日本マクドナルドが「不動産業」と言われる根拠

2022年4月20日 16:42

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 日本マグドナルドホールディングス(東証スタンダード市場)は、創業50周年という節目の前12月期を「10.2%増収(過去最高)、10.3%営業増益、既存店(設立13年以上の店舗)売上高9.7%増、3円増配39円配」で通過した。

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 そして今期も入口こそ「小麦粉難」で商品の品揃えで問題に直面したが、「4.8%増収(3330億円)、1.4%営業増益(350億円)」と順調な計画に疑問符がつくような動きは全く耳に届いてこない。ちなみに1-3月期の既存店売上高は、前年同期比9.4%増。

 ところで周知の通りかとは思うが、「マクドナルド=不動産業」とする見方がある。筑摩書房から2013年に発刊された『金持ち父さん貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』(ロバート・キヨサキ氏著)を私は、「いまさら読んでも間に合わない」と判断し読んでいない。だがその中で米国マクドナルドの創業者:レイ・クロク氏が、「私の本当のビジネスはハンバーガーを売ることじゃない。不動産業だよ」と語った箇所があるという。

 創業者が言う以上スルーしているのも・・・と思い、念のために日本マクドナルドHDの前期のBS(貸借対照表)を読んでみた。PL(損益計算書)では「不動産業」の「ふ」の字にも出会えなかったからだ。

 目を引かれたのは、総資産:2329億8400万円に対し有形固定資産が915億7100万円という点だった。有形固定資産は概ね土地・建物資産を指す。率にして39.3%。念のため業界2位の(21年3月期ベース)モスフードサービスについても、目を移してみた。比率は17%弱。半分以下だった。

 答えを求めるキッカケは、PLに記されていた日本マグドナルドHDの店舗構成比だった。「直営:867店」「フランチャイズ:2075店」。フランチャイジーから日本マグドナルドHDは、表現に語弊があろうがどんな収入を得ているのかを調べた。

 (I)ロイヤリティ: 各フランチャイズ店舗の毎月の売上高×3%。
 (II)契約金: 初期費用&加盟金として一定額が一定期間徴収される。
 (III)広告宣伝費: フランチャイジーから1店分につき、売上の4.5%が徴収される。
 (IV)賃料収入。

 つまり「IV(不動産収入)」に象徴されるように、フランチャイジーが増え続ける限り日本マグドナルドHDには「商品販売」に伴う売上以外にも増収の枠組みが出来ている。店舗をフランチャジーに売り渡す際には、売却益が発生する。

 「不動産業」の一面は、否定できない。至る24年12月期の中計でも、「年間100店舗オープン」を掲げている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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