宝網)がスタートした。
ソフトバンクがアリババ創業時の2000年に20億円を出資し、現在も約25%の株式を保有する筆頭株主である。
近年は中国政府がアリババなど新興企業への規制を強めており、独禁法に違反したとして巨額の罰金を科せられるなどしている。創業者の馬氏は度々中国政府を批判しており、中国政府が馬氏の捜査に乗り出したという報道が流れるたびに、株価へ影響を与えてきた。
●懸念される今後の景気
4-6月期はロックダウンの影響で低調だったと、ダニエル・チャンCEOは述べているが、疑心暗鬼にならざるを得ない。
中国の“ゼロコロナ政策”は今後も維持されると見られ、それによる物流網の混乱が度々起こる可能性もある。
さらに全世界共通ではあるが、アフターコロナで“モノ消費”から“コト消費”に移行しており、GAFAなどのハイテク企業は苦境を強いられている。
景気減速による広告収入の落ち込みもハイテク企業にとっては逆風になる。今回アリババは、広告収入が約10%減となったことも公表している。
2022年後半から中国経済が回復するという予測もあり、アリババの決算では楽観的な見方もある。一方で広告収入は減少し、台湾有事などのいつ何が起こるか分からないリスクもあり、楽観視はできないだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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