新たな収益構造にステージを移した:クオールHDの足元・中計の読み方

2025年4月15日 08:44

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 クオールホールディングス(3034、東証プライム市場)が、新たなステージに移行している。

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 調剤薬局数で業界2位。調剤薬局売上高で3位。店舗展開では医療機関との提携した1対1の「かかりつけ薬局」を軸に、多様な出店を見せている。ローソンやビックカメラと共同店舗出店然り。「駅ナカ」「駅チカ」店然り。

 さらには厚労省が示す「患者のための薬局ビジョン」にも対応している。具体的には地域包括ケアを志向する、在宅医療専門薬局。医師・看護師・ケアマネージャーと連携し、往診にも同行する。また訪問服薬指導と併せて処方箋医薬品以外にも患者の要望に添い、一般医薬などを配送(ケースに応じ、医師・看護婦の許可を得)する「移動販売サービス」も実施している。

 地域包括ケアの一環としては「健康サポート薬局」がある。「処方箋薬・市販薬に関する相談」「健康食品の相談」「食事・栄養アドバイス」「健康フェア(医療機関や商業施設等での骨密度検査・簡易血液検査)の実施」がなされている。

 そんなクオールHDの今5月期は「50%の増収(2700億円)、80.2%の営業増益(150億円)」の、大幅増収増益計画。第3四半期時点の実績は、「1982億700万円、116億3400万円」。最大の要因は昨年4月の第一三共エスファの連結対象子会社化。数年内に完全子会社化の方向を示している。

 第一三共エスファはオーソライズジェネリック医薬品(原則、先発品と同じ原液・添加剤を使用し同じ製法)メーカー。後発医薬品という立ち位置で、製薬部門の拡充を図る姿勢を明らかにした。

 至2027年3月期の中計がスタートしている。「売上高3000億円(24年3月期比67%増収)、営業利益240億円(同2.9倍)」を掲げている。製薬事業(第一三共エスファ)では「売上高1000億円、営業利益120億円」を目指している。

 また既にラインで処方箋予約・即日配送/オンライン服薬指導/お薬手帳自動連係機能などを実践しているが、この中計期間中に医療機関提携に伴う地域密着型調剤薬局の特性を活かした「ネット店舗」の展開を開始した。KDDIとの連携によるオンライン専門薬局「クオールどこでも薬局」。処方箋獲得拡大のスタンスから全国展開を予定している。

 本稿作成中の時価はトランプ関税にマーケットが大きな上下動を繰り返す中、4月11日につけた年初来高値(2053円)水準。予想税引き後配当利回り1.3%余。IFIS目標平均株価は2900円。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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