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親孝行が背中を押したECプラットフォーマー:BASEの、戦略投資の今
(画像: BASEの発表資料より)[写真拡大]
BASE(4477)を初めて取材したのは上場(2019年10月)前だった。日本経済新聞が選定する「ユニコーン企業予備軍」の1社だった時期である。
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四季報夏号のパラパラ読みをしていて久方ぶりに出会った。特色欄には、「個人・小規模事業者向けECプラットフォームBASEを運営。店舗売り上げ連動の利用料が収益源」と記されていた。ビジネスモデルは取材時と同様。業績欄には【成長投資】の見出しがつけられていた。
収益動向は、事実上の上場後初の決算期になる2020年12月期は「115.3%増収、8億300万円の営業黒字化」。だが前21年12月期は「19.8%増収」も「9億7700万円の営業損失」。そして今期計画は、「新料金プランの導入や、それらに伴うコスト増などで算定が困難」とし白紙。
改めて「親孝行」を原点に立ち上がった企業が、いまどういう状況にあるのかを調べて見た。
創業者社長の鶴岡裕太氏がBASEをたちあげる(2012年10月)契機は、実家の大分で洋装店を営んでいた母親が漏らした、「ネットショップっていうのをやりたいけど、知識もお金もないからうちじゃ無理ね」という一言だった。鶴岡氏から、「個人や小規模業者がネットビジネスを容易に始められ、決済がワンストップに提供できる枠組みを作ろうという、生涯をかけてやるにふさわしい宿題を母から貰った」と聞いた。
BASEのいまを知るうえで適当な資料はないか、探した。6月22日の『「BASE(ベイス)」のネットショップ開設数がサービス提供から10年目で180万ショップを突破―新料金体系「グロースプランニング」の開始などでより多くのショップが使いやすいサービスにー』と題する、ニュースリリースに接した。
そこにはマーケットリサーチ企業:マクロミルのデータが図表化され、「2022年6月時点で180万ショップ突破」「ネットショップ開設実績5年連続No1」と書き込まれていた。そして以下が記されていた。
<<ショップが大きくなっていく利用者に「BASE」サービスを引き続きご利用いただくため、4月より「グロースプラン」(決済手数料2.9%+月額サービス料金5980円)の提供を開始。ショップの売り上げ規模が月商17万円を超えると従来プランより手数料が抑えられる>>
<<複数人でも安全なショップ運営が可能になる「スタッフ権限管理App」により業務の効率化が図れる他、「TikTok」に広告が掲載できる拡張機能「TikTok商品連携・広告App」では集客や販促活動に貢献する様総々な機能を提供>>
<<開発中の「BASE」新機能として、「ヤマト運輸と連携のかんたん配送」「配送日指定Appのアップデート」と取り組んでいる>>
四季報が【成長投資】とするのも納得がいく。が、その四季報予想でも今12月期は売り上げ増も「営業損失は20億円」に拡大。株価動向がやはり気になる。
本稿作成中の時価は300円台終盤。今年の値動きを見る限り1月の648円から5月の295円まで整理され、戻り基調。だがアナリストの株価予想:IFIS目標平均株価は算出者5人中4人が強気で776円。成長投資が評価されていると捉えることはできる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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