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梅雨時から盛夏に向けての車の対応 その3 炎天下
夏日、真夏日、猛暑日と、体力的には厳しい季節となった。入梅時期の、濡れた雨傘の車内持ち込み対策から、前方視界確保に関するワイパーブレードやガラスコーティングと見て来たが、これからの季節は、暑さ対策が焦点となる。
【こちらも】梅雨時から盛夏に向けての車の対応 その2
●エンジンの負担
『死語になった自動車用語「オーバーヒート」(2021年1月28日付)』で触れたが、昔は夏場の登山道とかは、オーバーヒートで路肩に停車してボンネットを開けた車が見かけられた。
加圧式ラジエターで、冷却水の沸点が上がったのと、点火システムの進歩、電子燃料噴射装置の普及によって、路肩でボンネットを開けて停車する姿は昨今は殆ど見かけなくなった。だが車にとっては、猛暑の季節は好ましい環境では無い。
余談ながら、メンテナンスフリーを謳うバッテリーも、液の蒸発は避けられないので、夏場にはシーズン中1度でも良いから、液面の確認をして「猫の目」状の液面を示していなければ、蒸留水を補充して欲しい。
●炎天下の車内
炎天下の車室内温度は想像するより遥かに高温となる。
外気温度35度の炎天下に、実験開始時に車内温度を25度に揃えて12時~16時の4時間放置した実験データを、JAFが公表している。(写真1参照)
実験車両はミニバンで、塗色は対策なしでの比較車両の(1)黒色以外は、全て白色。従って、白色以外のボディカラーの車を保有している向きは、当然この結果より室内温度は高い結果が出ることになろう。
車内最高温度 車内平均温度 ダッシュボード最高温度
(1)対策なし(黒) 57度 51度 79度
(2)対策なし(白) 52度 47度 74度
(3)サンシェード装着 50度 45度 52度
(4)窓開け(3cm) 45度 42度 75度
(5)エアコン作動 27度 26度 61度
また、「車内温度の変化」グラフを見れば、実験開始した1時間後にはピークの測定値に到達している程、急速に温度が上昇するのが判る。(写真2参照)(資料提供JAF)
乳幼児を載せて出掛けた際、「よく寝ているから起こすのは可哀そう」と、エアコンをかけた車内に残して車を離れることは、絶対にしてはならない。万一エンジンがストップすれば、炎天下に窓が閉まった状態では命に関わる。
●海外観光で注意すべき児童遺棄
アメリカでは短時間(5~10分)であっても、家や車中に子どもを放置してその場を離れることは児童遺棄となってしまい、禁止されている。
例えばレンタカーを借りて観光することも多いであろうハワイ州では、9歳未満の子どもを無人の車両に5分以上放置した場合、違法となる。当局がこのような子どもを見つけた時は、どのような手段を使っても保護して良いことになっている。
炎天下で生命に関わる様な条件で無くとも、これだけ厳しいのだから、日本で炎天下にエアコンをかけた車内に幼児を残してパチンコをするなんぞは、考えられない。
何等かの要因でエンジンが止まり、車内の幼児が死亡する様な悲惨な事故の発生機会はアメリカでは極めて希なのだ。
●車内に物を残さない
筆者は、出先で金魚を購入した際、コンビニでの僅かな時間の買い物だけだからと、車内に差し込む日光を避けて、天井に近いところに吊るして車外に出て、水温上昇の為に死なせてしまった苦い経験がある。
コンビニの買い物に、金魚の入った袋を持って行くのが躊躇われたし、エンジンを掛けたままだと用心が悪いので、エンジンを切ってロックして行ったからだった。
また出先で鉢植えの植物を購入して、これもサービスエリアでトイレに行った程度で、折角開花していた花が、全部落花したことも経験した。
特に夏場は、高温に弱いものを車内に残すことは、絶対にやってはならない。
最近のアルミ缶のコーラは、以前実験した経験があり、問題が無かったトランク内での運搬条件で、缶が膨張して吹き出す事故を起こした経験がある。
缶のショルダー部分が、コストダウンの影響か、プレス加工の段状リブが省略されていることが原因だと思われる。
●夏場の対策
日陰に駐車したり、窓開けによる室内の高温になった空気の排出、サンシールドやフイルムの活用等々の工夫が欠かせない。
前述の、JAFによる5台の車両実験の比較表で、注目すべきはダッシュボード最高温度だ。エアコンをかけた車内よりも低く、その他の車と比較しても20数度の差がある。
サンシェードは、面倒だと思わない向きには有効な手段である。
今年の夏は例年よりも気温が高くなる様だが、身近な対策で乗り切りたい。そして、間違っても車室内に乳幼児を残して車から離れてはならない。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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