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プレハブ住宅で業界を牽引した大和ハウスの中計は、海外部門の拡充に積極姿勢
大和ハウス工業(1925、東証プライム市場。以下、大和ハウス)。賃貸住宅・商業施設・物流施設の建設が3本柱。戸建や都市再開発も手掛ける。海外住宅にも注力。
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日本短波放送(現日経ラジオ)の記者として社会人の第一歩を踏み出した折り、兜倶楽部の大先輩から「大和ハウスは何故すごい会社なのか」と問われた。「・・・」。こう教えられた。
「プレハブだよ。住宅の工法をがらりと変えてしまった。あれは革命だった」。分かったふりをして、後で調べた。「住宅の部材をおおむね工場で生産。現場ではそれを組み立てるだけ」。
詳細は省くが、創業したミサワホームの社長の座を追われた三沢千代治氏から、「大学は卒業したけど、病の床から離れられなかった。もしプレハブ工法が開発されていなかったら、住宅業界に足を踏み入れることはなかったろう。なにしろうちは、そもそも木材屋だったからね・・・」とも聞かされた。
1992年のいわゆる地球サミットで歩みを始めた「環境アセスメントシステム(環境ISO)」で、住宅業界を牽引したのも大和ハウスだった。
いまTVに見入っていると、なんのどこのCMなのか「?」という場面に出すくわす。そんな視点からも、大和ハウスは先駆していた。1998年の春先だった。役者の役所広司がなんの前触れ(クレジット)もなく、「なんでダイワハウスなんだ」と語りかけるTVCMには「???」と唸らされた。
業界トップにふさわしい、収益動向を示している。コロナ禍に晒された2021年3月期も「5.8%減収・6.3%営業減益」で潜り抜け、以降24年3月期まで「平均増収率8.1%/平均営業増益率7.8%」。そして今3月期も早々に「3.2%増収(5兆3700億円)、0.0%営業増益(4400億円)」に上方修正。第3四半期実績で「売上高74%、営業利益82%」と着実。
そして1年前倒しで実現可能、新たな計画を策定中とされる至27年3月期の(初の)5カ年中計では「売上高5兆5000億円、営業利益5000億円、営業利益率9.1%/ROE13%以上、配当性向35%以上、D/Eレシオ0.6倍程度」を掲げているが、注目したいのは「海外部門の伸長計画」。戸建住宅を軸に海外展開を積極化しており海外部門を、「売上高5000億円(22年3月期比1.5倍)、営業利益1000億円(3.8倍)」としている。
本稿作成中の株価は5080円水準。予想税引き後配当利回り2.3%余。ROE12.65%。IFIS目標平均株価は5129円。対して過去9年余の修正済み株価パフォーマンスは45%。とりあえずここは買いあがりではなく好配当利回りを享受しながら、中長期構えが賢明か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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