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インドネシアがパーム油禁輸、さらなるインフレか?
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●インドネシアがパーム油の輸出を禁止
インドネシアは、4月28日からパーム油を輸出禁止品目に定めた。数日前はパームオレインに限定されると報道されていたが、インドネシア政府が国内の需要を優先した形だ。国内では食料品の値上げに対する抗議デモも起きている。
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ロシアによるウクライナ侵攻で、ロシアで生産されているひまわり油の代行としてパーム油の需要が高まっており、価格が高騰している。
戦地から遠く離れた東南アジアのインドネシアにも大きな影響を及ぼすウクライナ危機とインフレだが、パーム油高騰でどのような影響が懸念されるのか?
●パーム油とは?
パーム油は、インドネシアが世界生産の約60%を占めている。2022年1月からインドネシアは国内の供給量を一定数確保することを指示していた。
パーム油はアブラヤシの果実から作られる植物油であり、近年は燃料としても使用されている。主に、インスタントラーメンや、ポテトチップスなど菓子類の加工食品の植物油脂、洗剤成分などに使われている。
他の植物油に比べて、食感もよく、熱にも強く、価格も安定しているので重宝されている。
●考えられる悪影響
パーム油の代替品として期待される大豆油も、アルゼンチンの干ばつにより、供給が期待できない。仮に代替できたとしても、需給バランスが崩れることには変わりがない。
パーム油の禁輸はインドネシア経済にとっても打撃を与えることは間違いなく、できる限り短期間で終わらせたいのが本音だろう。禁輸が決まってから、インドネシア通貨のルピアも下落している。
しかし、物価高騰に不満を募らせている国民の声も無視できず、禁輸が長期化することも懸念される。日本国内のメーカーにも打撃を与えることは避けられない。
ロシア・ウクライナ産の材料だけでなく、代替品も高騰するというインフレの連鎖が止まる気配はなく、今後もさらに多くの物へと波及する危険性は高い。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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